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2014年2月14日金曜日

集団的自衛権について(学習レジュメ)

あちらこちらで集団的自衛権について学習講師を行っています。そのレジュメをアップしますのでご活用ください。

守岡等

集団的自衛権について

2.安倍内閣はどのように戦争する国づくりを準備しているか
*2013秋の臨時国会   
国家安全保障会議(NSC)の設立法
特定秘密保護法
*2014通常国会       
4月 安保法制懇報告
集団的自衛権の容認
安全保障基本法案
*秋の臨時国会    
集団的自衛権行使容認に必要な関連法案の整備
*2015通常国会       
国家情報局設置法案
*2016                
参院選前に改憲を国会で発議?
衆参同日選挙にして、国民投票も同時に実施?(日経)

3.そもそも集団的自衛権とは何か
(1)国連憲章第51条で初めて打ち出された概念
  この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、安全保障理事会が 国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するも のではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければな らない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行 動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。

(2)日本国政府はどのような見解をしめしているか(防衛相HPより)

1憲法と自衛権
 ・憲法9条の規定は主権国家としての固有の自衛権を否定するものではない。
 ・自衛のための必要最小限度の実力を保持することは、憲法上認められると解する。
 ・専守防衛(他国へ攻撃をしかけることなく、攻撃を受けたときにのみ武力を行使して、自国を防
  衛すること)を基本的方針として自衛隊を保持する。
 2憲法9条の趣旨についての政府見解
 ①保持し得る自衛力
 ・保持し得る自衛力は必要最小限度のものでなければならない。
 ・「自衛のための必要最小限度の実力の具体的な限度は、その時々の国際情勢、軍事技術の水準その他の諸条件により変わり得る相対的な面を有していますが、憲法第9条第2項で保持が禁止されている「戦力」に当たるか否かは、わが国が保持する全体の実力についての問題です。自衛隊の保有する個々の兵器については、これを保有することにより、わが国の保持する実力の全体がこの限度を超えることとなるか否かによって、その保有の可否が決められます」?? →国会の判断
 ・性能上相手国の国土の壊滅的破壊のためにのみ用いられる攻撃的兵器の保有は許されない。
    ICBM(大陸弾道弾ミサイル)、長距離戦略爆撃機、攻撃型空母
 ②自衛権発動の要件
 1)我が国に対する急迫不正の侵害があること
 2)この場合にこれを排除するために他に適当な手段がないこと
 3)必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと
 ③自衛権を行使できる地理的範囲
 ・個々の状況に応じて異なるので一概にはいえない。
 ・海外派兵は憲法上許されない。
 ④集団的自衛権
 ・国際法上、集団的自衛権を有していることは主権国家である以上当然。
 ・「しかし、憲法第9条の下において許容されている自衛権の行使は、わが国を防衛するため必要最小限度の範囲にとどまるべきものであり、他国に加えられた武力攻撃を実力をもって阻止することを内容とする集団的自衛権の行使は、これを超えるものであって、憲法上許されないと考えている」
 ⑤交戦権
 ・防衛のための必要最低限の実力行使は、交戦権の行使とは別のものである。

(3)憲法9条が生まれた背景はどのようなものか
①ポツダム宣言の受諾
 軍国主義の根絶、完全な武装解除、民主主義と基本的人権の確立
②9条の理解に当たってはポツダム宣言の趣旨を忘れてはいけない

4.憲法解釈を変更して集団的自衛権を容認する動き
(1)首相私的諮問機関「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」(安保法制懇)設置
①第一次安倍内閣時に発足(2008年6月に報告書)
<安倍首相が4類型を問題提起>  すべて日本周辺とは無関係
①公海における米艦船の防護               
②米本土に向かう弾道ミサイル防衛         
③PKO活動における自衛隊の武器使用
④PKO活動等における他国への後方支援

<報告書の概要>
①憲法9条に関する基本認識
・客観情勢、我が国の主体的条件は大きく変容。国際社会における地位、責任は増大。これに応じて憲法解釈も不断に再検討しなければならない。
・日米同盟をさらに実効性の高いものにする。特に北朝鮮ミサイルを追尾する日米イージス艦の共同行動。
・4類型対処に当たっては新しい憲法解釈が必要。
・憲法9条は個別的自衛権はもとより、集団的自衛権の行使や国連の集団安全保障への参加を禁ずるものではないと解釈すべき。
・憲法9条は、武力の行使を、国際紛争を解決する手段としては禁止しているが、我が国が国連等の枠組みの下での国際的な平和活動を通じて、第三国間の国際紛争の解決に協力することは、むしろ憲法前文「我らは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない…」からも期待されている分野だ。
<4類型への提言>
①集団的自衛権の行使を認める必要がある。
②集団的自衛権の行使に頼らざるを得ない。
③国際的な平和活動への参加は、憲法9条で禁止されないと整理すべき。
④集団安全保障への参加が憲法上禁じられていないとの立場をとればこの問題も解決する。

<4類型批判>
①アメリカの艦艇が攻撃されたとき、同盟国日本が何もしないのはまずいか?
・日本近海であれば個別自衛権で対応可能。想定しているのはたまたま公海上で日米艦艇が近くにいて、たまたま攻撃を受けたというおよそ法律論では成り立たない空想の概念。
・日米の艦艇が密集した陣形をとることはあり得ない。現代戦の艦艇は潜水艦への警戒から数キロも距離を取り、散らばって行動するのが常識。他の艦艇を防護するのは不可能。=非現実的
②北朝鮮が米国を狙った弾道ミサイルが日本の上空を飛んでいくときどうする?
・政府答弁でも「ミサイル迎撃は非常に難しい」
・北朝鮮のミサイルは日本上空を飛ばない。北極上空を通過。=非現実的
③PKO活動における自衛隊の武器使用は認められるか?
・平和構築をめざし、安全地帯で活動するPKOの趣旨に反する。
・治安が悪化するところで道路補修はしない。撤収すればよいだけの話。
④PKO活動における他国への後方支援はどうする?
・PKO5原則(停戦合意が成立、紛争当事国によるPKO実施と日本の参加への合意、中立的立場の厳守、基本方針が満たされない場合は撤収、武器の使用は必要最小限)により撤収すればよい。
・他国の軍隊が武力行使する予定のPKOなど存在しない。

(2)第二次安倍内閣で「懇談会」を再開
・昨年2月、9月、10月、11月、12月と5回の会合を経て、まもなく最終報告
<世界的規模に拡大>
○緊急事態への対応を法整備する(防衛出動が下令されなくても自衛権を行使)
 現行法は国会の承認にもとづいて防衛出動が下令される。文民統制の歯止めがなくなれば際限なく戦争が拡大する恐れ。関東軍がいい例。

○サイバーセキュリティーへの対応をはかる
 サイバー攻撃(コンピューターウイルスなどを利用した情報搾取、システム破壊など)に対して自衛権行使が認められるか疑問。攻撃の主体を特定することが難しいし、国家犯罪を立証するのも困難。自衛権を行使する際もエレクトロニクスに限定しなければならない制約あり。

○マイナー自衛権(武装漁民による離島占拠、レーダー照射など武力攻撃とまでは言えないグレーゾーン対応)についても詰める必要がある。
 政府の統一見解はないが、出入国管理法違反や銃刀法違反など通常の日本国内法で取り締まればいい。

○国連安保理の決議または承認の下における多国籍軍への参加も可能にすべきである。イラク戦争の例。「集団安全保障に参加しなければ我が国が有事に巻き込まれたとき国際社会の支援を受けられな くなる」
 多国籍軍方式は集団安全保障の私物化(後述参照)。ちなみにイラク戦争で(フランス)・ドイツは多国籍軍に参加せず。

○政府解釈はスタートから誤っている。憲法は自衛権を放棄していない。自衛権を放棄していないならば、その自衛権の中に個別的自衛権も集団的自衛権も当然入る。
 内閣法制局の論議の積み重ねで成り立つ政府解釈を、こんなに簡単に覆すことの重大性を理解していない(後述)

○自衛権を行使する自衛隊の活動の場所に、地理的な限定を設けることは適切でない。
 これが本音。集団的自衛権行使における日本のメリットはない。

○国連憲章51条は、日本が自然権として集団的自衛権を持つことを認めている。
 自然権ではない(後述)。

○国連の集団安全保障措置への参加についいては、基本的には我が国が当事国である国際紛争を解決する手段としての武力行使に当たらず、憲法上禁止されていないと解すべき。参加の仕方については、国際協調と国際平和を希求する我が国の憲法の精神に合致することが前提とされるべき。
 集団安全保障と集団的自衛権を混同していなければこれは正しい。

○PKOへの参加、駆けつけ警護や妨害排除に際する武器使用については、少なくとも国連PKOの国際基準で認められた武器使用が国連憲章で禁止された武力の行使に当たると解釈している国はどこにもなく、自衛隊がPKOの一員として駆けつけ警護や妨害排除のために国際基準に従って行う武器使用は、そもそも武力の行使に当たらず、憲法9条の禁じる武力の行使に当たらないと解すべき。
 PKOの目的・性格をゆがめている(前述)。

(3)内閣法制局長を変えて憲法解釈を変えることの問題
①「法の番人」内閣法制局がこれまでの一貫した政府見解を示してきた
②局長を代えて憲法解釈を変えることの重大さを理解してない
1)法制局の権威低下、無視される危険性→法治国家の危機
2)法制局の質的低下、解釈変更で集団的自衛権を認めれば訴訟の嵐に→裁判に耐えられるか
   これまでの法律で違憲判決はない(唯一国籍法違憲判決のみ)
   もし海外派遣後に集団的自衛権違憲判決が出たらどうなるか
2/13衆院予算委員会での安倍首相答弁
  憲法解釈の最高責任者は私だ。政府答弁に私が責任を持って、その上で選挙で国民の審判を受ける。審判を受けるのは内閣法制局長官ではない。私だ。

・自民党内からも時の政権の判断によって、法制局が積み上げてきた憲法解釈の変更が頻繁に繰り返され、憲法の安定性が損なわれることを危惧する声

5.「集団的自衛権推進論」の虚構
(1)国連憲章の理念
①国連憲章は国際関係の「武力の行使」を原則禁止
第2条4 すべての加盟国は、その国際関係において、武力よる威嚇又は武力の行使を、いかな
る国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかな
る方法によるものも慎まなければならない。

②ただし二つの例外で「武力行使」を認めている。
a.国連の集団安全保障措置
第39条 安全保障理事会は、平和に対する脅威、平和の破壊又は侵略行為の存在を決定し、並びに、国際の平和及び安全を維持し又は回復するために、勧告をし、又は第41条[非軍事的措置]及び第42条[軍事的措置] に従っていかなる措置をとるかを決定する。

*国連憲章の理念は「武力行使」の禁止が原則。国連軍の創設(ただし実現せず)を含めた集団安全保障措置を導入。侵略行為の存在の認定等、措置の発動権限は安保理に委ねた。
*集団安全保障(勧告・経済制裁・軍事措置)…1990湾岸戦時の日本の対応は国連集団安全保障の政策に合致するもの

 「集団安全保障」と「集団的自衛権」は似て非なるものである。  (安保法制懇は混同)

b.個別的又は集団的措置
  第51条 この憲章のいかなる規定も、国際連合加盟国に対して武力攻撃が発生した場合には、 安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持に必要な措置をとるまでの間、個別的又は集団的自衛の固有の権利を害するものではない。この自衛権の行使に当って加盟国がとった措置は、直ちに安全保障理事会に報告しなければならない。また、この措置は、安全保障理事会が国際の平和及び安全の維持又は回復のために必要と認める行動をいつでもとるこの憲章に基く権能及び責任 に対しては、いかなる影響も及ぼすものではない。
<51条挿入の経緯>
*当初案に51条はなかった。
*米ソ対立が明らかになる中、大国の拒否権行使の対策としてアメリカが集団的自衛権を持ち出した。
*その後、安保理の許可を必要としない勢力間の勢力維持の軍事行動に活用された。

<「集団的自衛権の発動」として行われた戦争> すべて大国による勢力内国家への介入
1956ソ連のハンガリー介入 1958米英のレバノン・ヨルダン介入 1964イギリスのイエメン介入
1966アメリカのベトナム侵略 1968ソ連のチェコスロバキア侵略 1980ソ連のアフガニスタン介入
1983アメリカのグレナダ介入 1984アメリカのニカラグア介入 1986フランスのチャド介入
 

集団的自衛権は概念矛盾で冷戦構造の産物。自然権ではない。  …安保法制懇は自然権と主張

(2)国連憲章の「集団安全保障」とは
①経済、社会、文化、人道等様々な分野で起こる問題を国際協力で解決。国際紛争の種を未然防止。
②紛争が起こった場合も、当事国に平和的解決を求める。安保理も平和的解決のため努力。
③破壊・侵略行為が起こった場合、安保理は事態の悪化を防ぐ暫定措置を講じ、非軍事的措置で問題解決を図ることを追求。
④国連(安保理)が軍事的措置をとるのは「非軍事的措置では不十分であろうと認め、又は不十分なことが判明したと認めるとき」の最終手段として。
⑤軍事行動の主体は安保理であり、国連加盟国は安保理との特別協定にもとづいて必要な兵力を安保 理に利用させる。(集団安全保障のための軍事的措置をとる主体は安保理であり、個々の加盟国ではない)

国連の集団安全保障体制のポイントは二つ(自衛権・集団的自衛権とははっきり違うこと)
  1)安保理が国際平和と安全を守る主要な責任を担うこと(大国ではない)。
  2)それが実現を目指すのは、国際平和と安全を維持し、回復することであり、侵略を犯した国家
   との軍事的対決ではないこと

<現実における集団保障体制>
*湾岸戦争でアメリカ主導の多国籍軍を安保理の代理と認めた(集団安全保障と集団的自衛権の入り交じり)
*国連ソマリア活動…アメリカは多国籍軍から撤退、国連も撤収
*ボスニア・ヘルツェゴビナ内戦…NATOの空爆、憲章の根幹を揺るがす
*コソボ、東チモールで展開したNATOの中心部隊に国連は「すべて必要な手段」をとることを認めた。
多国籍軍方式は集団安全保障の私物化という指摘
国連理念と現実の乖離、その背景にある兵器産業(巨大なアメリカの軍産複合体)、武器密輸の闇

(3)日本国憲法の理念をゆがめる動き
<推進派の憲法観>
・憲法前文「国際社会における名誉ある地位を占めたい」
 名誉ある地位は国際環境と国力の関数である、としてこれまで自国民を守る必要最小限のものしか持てないといわれた憲法解釈を変更すべき。
(前文全体を省略し、部分だけに焦点をあてた詭弁。少なくとも直前の「われらは平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努める国際社会において…」から成り立たない概念)
・憲法9条が禁じているのは、個別国家としての我が国による戦争・武力行使であり、国連の集団安 全保障や国連PKOとは次元を異にするもので、憲法で禁止されていない。
(集団安全保障と集団的自衛権の混同)
・9条の対象となっている戦争、武力の行使、個別的自衛権、集団的自衛権、集団安全保障等は、本来国際法上の概念であり、国際法及び国際関係の十分な理解なしには適切な解釈はなしえない。
(国際法を守れというのなら、日本はポツダム宣言に法的に縛られており、安倍政権は改憲内容・憲法解釈の変更がポツダム宣言と矛盾しないことを中国・ロシアに説明して了解を取り付ける法的義務を負っている)
・これまでの憲法解釈は乏しい資源を軍事に割くことなく、敗戦の荒廃から必死に立ち直ろうとして いた我が国の時代背景を反映したものだった。

6.国家安全保障基本法の制定の動き  立法措置で解釈改憲
(1)法案の概要
第8条「自衛隊」…「陸上・海上・航空自衛隊を保有する」…憲法9条2項と矛盾
         「公共の秩序の維持にあたる」…自衛隊による国民監視の合法化
第10条「国連憲章に定められた自衛権の行使」…国連憲章第51条の規定を根拠に集団的自衛権行使を容認。
第11条「国連憲章上の安全保障措置への参加」…国連安保理決議があれば、海外における武力行使を認める。
第12条「武器の輸出入等」…武器輸出を禁じた「武器輸出三原則」を放棄
(2)憲法・憲法解釈に反する法案が提出できるか
①内閣立法は憲法との関係を審査する内閣法制局の段階で提出にストップがかかる。
②議員立法は別。法制局が審議して意見を述べるが、提出を決めるのは立法権のある議員。
 衆議院法制局「立法権があるのは国会議員であり、法制局ではない。しかし、議員立法では委員会や本会議で法案への質問に答えるのは提案議員。相当な覚悟が必要になる」

 実質の憲法改悪、自衛隊の戦争参加への道を拓くもの

7.なぜ集団的自衛権容認を急ぐのか
(1)アメリカの圧力
◎「アーミテージ報告」(超党派の「戦略国際研究所」報告書)…日本への「勧告」と称する「命令」
①第一次報告(2000.10)
・「日本が集団的自衛権を禁止していることは、同盟国間の協力にとって制約となっている」
②第二次報告(2007.2)
・集団的自衛権公使の容認を再度要求。
・9条改憲要求。国家機密情報保護体制・日本版NSC(国家安全保障会議)の整備も要求
③第三次要求(2012.8)
・集団的自衛権行使の要求からさらに大きく踏み込む
・軍事面における日本の「役割・任務・能力」の見直し
・日本領土の範囲をはるかに超えた相互分担、相互運用可能な監視活動(情報、監視、偵察)を要求
・米軍、自衛隊の全面的協力を要求
・共同演習、武器輸出三原則緩和と武器共同開発、秘密保護法制の整備

(「アメリカの要求」は数年後の日本の国策)
■日米年次改革要望書(1994~)
 郵政民営化、医療改革、労働者派遣法、法科大学院設置、建築基準法改正
(年次改革要望書を廃止した鳩山内閣→米の怒りで鳩山・小沢は失脚)
(しかし、オバマ政権は集団的自衛権行使を歓迎しない)
・アメリカの二つの潮流 アーミテージに代表される武力派
            ブレジンスキー「日米同盟だけでなく中国も巻き込んだアジア戦略」

◎アメリカの経済力・戦力低下
*米軍予算大幅削減→同盟国の役割分担強化
*アメリカの行う戦争に日本の兵士を送り込みたい

(2)改憲反対世論の広がり
*9条改憲反対、96条改憲反対とも過半数を超える状況
*解釈改憲・集団的自衛権行使を優先に

(3)北朝鮮、尖閣諸島問題
①集団的自衛権、マイナー自衛権の行使の対象に北朝鮮、尖閣問題があるのは確か
②しかし、安保条約で十分間に合う話
 ・世界の裏側まで派兵できるシステム作り…第二次安保懇
  ・相手が攻撃したとき(安保条約) 攻撃するかもしれない(集団的自衛権・イラクの例)

8.象徴的な麻生発言 ナチス・ヒトラー独裁政治誕生の背景
ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わって、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも
気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。

①現在の日本と共通する時代背景
・経済不況、失業率30%
・対外関係の行き詰まり、孤立化
・閉塞感→強い指導者への期待
②不安定な政治
・13年間で政権交代が9回、21名の首相が誕生(日本は2001年から13年間で首相8人)
・経済政策の失敗…増税してデフレ
・ナチスと同時に共産党も躍進(維新と日本共産党)
③33%の得票率でナチス連立政権、ヒトラー首相誕生
・首相は大統領が任命
④政権樹立後~独裁政治確立まで
  1933年
  ・1/30ヒトラーを首相に任命
  ・2/27国会議事堂放火事件
  ・2/28緊急大統領令発令 基本的人権のほとんどが停止、共産党員の大量逮捕
  ・3/23授権法(全権委任法)成立 立法権を政府が掌握、憲法違反の政策可能 独裁体制の確立
     (国会の2/3の賛成が必要→共産党の議席を剥奪し、分母を減らす)
  ・10/21国際連盟脱退
  1934年
  ・8/19国家元首に関する法律の措置に対する国民投票 投票率95.7%、うち89.9%が賛成票
  1936年
  ・8/1ベルリンオリンピック開幕

9.米国の戦略転換と日本が歩むべき道
(1)中国重視のアメリカのアジア戦略
①2010年、中国はGDPで日本を抜き世界2位に。2020年頃には米国を抜いて1位に?
②アメリカの輸出は2007年以降、日本よりも中国が上回っている
 *中国の輸出相手は(日本を10とすると2009年)
 米国23 EU27 ASEAN11
③アメリカはG2(米中が世界を調整)体制を求めている。
*同時に中国の軍事的脅威に対抗するため日本を活用

(2)日本は対米従属で繁栄してきたのか
①プラザ合意で意図的な円高→日本の輸出産業へ打撃→国際競争力の低下
②1992年「BIS規制」(銀行の自己資本比率に関する規制)
 日本の銀行の海外活動規制が目的
 1990年世界の金融機関ベストテンに日本の銀行7→2009年には三菱UFJが9位だけ
③日米構造協議(1989-1990)
・日本経済破壊作戦
・「ものづくり」への投資を抑制、輸出産業の抑制、630兆円の公共投資を強制
 →その結果、日本の技術力は低下、むだな公共事業で財政破綻
④対日経済支配総仕上げとしてのTPP
・公的医療保険制度の解体
・あらゆる分野に外資参入(病院、学校、保険、公共事業、銃)

(3)日本が進むべき道
①力関係の冷静な分析
・中国に軍事力では対抗できない。
②領土問題の解決
・中国の主張:15世紀から文献に「魚釣島」の記載がある。
 日本の主張:1895年閣議決定で尖閣諸島を日本領に編入
・米国は「尖閣諸島の領有権についてはどちら側にもつかない」
・ポツダム宣言…「諸諸島」の帰属は米英中(ソ連)が決定する
・領土問題を武力紛争にしないために
  領土問題を避けるための取り決めを行う(棚上げ論は有効)
  国際司法裁判所に提訴
  多角的な相互依存関係を構築
  国連原則(非武力)を前面に
③ドイツとフランスに学ぶ
・戦争被害を繰り返さない決意
・石炭、鉄鋼の共同管理→EC、EUへ発展 協力しあうことが両国の利益になる
ドイツ議会外交委員長の言葉
  戦後、我々はフランスとの確執を克服した。その我々からみると、日中関係がどうして改善されないか不思議 だ。独仏には昔から領土問題がある。二回の戦争を戦った。相手の国がいかに非人道的なことを行ったかを指摘し合えばお互いに山のようにある。しかし、我々は二度の戦争を繰り返し、このような犠牲を出す愚行を止める決意をした。憎しみ合いを続ける代わりに、協力し合うことの方が両国民に利益をもたらすことを示した。そして、これまで戦争の原因にもなった石炭・鉄鋼を共同管理するために、1950年欧州石炭鉄鋼共同体をつくった。それが欧州連合に発展した。いまや誰も独仏が戦争することはないと思っている。

④ASEANに学ぶ
・歴史、人種、宗教など多くの面で異なりを持つ国々
・「平和や経済的安寧の育まれるべき理想は域内諸国間の協力の促進によって最もよく達成される」とう共通した信念

⑤東アジア共同体の可能性
<条件>
1)紛争を避けたいという強い思いが存在すること
2)領有権の問題よりも紛争回避が重要であるという認識があること
3)複合的相互依存を進められる分野が多く存在していること
<日中相互依存関係を強化できる分野>
・環境、公害  ・水資源(海水の淡水化)

10.おわりに
・この学習会の中身は、特に後半部分は孫崎享氏の文献によるところが大きい。
・孫崎氏は日本がアジア重視の道を進むことは、アメリカの圧力があって不可能と断定
・孫崎氏は最後にノルマンディの話を例にして「犬死に」でもいいと話を結んでいる。

 ノルマンディへ行け。そして墓標をみろ。多くの戦士は崖をよじ登った。上から機関銃を撃ってくる。兵士は登るだけが精一杯で撃ち返すことすらできない。ノルマンディはその人たちの墓標である。しかし、犬死にとみられる行為の積み重ねの上に、誰かが登り切った。そして勝利を得た。






<参考文献>
孫崎享「不愉快な現実 中国の大国化、米国の戦略転換」
孫崎享「これから世界はどうなるか 米国衰退と日本」
半田滋「集団的自衛権のトリックと安倍改憲」
カレル・ヴァン・ウォルフレン「人物破壊 誰が小沢一郎を殺すのか」
孫崎享「アメリカに潰された政治家たち」
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」報告書(平成20年6月24日)
「安全保障の法的基盤の再構築に関する懇談会」議事要旨(首相官邸HP)
松葉真美「集団的自衛権の法的性質とその発達-国際法上の議論」 
松竹伸幸「集団的自衛権の深層」
浅井基文「すっきりわかる集団的自衛権Q&A」
関岡英之「奪われる日本」
関岡英之「拒否できない日本」

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