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2013年4月8日月曜日

山形県内の介護殺人・心中事件(2013.5.14更新)

山形県内の介護殺人・心中事件(2006年~ )

【2006年9月 東根市】
19日午後5時ごろ、山形県東根市東根、無職○○さん(89)方で、○○さんと長女○○さん(60)、○○さんの妹○○さん(88)の3人が死亡しているのを、近くに住む○○さんの親せきの男性が見つけ、110番した。
村山署の調べでは、○○さんと○○さんは1階寝室の2つのベッドでそれぞれ、布団が掛かった状態で死亡していた。○○さんは玄関近くの茶の間で首をつっていた。
3人に目立った外傷がなく外部から侵入した形跡もないことなどから、村山署は3人が心中した可能性があるとみて、司法解剖して死因を調べる。遺書はなかった。
○○さんは○○さん、○○さんとの3人家族。近所の人などによると、○○さんと○○さんは認知症が進み寝たきりで、○○さんが身の回りの世話をしていたという。
近くに住む女性(54)は「○○さんが2人の介護をしていたが、体調を崩すなどして大変そうだった」と、驚いた様子で話した。
○○さんと○○さんは認知症などで要介護認定を受け、○○さんは最も重い要介護5、○○さんは要介護3だった。2人を介護していた○○さんも足などの具合が悪く要支援2だったという。近所の人の話では、○○さんたちは、5~6年前に山形市から引っ越してきた。近くの女性は「ここ数カ月はストレスのためか、○○さんも体調を崩し、入退院を繰り返していたようだ」と話した。【毎日新聞】 2006年9月19日

【2008年4月 山形市岩波】
◆後期高齢者医療制度で初の犠牲者が出た
後期高齢者制度が4月15日より実施されたが、早くもこの制度の犠牲者と思われる痛ましい事件が、山形市の岩波地区で発生した。
地元の山形新聞や河北新報(本社宮城県仙台市)の記事で、事件の概略を読むと次の通りである。
さる08年4月20日、午後2時40分頃、山形市岩波地区の、無職Nさん(58)方で、Nさんの弟が、自宅南側の物置小屋でNさんが首つり自殺をしているのを発見。自宅は施錠されており、110番通報で、駆け付けた山形署員は、自宅寝室にてNさんの母Kさん(87)の絞殺遺体を発見した。こたつの上に「生きるのが嫌になった」などと書かれた遺書(走り書き)が見つかったことなどから、同署はNさんが母親のKさんを殺害した後、自殺した無理心中事件の可能性が高いとして調べている。
家庭の状況は、数年前、父親が亡くなった後、母のKさんは次男のNさんと二人暮らしをしていた。Kさんは、高齢のためか、脚や腰が悪く、昨年9月に入院。事件の起こる5日前に退院していた。近頃では、母親に認知症の症状も出ていた。
Nさんは、数年前から、母親の介護のために、近くにある蔵王山中の牧場で臨時職員をしながら母親の看病を続けていた。しかし冬場には、豪雪地帯で収入の道がなく、母親の僅かな年金を生活費に回して、入院費用などをやっとのことで捻出していたと推測される。近所では、Nさんは、母親孝行の息子として評判だった。それだけに穏やかな人柄Nさんが、母親を殺害するという事件を引き起こしたことに地元住民もショックを受けているようだ。
 ◆低所得の高齢者に血も涙もない新高齢者医療制度
事件の起きた岩波地区は、JR山形駅から6キロほど離れた山間地だ。東南方向には、山形・宮城両県にまたがる霊峰蔵王山(1841)が聳える風光明媚なところである。しかしこの地域にも高齢化の波は、容赦なく押し寄せている。お年寄りは、僅かな年金で生活を支えながら、何とか周囲の支えによって、高くなる一方の医療費を払ってきた。どんどん年金の支給額も下げられて来た。そこに今度の「後期高齢者医療制度」が実施され、結局Nさん親子のような低所得の家庭が、親子心中という悲しい決断をせざるを得ない状況にまで追い込まれた形だ。
近所の人の話では、Nさんは、「(新医療制度で)母親の年金から保険料が引かれると生活が苦しくなる」(河北新報21日朝刊)と語っていた。また、近所の民生委員には、「(新制度で)保険料が上がったし、再入院するには、医療費も上がり、大変だ」と語り、暗に再入院の費用の捻出が出来ずに苦しんでいる様子だったという。民生委員は、21日にNさんと共に「新しい医療制度で入院費がどうなるか、山形市内の病院に話を聞きに行く約束をしていた。」(朝日新聞21日朝刊)

【2008年8月 鶴岡市】
08年8月に自宅で認知症の妻を絞殺したとして、殺人罪に問われた、鶴岡市松根、元旧櫛引町議、S被告(77)の初公判が6日、山形地裁(伊東顕裁判長)で開かれた。S被告は「殺した覚えはない」と殺意を否認。弁護側も「殺害する意思も動機もなく、首を絞めたこともない。不幸な事故」と無罪を主張した。
争点は、(1)殺意を持ち首を絞めたか(2)責任能力が完全にあるか--の2点。検察側は冒頭陳述で「認知症を患っていた妻Mさん(当時72歳)が、薬を飲まなかったことに腹を立てて首を絞めた」などと主張。死因は窒息死で「首を3分以上絞めた」と述べ、責任能力も問題ないとした。
一方、弁護側は「ベッドから離れた妻を戻そうと引き上げる際、体を押したり引いたりして首に手がかかった可能性がある」としたが、死因は「妻がベッドから落ちた際にどこかに頭をぶつけたことなどの複合的な要素が作用した可能性がある」と、別の鑑定医の意見書を元に主張。責任能力についても、心神耗弱を主張した。
起訴状によると、S被告は08年8月30日午後10時ごろから31日午前8時50分ごろまでの間、自宅の1階寝室で殺意を持ち妻の首を絞め、窒息死させたとされる。毎日新聞

【2009年2月 尾花沢市】
尾花沢市寺内の農業、Hさん(53)宅で6日、Hさんが母Rさん(74)と無理心中を図ったとみられる事件。Hさんは、寝たきりのRさんを病院から連れ戻し、昨春から自宅で世話をしていた。親類の女性(70)いわく「親孝行な息子」に何があったのか。【浅妻博之、米川康、細田元彰】
女性によると、Rさんは03年から市内の尾花沢病院に入院していたが、Hさんが「親は自分の家で看病するもんだ」と昨年4月に家に連れて帰ったという。「『母が戻ることになった』とうれしそうに話していた」と女性は振り返る。Rさんは話せず、食事も流動食だったが、Hさんが介護を一手に引き受けた。夜も床ずれにならないよう、2時間に1回は様子を見ていたという。
Hさんは、普段はあまり女性宅を訪れないが、今月3日から5日まで3日続けて訪れたという。「介護疲れで悩んでいる感じだった。そこまで悩んでたなんて。もう少し気付いてあげられれば」と女性はうつむいた。
Rさんの姉(78)によると、Rさんは03年に転倒して以来寝たきりで、その後、話しかけても反応がなくなったという。「私のことが分からないようだった。認知症だったのでは」と話す。
尾花沢署によると、Hさん方は、Hさん、Rさん、妻(54)、長男(24)、長女(21)の5人暮らし。Hさんは、高校卒業後から農業を続けていたが、昨年4月からは、健康食品の販売もしていたという。
毎日新聞
尾花沢市殺人:長男、起訴内容認める 弁護側、責任能力争う姿勢 :山形地裁初公判
尾花沢市で2月、介護していたRさん(当時74歳)を殺害し殺人罪に問われた、長男のH被告(53)の初公判が2日、山形地裁(伊東顕裁判長)であった。H被告は「間違いないです」と起訴内容を全面的に認めた。弁護側は犯行時での心神耗弱を主張。責任能力を争う姿勢を見せた。
弁護側は「精神障害で善悪の判断がつかず、やってはいけない行為を抑えることが非常に困難な状態だった」として、うつ病を主張した。検察側は、ノイローゼだったが責任能力に特段問題はないとした。
検察側は冒頭陳述で、動機について(1)介護疲れ(2)経済的不安(3)会員になった健康食品会社の商品の勧誘で家族や友人と疎遠になり、周囲から孤立――の三つを指摘。「犯行時に母親の担当医から手術の話を勧められた際、『余命2カ月』と言われたと誤解し、母親の病状が良くならないことで将来を悲観した」と述べた。
被告人質問でH被告は「元気だった母があんなみじめな姿になってこれ以上耐えられなかった。施設で死ぬなら自分の家で死なせてあげたかった」と涙ながらに語った。
起訴状などによると、H被告は2月6日正午ごろ、尾花沢市寺内の自宅1階寝室で、自分の腹を刺した後にRさんの首を絞め、さらに包丁(刃渡り約17センチ)で首を2回刺して殺害。その後再び自身の首や腹などを刺すなどして心中を図ろうとした。

【2009年4月 上山市】
 4月に山形県上山市で、夫(84)が介護疲れから寝たきりの妻=当時(82)=を殺害し、殺人罪に問われた事件の裁判。法廷では病気の夫が1人で介護に当たり、貯金を切り崩しながら暮らす介護生活の悲惨さが明らかにされた。裁判長は「老老介護に関しては介護する者の不安を取り除く施設や施策が十分とは言えない」と判決で異例の言及をした。
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた上山市の無職K被告(84)の初公判が7日、山形地裁であり、K被告は起訴事実を認めた。
検察側は冒頭陳述で「介護していた妻のHさん(当時82歳)の病状が回復せず、自身の体調も優れないことなどから将来を悲観し、無理心中を図ろうとした」と動機を指摘。「4月から介護料金が値上がりすることをヘルパーから聞き、殺害を決意した」と主張した。
冒頭陳述などによると、Hさんは2005年に要介護認定5とされた。K被告は、病気をわずらいながらも、息子や孫に迷惑をかけられないという思いから、介護費用を自身の年金などから出し、1人で介護を続けてきた。
弁護側は「ヘルパーが感心するほど熱心に介護していた。『老老介護』で精神的、肉体的に追いつめられていた」などと主張。親族や地域住民ら約630人が嘆願書を同地裁に提出した。K被告は終始うつむいて、時折ハンカチで目頭を抑えていた。
起訴状などによると、K被告は今年4月2日午前3時頃、自宅寝室で、Hさんの首をネクタイなどで絞めるなどして窒息させ、殺害したとしている。
上山の妻殺害:老老介護の悲惨さが生んだ事件: 猶予判決 山形地裁
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた、上山市の無職K被告(84)の判決が29日、山形地裁であった。I裁判長は「犯行結果は重大であるが、介護や経済的な負担を抱え、犯行の経緯、動機には深く同情する」などとして、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の有罪判決を言い渡した。
I裁判長は動機について「介護、医療費がかさみ貯金を切り崩して生活していた被告が、自らの体調が悪化する中、自分が先に死ねば家族に迷惑がかかると思っていたところ、09年4月から介護料金が値上がりすると聞いて犯行を決意した」と指摘した。また老老介護について「精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとは言い難い」とし「行政に助けを求めなかった被告の気持ちも理解できる」と述べた。
判決後、I裁判長が「奥さんのことを一番覚えているあなたが生きている限りは、奥さんの魂は生き続けるのだから、奥さんのことを覚えて長生きしてください」と話すと、K被告はすすり泣きながら、力強くうなずいた。
判決によると、K被告は4月2日午前3時頃、自宅寝室で、妻のHさん(当時82歳)の首をネクタイで絞めるなどして窒息させ、殺害した。
[判決文(抜粋)]
 介護状況は被害者に床ずれを作らせないなど、医師やヘルパーも感心するほど行き届いたものだった。被害者より先に自分が病死するのではないかという不安も抱くようになった。年金だけでは足りず、少ない貯金を切り崩しながら生活していた。被害者を施設に入れるにも費用が出せない。
 平成21年4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、被害者を道連れに自殺しようと決意した。
 老々介護に関しては、精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとまでは言い難いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理解できる。
 被告人は、首に傷が付かないよう気遣って、手やネクタイで首をしめた。泣きながら「Hごめんな」「俺もすぐいくから」と話しかけ、頬も寄せたりもして、配慮と謝罪の情も示している。
 被告人の刑事責任を軽視することはできないが、他方では相当にくむべき事情がある。本件は前記量刑分布の下限近くに位置づけるのが適切な事案であって、被告人を実刑に処するのは相当とはいえず、主文の刑を定め、その執行を猶予するのが相当である。

【2009年11月 山形市】
山形の住宅で70代夫婦死亡 妻の介護疲れで心中か
山形市印役町の民家で11月下旬、住人の男性(72)と妻(71)が遺体で発見された事件で、男性が妻の介護疲れで無理心中を図った可能性があることが4日、県警の捜査関係者への取材でわかった。
  山形署は男性が妻を絞殺後、薬物などで自殺した可能性があるとみて調べている。
  捜査関係者によると、遺体周辺や室内に第三者が侵入した形跡が確認できず、部屋が荒らされた跡もないため、死亡時は男性と妻しかいなかったとみている。
  妻はベッド上で掛け布団が掛かった状態で、男性はベッド脇の畳の上で、いずれもあおむけで横たわっていた。

【2010年2月 山辺町】
橋から母落とし殺害 容疑の長男逮捕 介護疲れか=山形
 山辺町大蕨の平(たいら)橋下の雑木林で2009年11月27日、親子2人が倒れているのが見つかり、母親(当時86)が外傷性血気胸で死亡した事件で、山形署は1日、一緒に倒れていた東村山郡の無職の長男(45)を殺人の容疑で逮捕した。
  発表などによると、長男は母親を乗用車に乗せて橋まで連れ出し、約20メートル下の斜面に転落させた疑い。
  母親を先に転落させ、その後自分も飛び降りたとみられ、長男は事件後、「自分で母親を落とした」などと供述したが、逮捕後は、動機や犯行の方法について「覚えていない」などと供述している。
  山辺町役場関係者などによると、母親は足に障害があり要介護度「5」で、自立歩行が不自由な状態。男は精神疾患の治療をしながら母親を介護していた。同署は、男が介護疲れから心中を図った可能性もあるとみている。
  役場関係者は「民生委員らが訪問しても『大丈夫だ』と言われ家に入れなかったようだ。老々世帯や高齢独居世帯に比べ、親子世帯なので危険が少ないとの判断もあったのでは」と話している。

【2010年12月 秋田(遊佐町)】
昨年12月孝行息子が母親を殺した『秋田の老老介護殺人』の判決
今月2日、秋田地裁で判決言い渡しがあり、B裁判長は懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。
【事件】
 昨年12月11日午前7時50分ごろ、秋田市新屋の交番に1人の男が現れた。
 「自宅で母親を殺しました」-。
 男の話を聞いた警察官が県営住宅1階の一室に駆けつけると、寝室の中央に敷かれた布団の中で、仰向けになった母親Iさんが冷たくなっていた。119番通報で駆けつけた救急隊員は、母親Iさんに呼吸も脈もなく、死後硬直がみられたことで、病院に搬送はせず、午前9時28分、医師が死亡を確認した。
 逮捕、起訴されたのは息子のK被告。警察の員面調書などによると、K被告はその日の午前5時ごろ、寝ていた母親Iさんの脇に正座した。手には介護に使っていたクッキングペーパー。それを母親Iさんの顔にかぶせ、その上から右手で鼻と口を押さえた。
 母親Iさんは1度、息を吹き返したが、K被告は構わずそのまま1~2分押さえ続けた。母親Iさんはやがて動かなくなった。
【背景】
 K被告は、山形県遊佐町に長男として生まれた。下には妹2人がいた。
 農業を手伝った後、塗装工として県外で働くようになったが、20代半ばの頃、父親が用水路に転落し、脊髄を損傷して車いすでの生活を余儀なくされたことから帰郷した。仕事の傍ら、父親の介護をする母親Iさんを手伝い、ともに介護をするようになった。
 やがて母親Iさんが加齢のため体力が落ちると、床ずれの治療やおむつの交換など、力がいる世話は、K被告が中心になってやるようになった。
 さらに平成14年に父親が亡くなるころ、母親Iさんは認知症にかかり、徘徊するようになる。その後、足も不自由になり、寝たきりの生活に。K被告は母親Iさんの介護を独力でするようになる。そして、独身のまま50代を迎えていた。
【法廷】
秋田地裁1号法廷で開かれた公判で、弁護士は被告人質問でK被告に介護の状況を訊いた。
 弁護士「母親にどんな食事をさせていましたか」
 被告「北海道のレトルト食品会社から取り寄せた10種類をミキサーにかけ、おかゆやサツマイモ、カボチャのつぶしたものを与えていました。冷蔵庫に小分けして保存していました」
 弁護士「どんな味付けでしたか」
 被告「母は甘い物が好きでした。でも砂糖は体に悪いと思い、はちみつを入れていました」
 弁護士「いつ食べさせるんですか」
 被告「朝と晩は自分が。昼はヘルパーの人が食べさせてくれました」
 弁護士「尿の処理は?」
 被告「最初はリハビリ用のパンツ。おむつをはかせるようになりましたが、自分で出せなくなり、カテーテルが入れっぱなしになりました」
 母親Iさんは数年前から、膀胱炎や腎盂炎にかかり、40度の高熱を出しては市内の病院に3回入院した。
 その都度、抗生物質を投与され、退院。事件の2週間前も4度目の退院をしたばかりだったが、事件の前日に再び発熱した。
 往診の医師やヘルパーが薬を投与し、夕方には熱が37・4度まで下がった。だが、ゼーゼーと息は荒いままだった。
 ヘルパーが帰ると、K被告は、さんの大好物のプリンをさじで口に持っていった。が、食べようとしない。スポーツドリンクを飲ませようとするが、飲み込まない。
 「大丈夫?」「食べないとだめだよ」-。声をかけながら、30分おきに何度か食べさせようとしたが、駄目だった。
「病院で管を通されるなら、自分の手で…」
(弁護)
 被告の弁護士は、被告人質問で、彼が介護に疲れて殺害したのではなく、病院で管をつながれて最期を迎えるのに耐えられなかったからだ、という趣旨の言葉を引き出そうとする。
 弁護士「以前の入院と比べて、どう見えましたか」
 被告「非常に(病状が)悪いと感じました。息が荒く苦しそうだった」
 弁護士「そうした容体を見てどう思いましたか」
 被告「このままでは長くないのではないか。寿命が尽きかかっているんじゃないかと-」
 弁護士「病院に連れて行こうと思いませんでしたか」
 被告「思いました」
 弁護士「なぜ、そうしなかったのですか」
   被告「前に入院させたとき、医者から胃に管を通して栄養を入れる手術を勧められ、反対だったからです」
 弁護士「なぜ反対なのですか」
 被告「母はだんだん体力がなくなり、目は見えなくなり、耳も聞こえなくなっていました。最後の味覚まで奪われて、管を入れられて最期を迎えるのは、母にとって、あまりに酷で悲しいこと。とても見ていられませんでした」
 弁護士「そして、どうしようと思ったのですか」
 被告「延命措置はだめだ。これ以上苦しませたくない。楽にさせてやりたいと思いました」
 K被告は犯行後、風呂場の介助用アームに電気コードをくくりつけ、首をつろうとしたが死にきれず、交番に自首した。
(裁判員)
 だが裁判員は、K被告が介護疲れの末に起こした殺人事件ではないか、という疑問を呈した。裁判員の女性の1人は問いただした。
 「長年介護してきて、自分もこれ以上苦しみたくないという気持ちはありませんでしたか」
 被告「苦しいとかやりたくないとか、そういう気持ちがあれば、介護なんかできません。でも、本当にそうか(自分が疲れたから殺害したのか)といわれれば、(介護に)疲れたこともあったし、長く続けたくないと思ったこともあります」
(家族)
 酌量を求める家族、勤務先からは嘆願書も
 証人として出廷した、東京都内に住む3歳違いの妹は涙ながらに兄をかばった。
 弁護士「あなたはどれぐらい母親を訪ねていましたか」
 妹「年に2回ぐらいしか来られなかった。兄の言葉に甘えて、まかせっきりにしていました」
 弁護士「母親に手をかけた兄をどう思いますか」
 妹「不謹慎かもしれませんが、兄は愛情を持って母を介護していました。天国まで導いてくれたんだと思います」
 被告も目頭を押さえた。
 弁護士「許せない気持ちは?」
 妹「あるはずないです」
 弁護士「(山形県の)お墓に、母親といっしょに加害者の被告も入れますか」
 妹「入れます。母を愛情深く見守ってきたのですから…」
 K被告の減刑を求める嘆願書を集めた勤務先の会社の社長も証人として出廷した。
 被告の真面目な働きぶりを紹介し、「できるだけ早く社会にもどれるようにしてほしい」と訴えた。
(検察)
  検察側は論告で、母親Iさんが事件前まで食事をし、押さえられた口から息を漏らしたのは「生きようとする最後の抵抗だった」と指摘。「その命を奪った重大さは許されない」と厳しくK被告の行為を断罪した。
 また、K被告は母親Iさんの分を合わせて年金16万円、塗装工として約13万円の月収、さらに預金が約200万円あり、ヘルパーなどの支援を受け、ドライブや映画を楽しむ余裕があったとして、「ぎりぎり追い込まれての犯行でなかった」と述べた。
 さらに、進行する高齢化社会の中で、「安易に軽い刑を科せば、同様の事案が発生することを抑制できなくなる」と社会に与える影響を挙げ、懲役6年の判決を求めた。
 一方、弁護側は献身的な長年の介護や自首の事実、罪に対する自覚などを挙げて、情状酌量し、執行猶予判決を出すよう求めた。
【判決】
 B裁判長は執行猶予判決とした理由として、自首していることや罪を自覚していることに加え、「献身的な介護を10年も行っていたのであって、被害者に対し、深い愛情をもって接していたことは疑いがない。犯行当日に被害者がもう助からないかもしれないと思い込んだとしても無理からぬ面がある」と情状酌量した。
 もっとも殺害行為については、「医師による治療を受ければ被害者の容体が安定する可能性があり、ほかに適切な手段をとることができた。そもそも、そのような理由で人の命を奪う行為は正当化されるものでない。生命を奪うという結果を生じさせたことは重大」とも述べ、被告の殺害行為を非難した。
<現状>
 厚生労働省の平成22年度高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は平成20年度現在1978万世帯で全世帯の約41%。
 65歳以上の要介護等と認定された人は19年度末で約438万人。世話をする介護者が60歳以上の「老老介護」は、全体の60・8%にも及ぶ。その半数以上にあたる36・2%が70歳以上。

【2011年4月 酒田市】
酒田の住宅で男女2遺体発見 病死と自殺か
 22日午前10時半ごろ、酒田市若竹町2の住宅で、男女2人が和室の布団の上で死亡しているのを、大家の男性が発見した。大家はこの住宅に住む90代の女性と、60代の息子の2人と連絡が取れないため、部屋に入った。県警捜査1課などは、男女はこの親子ではないかとみている。同課などは、女性に目立った外傷がなく、男性は首にひもの痕があったことなどから、女性が病死し、男性が自殺した可能性が高いとみて調べている。
 同課によると、遺体の傷み具合などから、ともに死後数日が経過しているとみられる。
 近くの美容師の女性(70)は「こんなことになるんだったら、日ごろから声を掛けたり、様子を見に行ったりすべきだった」と顔を両手で覆い声を詰まらせた。今月初めに新聞販売店の従業員が「電話をしても応答がなく集金ができない」と困った様子で来た時も、連れ立って訪ねることもしなかったと悔やんだ。

【2011年4月 鶴岡市】
寝たきりの義母にけがをさせたとして、山形県警鶴岡署は2日、鶴岡市小名部、無職S容疑者
 (58)を傷害容疑で逮捕した。暴行後、義母は死亡しており、同署は死因を調べている。
 発表によると、S容疑者は4月30日夜、自宅寝室で、同居する義母のS子さん(84)の顔を引っかくなどしてけがをさせた疑い。
 S容疑者が5月1日正午過ぎ、「義母が亡くなっている」と鶴岡署に通報した。駆け付けた署員が検視を行い、S子さんの顔や首などに外傷を確認した。2日午後に司法解剖する。
 S容疑者は調べに対し、「引っかいたことは間違いない。1人でやった」などと供述しているという。
 S子さんは介護が必要だったという。S容疑者は、S子さんと、その夫(84)、同容疑者の次男(29)との4人暮らし。

【2011年7月 鶴岡市】
民家から女性2人の変死体 山形・鶴岡、無理心中か
 11日午後8時10分ごろ、山形県鶴岡市の男性(67)から、妻(66)と次女(38)が死亡していると119番通報があった。
 県警鶴岡署によると、妻は1階の居間で倒れており、次女は物置で首をつっていた。妻の首には絞められた痕があった。家の中が荒らされた形跡はないという。
 同署は状況などから無理心中の可能性があるとみて調べている。この家は3人暮らし。

【2011年7月 真室川町】
真室川母親殺害懲役8年
 自宅で実母を殺害したとして、殺人の罪に問われた真室川町新町、元醤油(しょうゆ)製造会社副社長K被告(56)の裁判員裁判の判決が1日、山形地裁であった。
 Y裁判長は「自殺を考え、妻子に迷惑がかからないよう母を殺害した動機は身勝手」などとして、懲役8年など(求刑・懲役13年など)を言い渡した。
 判決でY裁判長は「被害者の首をベルトで絞め、倒れた後も両手で首を押さえ続け、さらに胸部を包丁で突き刺した極めて残忍な犯行」と指摘した。
 一方で、弁護側が主張した、会社経営がうまくいかず、認知症の母を抱え思い悩んでの犯行だったとの点については、「経営の悩みなどを抱えながら相談できる相手がおらず、追いつめられていた」と述べ、弁護側の主張を認めた。また、複数の嘆願書が寄せられ、遺族も処罰を望んでいないと、判決の理由を説明した。
 判決文を読み終えたY裁判長は「今後は自分のことも含めて命をもっと大切に生きてほしいと思います」と語りかけた。

【2012年2月 朝日町】
 5日午後0時40分ごろ、山形県朝日町の無職男性(67)方で、男性と母親(93)が
死亡しているのを訪れた親戚が見つけ、110番した。
 寒河江署によると、男性は2階の屋根裏部屋で首をつった状態で見つかった。母親は1階で倒れており、首を絞められたような痕があった。2人とも死後2~3日経過しているとみられる。
 室内に荒らされた跡はないという。同署は無理心中の可能性もあるとみて死因を調べている。母子は2人暮らし。

【2012年7月 鶴岡市】
77歳と54歳 生活保護受給の親子が心中か 山形・鶴岡市 
  9日午後1時半ごろ、山形県鶴岡市双葉町の無職、O子さん(77)の住宅で、息子のTさん(54)が廊下で首をつって死亡しているのを訪れた親戚が発見し、110番通報した。
 駆け付けた鶴岡署員が茶の間で座ったまま亡くなっていたOさんを見つけた。
  県警によると、2人に着衣の乱れや目立った外傷はなく、遺書らしきメモが残されていたことから 心中の可能性もあるとみて死因を詳しく調べる。
  鶴岡市によると、Oさん宅は2人暮らしで生活保護を受給していた。
 1カ月当たりの生活保護費9万6200円のほか、親戚から援助もあったという。
 Oさんに介護の必要などはなかったが、息子に疾患があったという。
  担当の民生委員が連絡を取れないのを不審に思い、親戚に連絡した。

【2012年8月 鶴岡市】
 13日午前8時半ごろ、鶴岡市城南町の民家で、「母親が息をしていない」と家族から119番通報があった。救急隊員が駆け付けたところ、この家に住む無職、Yさん(76)が寝室で死亡していた。Yさんの背中や手足にあざなどの外傷があり、鶴岡署が同居の長男で団体職員、S容疑者(51)に事情を聴いたところ「12日夜、横になっていた母親の背中を蹴った」などと暴行を認めたため、14日未明に傷害容疑で逮捕した。

 
 検察庁の冒頭陳述によると、被告は2012年8月午後10時頃、同居する母Yさん(当時76)が酒に酔っていることに腹を立て、頭をコップの底で殴るなどして、頭蓋内損傷で死亡させたとされる。弁護側は、被告は飲酒をやめられないYさんのことで悩んでおり、事件は偶発的なものだったとして、寛大な処分を求めた。(朝日)

【2012年9月 酒田市】
無理心中?:自宅物置で夫妻?が死亡
 14日午後3時半ごろ、酒田市飛鳥、無職、Mさん(82)方の木造2階建て物置小屋の2階で妻のYさん(76)が死亡しているのを、酒田署員が発見した。さらに1階からMさんとみられる男性遺体が見つかり、同署は身元の確認を急いでいる。同署は無理心中の可能性があるとみて捜査を始めた。
 同署などによると、Mさん方は2人暮らし。男性の遺体は1階で布団で横たわった状態で見つかった。年齢70~80歳で、腐敗が進んでおり死後数週間が経過しているとみられる。またYさんは死後数日が経過しているとみられる。2人とも目立った外傷はなく、司法解剖をして身元と死因を調べる。

【2013年2月 鶴岡市】
鶴岡の79歳女性殺害:夫を殺人容疑で逮捕 「一緒に死のうと思い」
 鶴岡市馬町の民家で、この家に住む無職、H子さん(79)がベッドで死亡しているのが見つかった事件で、鶴岡署は16日、同居する夫の無職、N容疑者(80)を殺人容疑で逮捕した。「自分も一緒に死のうと思い妻を殺した」と容疑を認めている。
 逮捕容疑は、15日、自宅1階の寝室で、H子さんの首を布製のひもで絞めたうえ、両手で絞めて殺害したとしている。
 同署によると、16日の司法解剖の結果、死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明した。また長女(57)がH子さんを15日正午ごろに見ており、直記容疑者がH子さんの首を絞めたのは同日正午から午後4時半までの間とみられる。
 同署によると、ベッドの上に刃物があった。N容疑者の左足首に切り傷があったため関連を調べている。長女がHさんを発見したときN容疑者はベッドの横に立ってじっとしていたという。H子さんは寝たきり状態で認知症の症状があったといい、N容疑者も病気で約1カ月前から入院していて数日前に退院したばかりだった。N容疑者は自分の体調のこともあり、妻を残しては死ねず、子供たちに迷惑をかけられないという話をしているという。【毎日新聞】

【2013年2月 朝日町】
・父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火
同居の父母の世話を苦に自宅に火を付けたとして、山形県警寒河江署は26日、山形県朝日町松程、無職H容疑者(37)を現住建造物等放火容疑で逮捕した。
 発表などによると、H容疑者は25日午後7時頃、1階居間に灯油をまいて火を付け、木造2階住宅約126平方メートルを全焼させた疑い。約2時間15分後に鎮火し、けが人はなかった。
出典父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火(読売新聞)
 県警幹部によると、H容疑者は調べに「目の悪い父や足の悪い母の面倒を見るのが嫌になった。仕事を失い、生活も苦しかった。家を燃やし、今の暮らしを抜け出したかった」と供述している。H容疑者は父(75)と母(62)の3人暮らし。両親の年金で生活し、H容疑者は2人の身の回りの世話をしていた。
 H容疑者は自宅に火を付けた後、2人を車に乗せて同県南陽市に向かい、同日午後9時半頃、南陽署に出頭した。両親は近くの駐車場に止めた車の中にいた。H容疑者は「事態の重大さに気付き、罪の意識にさいなまれて名乗り出た」と話しているという。

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