2013年10月21日月曜日
小さな神様(石井光太さんの講演概要)
石井さんは、震災犠牲者とその家族の集まる場所、遺体安置所を取材しました。何かに抗議しなければ気が済まない小学生の娘を流されたシングルマザー、それに対してひたすら謝り続ける市の職員、暗く冷たい空間で検死を続ける医師など、悲しみすらない絶望の空間に身を置く中、一点の温かいものをみつけました。
それは毎朝五時半に安置所に来て、全部の遺体に声をかける葬儀社で働いた経験のある老人のことです。その老人は、死体ではなく遺体という気持ちで、遺体に対して尊厳が与えられなければ、遺族は二度とこの町で生きていけなくなる、生きていこうという気持ちが失われると、遺体と遺族に声をかけ続けていました。
赤ちゃんを亡くし、毎日赤ちゃんの遺体のもとを訪れては謝り、泣き続けていた両親の前でこう語りかけます。「ぼうやのこと必死に助けたの知っているよね。天国に行ったらお父さん、お母さんのこと思ってくれるよね」
それをきいた両親の安堵、遺体に語りかける言葉のぬくもり、この温かさを書きたくて「遺体」を書いたのだと石井さんは言います。
そして、幽霊をみたという話が広がったことについて、お化けでもいいから会いたい、会いに来たとすがりつきたい遺族の気持ちに言及し、人間は弱いもの、すがりつかなければ生きていけないものだと語りました。
ある遺族が「おなかまさん」(巫女)のもとを訪れ、「なんでみつからないの?」と尋ねます。「おまえは強い娘だ。僕はみんなが見つかった後で出てくるよ。悲しい思いをしている人たちの力になってくれ」と巫女はこたえたそうです。
石井さんは、こうした宗教では支えきれない宗教の名が付かないものを「小さな神様」と呼び、この大切さを指摘します。合理的根拠がなくても、100%肯定できなくても「そうかもしれないね」という言葉があれば何とか生きていける人間もいる、小さな神様を肯定する意義について、世界各地の貧困現場を訪れた経験も紹介しながら話されました。
そして、家族以外では医療従事者が患者の一番近くにいること、その医療従事者が「小さな神様」を大切にする気持ちを持って接することの意義を静かに語りました。そうした小さな神様によって救われる、それができる世の中が真に豊かな世の中ではないかと結びました。
2013年6月25日火曜日
「生活保護改正法」の中止を求める議会請願意見陳述
生活保護問題で山形市議会に請願しました。山形市では今年から請願趣旨を説明する機会を与えてくれることになりましたので、早速説明に行きました。その原稿をアップします。
守岡等
現行の生活保護法は、生活保護申請は口頭でも可能であるとされており、必要な書類の提出を義務づけていません。改正案は、申請を書面とした上で、資産及び収入、家賃など、保護の要否判定に必要な書類の提出を申請の要件化しています。
これまでいくつかの福祉事務所で、申請意思を表明しても申請書を渡さず、申請時に必要のない書類の提出を求めて申請権を侵害する「水際作戦」が行われてきましたが、今回の改正はこれを合法化・法制化するものです。
こうした批判を前に、衆議院では書類を提出できない「特別な事情」がある人は例外扱いする修正が行われましたが、修正したことで書類提出が大原則で書類提出がない場合の申請受理はごく限られたケースにとどめることにお墨付きを与えたのと同然です。政府は「改訂でも運用は変わらない」といっていますが、それならば法改正の必要性はないのではないでしょうか。
さらに現行法は、扶養義務者による扶養を保護の要件とはしていませんが、改正案は扶養義務者に収入や資産の報告を求めたり、扶養できない場合の説明責任を課すものになっています。
これらの法改正によって、今以上に要保護者の申請意思を萎縮させることにつながり、貧困を深刻にし、餓死や孤独死を誘発するものです。
今年の5月に国連の社会権規約委員会が日本政府に対し、生活保護の申請手続きを簡素化し、申請者が尊厳を持って扱われることなどを求める勧告を出したのは、日本の「水際作戦」の人権侵害ぶりがあまりにも明白だったからです。
国連の社会権規約を批准している日本政府は、勧告に基づき事態を改善する義務がありますが、今回の法改正は勧告に真っ向から逆らうものです。
いま、山形県内の生活保護率は0.62%(平成24年10月)と東北最低、全国でも下位クラスにあります。村山地区は0.4%台となっています。生活保護が必要な方たちのうち実際に生活保護を受給しているのは20~30%と言われています。全国で400万人以上が生活保護基準以下の生活を強いられています。生活保護行政でいま必要なことは、生活保護申請しやすい環境を整備し、補足率を引き上げることではないでしょうか。
県社保協に所属する病院でも、がんに冒された患者さんが、なかなか生活保護申請を受理されず、最後の最後になって病院に担ぎ込まれ、MSWや議員の援助で生活保護申請にこぎつけたものの、残念ながら亡くなるという事件がありました。
また、勇気を振り絞って市役所に相談に行っても、家族や親族の状況を根掘り葉掘り聞かれて、二度と保護申請する気にはならないという声も多数寄せられています。
全国では年間70人程度が餓死しているという事実が人口動態統計で示されています。
こうした悲劇を繰り返さないためにも、市民の健康で文化的な最低限度の生活を守るためにも、生活保護法改正の中止を求める意見書を提出してくださるよう、お願いします。
以上で意見陳述を終わります。
守岡等
現行の生活保護法は、生活保護申請は口頭でも可能であるとされており、必要な書類の提出を義務づけていません。改正案は、申請を書面とした上で、資産及び収入、家賃など、保護の要否判定に必要な書類の提出を申請の要件化しています。
これまでいくつかの福祉事務所で、申請意思を表明しても申請書を渡さず、申請時に必要のない書類の提出を求めて申請権を侵害する「水際作戦」が行われてきましたが、今回の改正はこれを合法化・法制化するものです。
こうした批判を前に、衆議院では書類を提出できない「特別な事情」がある人は例外扱いする修正が行われましたが、修正したことで書類提出が大原則で書類提出がない場合の申請受理はごく限られたケースにとどめることにお墨付きを与えたのと同然です。政府は「改訂でも運用は変わらない」といっていますが、それならば法改正の必要性はないのではないでしょうか。
さらに現行法は、扶養義務者による扶養を保護の要件とはしていませんが、改正案は扶養義務者に収入や資産の報告を求めたり、扶養できない場合の説明責任を課すものになっています。
これらの法改正によって、今以上に要保護者の申請意思を萎縮させることにつながり、貧困を深刻にし、餓死や孤独死を誘発するものです。
今年の5月に国連の社会権規約委員会が日本政府に対し、生活保護の申請手続きを簡素化し、申請者が尊厳を持って扱われることなどを求める勧告を出したのは、日本の「水際作戦」の人権侵害ぶりがあまりにも明白だったからです。
国連の社会権規約を批准している日本政府は、勧告に基づき事態を改善する義務がありますが、今回の法改正は勧告に真っ向から逆らうものです。
いま、山形県内の生活保護率は0.62%(平成24年10月)と東北最低、全国でも下位クラスにあります。村山地区は0.4%台となっています。生活保護が必要な方たちのうち実際に生活保護を受給しているのは20~30%と言われています。全国で400万人以上が生活保護基準以下の生活を強いられています。生活保護行政でいま必要なことは、生活保護申請しやすい環境を整備し、補足率を引き上げることではないでしょうか。
県社保協に所属する病院でも、がんに冒された患者さんが、なかなか生活保護申請を受理されず、最後の最後になって病院に担ぎ込まれ、MSWや議員の援助で生活保護申請にこぎつけたものの、残念ながら亡くなるという事件がありました。
また、勇気を振り絞って市役所に相談に行っても、家族や親族の状況を根掘り葉掘り聞かれて、二度と保護申請する気にはならないという声も多数寄せられています。
全国では年間70人程度が餓死しているという事実が人口動態統計で示されています。
こうした悲劇を繰り返さないためにも、市民の健康で文化的な最低限度の生活を守るためにも、生活保護法改正の中止を求める意見書を提出してくださるよう、お願いします。
以上で意見陳述を終わります。
2013年6月5日水曜日
山形県内で二度と介護悲劇を生まないために
「山形県内で二度と介護悲劇を生まないために」
1.県内の介護事件の概要(2006年~)
(1)件数18(殺人9、心中7、その他2)
(2)地域
鶴岡市6(33.3%) 酒田市2(11.1%) 山形市2 朝日町2 東根・尾花沢・上山・遊佐・真室川1
(3)加害者(心中の場合は首謀者)
男15(83.3%) 平均年齢59.7歳 独身9(50%) 息子11(61.1%)夫4(22.2%)
(4)被害者
女16(88.9%) 平均年齢80.5歳 独り身9(50%)
(5)事件のキーワード
①老老介護6(33.3%) ②認知症8(44.4%) ③経済苦5(27.8%)
2.考察
①男性(息子・夫)の介護疲れによる母親・妻への加害
②特に50代の独身男性で十分な収入がない場合
③認知症対応は在宅では困難
④介護施設の不足
⑤鶴岡市など庄内地区で50%を占める
・孤立死、孤独死の数も鶴岡・酒田は高い
・新市街(櫛引、温海、平田)で発生→市町村合併で行政単位の拡大による管理の困難さが原因(?)
【2008年4月 山形市岩波の事例の背景】
①病院から出される…平均在院日数のしばり
・A病院(292床)看護基準7:1 平均在院日数は19日以内
・入院基本料一日1人15,550円が5,750円に下がる→概ね2週間で「転院のお願い」
②簡単に特養に入所できない
・当時の県内の特養入所待機者数は1万人以上(重複を除いても7千人)約2年待ち
・入所判定基準:家族の介護者がいると判定基準が下がる
・軽費老人ホーム:認知症の方は入れない
・療養型病床:山形県は全国一少ない病床数
③在宅介護の困難
・独身、失業中でこの春から牧場勤務が決まっていたが、母親の介護を考え断った。
・収入は母親の年金のみ。居宅介護サービスの利用料負担も厳しい状況だった。
④後期高齢者医療制度の開始でさらなる負担増になることが心労に
・実は激変緩和措置の対象だったが、十分な説明がなく不安を募らせた。
⑤家族関係
・息子さんは心優しい人だった。母親が「自分がいたのではおまえの負担になる」と口にしていた(近所の人)
【2009年4月 上山市の事例の背景】
①家族関係
・60年間周囲も認める仲のよい夫婦だった。
・夫が自宅で一人で妻を介護していたが、床ずれも作らない行き届いたものだった。
・夫も84歳と高齢で、妻より先に自分が病死するのではと不安を抱くようになった。
・長男夫婦、孫と同居していたが、家族にも病気、仕事の事情があった。
②経済状況
・介護費用、医療費は夫婦の年金から捻出していたが、年金だけでは足りず、少ない貯金を取り崩しながら生活していた。
・施設に入れるには費用が足りない。
・4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、心中を決意した。
③介護の困難性
・寝たきり、認知症の妻を一人で介護していた(福祉施設のデイサービスを利用していた)。
・「証人の公判供述からもうかがわれるとおり、いわゆる老老介護や施設が十分にあるとまでは言い難 いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理 解できる」(判決文)
【2012年8月 鶴岡市の事例の背景】
①家族関係
・2010年に父親が亡くなり、妻と別居して実家でアルコール依存症の母親と同居を開始した。
・母親は両足が悪く、移動できないストレス解消と痛みを和らげるために飲酒が習慣化した。
②事件までの流れ
・2011年春頃、酔った母親と口論になり、暴力をふるって以来、酔った姿を見るといらだつようになった。
・酔って倒れた母親の顔に水をかけたが起きないことに腹を立て、コップで殴るなどした。
3.高齢者指標から
(1)ひとり暮らし高齢者の割合(H24.4.1資料1)
・前年より2018人増加し29755人となっている。
・庄内地区が10.0%で最も高い
(1小国 2酒田 3長井 4米沢・上山・遊佐 7南陽 8山形 9鶴岡 10西川)
・孤立死・孤独死も鶴岡・酒田が突出している
■「山形県における孤独死の実態」(平成18年 大澤資樹 山形大学医学部教授)
①山形県内で発生した孤独死の集計
年 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 5年間計
件数 157 149 167 182 203 857
②年齢・性別
・平均年齢は65.6歳 65歳以上は55.8%
・男性64.8% 女性35.2%
③死因
・病死79.1% 自殺15.8% その他
④地域差
・鶴岡市と酒田市が高い
・高齢者の一人暮らしが高い地域
(2)寝たきり高齢者の割合(H24.4.1資料2)
・前年より3451人増加し11320人(65歳以上人口の3.5%)となっている。
・村山3.9 庄内3.3
(1大石田 2山形 3中山 4飯豊 5東根・白鷹・河北 8新庄 9鶴岡 10山辺)
(3)要介護認定状況(H23年12月末資料3)
・65歳以上のうち要介護・要支援の認定を受けたのは18.0%で前年より0.6ポイント増
・庄内地区が19.8で最も高い
(1遊佐 2鶴岡 3大石田 4鮭川 5酒田 6高畠 7飯豊 8大江・小国 10上山)
(4)地域包括支援センター
・保健福祉圏域別では村山25 最上8 置賜10 庄内16 計59
4.保健福祉圏域別の高齢者を取り巻く状況(平成22年長寿社会課)
庄内地区は一人暮らし高齢者の割合が高く、在宅サービス利用者が多い。
5.自殺者数(保健所別)
年 村山 最上 置賜 庄内 県合計
平成23 91 35 49 89 264
平成22 119 28 71 89 307
平成21 131 33 76 81 321
6.完全失業率(平成22年度山形県統計協会)
*平成22年10月1日現在の山形県の完全失業者数は34,786人(5年前より3,867人増加)
①4%未満(鮭川、飯豊)
②4~5%(三川、尾花沢、河北、朝日、白鷹、長井、高畠、川西、小国)
③5~6%(遊佐、酒田、庄内、鶴岡、西川、大江、寒河江、最上、東根、上山)
④6%以上(真室川、金山、新庄、戸沢、大蔵、舟形、村山、天童、山形、中山、山辺、南陽、米沢)
7.生活保護(平成23年11月現在 山形県)
村山地域 最上地域 置賜地域 庄内地域 県合計
保護人員数 2593 497 1795 2340 7225
保護率(%) 0.46 0.60 0.80 0.80 0.62
cf.平成24年10月の東北各県の保護率(厚労省)
山形0.62 青森2.22 岩手1.11 宮城1.16 秋田1.46 福島0.87 全国1.68 東北1.21
8.介護保険施設退所者調査(2006年山形県保険医協会)
・介護保険制度の改定により、2005年10月から介護保険利用者の食費・居住費が保険外負担となったため、負担増に耐えかねて「退所者や利用制限が出ている」との声をうけ、2005年10月から12月までの3ヶ月間の介護事業者に対するアンケート調査を実施。
・わずか3ヶ月で20人の退所者が確認された。
・負担が大変でサービス利用を制限した、利用料滞納、退所を検討中、入所を断念した、個室から大部屋へ移動するため空きを待っている、という回答も寄せられた。
9.山形県「県内の介護保険施設における制度改正後の状況調査」(2006年6月)
・2005年10月から2006年3月までに、経済的理由による退所者が57名(聡退所者比1.6%)いること が明らかになった。
・経済的理由による退所者の退所先は33人(57.8%)が在宅だった。
10.まとめ(求められる対策)
①男性介護(息子・夫)や地域で孤立している介護者への支援が必要である。
・民生委員や地域包括支援センターできめ細かい状況把握に努め、親身な相談や利用できるサービスを紹介していくことが必要である。
②認知症の在宅介護はいまの制度では限界的な状況である。手厚いサービスの提供など制度の大幅な改善や行政の支援が必要である。
③経済的な支援が必要である。特に50代の独身男性や年金暮らしの方が介護している場合に深刻な状況にある。息子が介護している場合は就労も困難で、要介護者の年金が主な収入になっている。低所得者 の介護保険料・利用料の減免制度の拡充で、低所得者でも施設サービスが利用できるようにする必要がある。さらに、利用しやすい生活保護制度の改善が求められる。
④安心して介護ができる介護サービス供給体制を拡充する必要がある。特に医療・在院日数のしばりなどにより、医療機関から在宅に回される事例があるが、特養・老健・療養型施設の拡充で、受け皿を増や す必要がある。
⑤この間の介護悲劇が庄内地区で50%を占めることから、庄内地区の分析・対策を強化する必要がある。孤立死・孤独死の数も鶴岡市・酒田市が突出していることから、分析・対応を進める必要がある。合併 後の地域(櫛引、温海、平田)で事例が発生していることから、行政単位の拡大による管理の困難さが影響していることも考えられ、きめ細かい対応が必要である。
⑥健康長寿政策を進めるために
1万人以上いる寝たきり老人を減らし、健康長寿の山形県をつくるために長野県の分析を進める必要がある。その指標として次の事項があげられる。
1)保健予防活動の強化(がんや生活習慣病死亡率の低下、平均寿命の伸張、医療費の低下)
2)生活習慣・食生活の改善(野菜の摂取量増、食塩摂取量減、喫煙者・肥満率の減、運動習慣)
3)65歳以上の就業率全国一
4)高齢者の社会参加の機会
5)小さい行政単位(1万人が基本)
6)行政・病院・住民三者の連携
以上
1.県内の介護事件の概要(2006年~)
(1)件数18(殺人9、心中7、その他2)
(2)地域
鶴岡市6(33.3%) 酒田市2(11.1%) 山形市2 朝日町2 東根・尾花沢・上山・遊佐・真室川1
(3)加害者(心中の場合は首謀者)
男15(83.3%) 平均年齢59.7歳 独身9(50%) 息子11(61.1%)夫4(22.2%)
(4)被害者
女16(88.9%) 平均年齢80.5歳 独り身9(50%)
(5)事件のキーワード
①老老介護6(33.3%) ②認知症8(44.4%) ③経済苦5(27.8%)
2.考察
①男性(息子・夫)の介護疲れによる母親・妻への加害
②特に50代の独身男性で十分な収入がない場合
③認知症対応は在宅では困難
④介護施設の不足
⑤鶴岡市など庄内地区で50%を占める
・孤立死、孤独死の数も鶴岡・酒田は高い
・新市街(櫛引、温海、平田)で発生→市町村合併で行政単位の拡大による管理の困難さが原因(?)
【2008年4月 山形市岩波の事例の背景】
①病院から出される…平均在院日数のしばり
・A病院(292床)看護基準7:1 平均在院日数は19日以内
・入院基本料一日1人15,550円が5,750円に下がる→概ね2週間で「転院のお願い」
②簡単に特養に入所できない
・当時の県内の特養入所待機者数は1万人以上(重複を除いても7千人)約2年待ち
・入所判定基準:家族の介護者がいると判定基準が下がる
・軽費老人ホーム:認知症の方は入れない
・療養型病床:山形県は全国一少ない病床数
③在宅介護の困難
・独身、失業中でこの春から牧場勤務が決まっていたが、母親の介護を考え断った。
・収入は母親の年金のみ。居宅介護サービスの利用料負担も厳しい状況だった。
④後期高齢者医療制度の開始でさらなる負担増になることが心労に
・実は激変緩和措置の対象だったが、十分な説明がなく不安を募らせた。
⑤家族関係
・息子さんは心優しい人だった。母親が「自分がいたのではおまえの負担になる」と口にしていた(近所の人)
【2009年4月 上山市の事例の背景】
①家族関係
・60年間周囲も認める仲のよい夫婦だった。
・夫が自宅で一人で妻を介護していたが、床ずれも作らない行き届いたものだった。
・夫も84歳と高齢で、妻より先に自分が病死するのではと不安を抱くようになった。
・長男夫婦、孫と同居していたが、家族にも病気、仕事の事情があった。
②経済状況
・介護費用、医療費は夫婦の年金から捻出していたが、年金だけでは足りず、少ない貯金を取り崩しながら生活していた。
・施設に入れるには費用が足りない。
・4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、心中を決意した。
③介護の困難性
・寝たきり、認知症の妻を一人で介護していた(福祉施設のデイサービスを利用していた)。
・「証人の公判供述からもうかがわれるとおり、いわゆる老老介護や施設が十分にあるとまでは言い難 いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理 解できる」(判決文)
【2012年8月 鶴岡市の事例の背景】
①家族関係
・2010年に父親が亡くなり、妻と別居して実家でアルコール依存症の母親と同居を開始した。
・母親は両足が悪く、移動できないストレス解消と痛みを和らげるために飲酒が習慣化した。
②事件までの流れ
・2011年春頃、酔った母親と口論になり、暴力をふるって以来、酔った姿を見るといらだつようになった。
・酔って倒れた母親の顔に水をかけたが起きないことに腹を立て、コップで殴るなどした。
3.高齢者指標から
(1)ひとり暮らし高齢者の割合(H24.4.1資料1)
・前年より2018人増加し29755人となっている。
・庄内地区が10.0%で最も高い
(1小国 2酒田 3長井 4米沢・上山・遊佐 7南陽 8山形 9鶴岡 10西川)
・孤立死・孤独死も鶴岡・酒田が突出している
■「山形県における孤独死の実態」(平成18年 大澤資樹 山形大学医学部教授)
①山形県内で発生した孤独死の集計
年 平成12 平成13 平成14 平成15 平成16 5年間計
件数 157 149 167 182 203 857
②年齢・性別
・平均年齢は65.6歳 65歳以上は55.8%
・男性64.8% 女性35.2%
③死因
・病死79.1% 自殺15.8% その他
④地域差
・鶴岡市と酒田市が高い
・高齢者の一人暮らしが高い地域
(2)寝たきり高齢者の割合(H24.4.1資料2)
・前年より3451人増加し11320人(65歳以上人口の3.5%)となっている。
・村山3.9 庄内3.3
(1大石田 2山形 3中山 4飯豊 5東根・白鷹・河北 8新庄 9鶴岡 10山辺)
(3)要介護認定状況(H23年12月末資料3)
・65歳以上のうち要介護・要支援の認定を受けたのは18.0%で前年より0.6ポイント増
・庄内地区が19.8で最も高い
(1遊佐 2鶴岡 3大石田 4鮭川 5酒田 6高畠 7飯豊 8大江・小国 10上山)
(4)地域包括支援センター
・保健福祉圏域別では村山25 最上8 置賜10 庄内16 計59
4.保健福祉圏域別の高齢者を取り巻く状況(平成22年長寿社会課)
庄内地区は一人暮らし高齢者の割合が高く、在宅サービス利用者が多い。
5.自殺者数(保健所別)
年 村山 最上 置賜 庄内 県合計
平成23 91 35 49 89 264
平成22 119 28 71 89 307
平成21 131 33 76 81 321
6.完全失業率(平成22年度山形県統計協会)
*平成22年10月1日現在の山形県の完全失業者数は34,786人(5年前より3,867人増加)
①4%未満(鮭川、飯豊)
②4~5%(三川、尾花沢、河北、朝日、白鷹、長井、高畠、川西、小国)
③5~6%(遊佐、酒田、庄内、鶴岡、西川、大江、寒河江、最上、東根、上山)
④6%以上(真室川、金山、新庄、戸沢、大蔵、舟形、村山、天童、山形、中山、山辺、南陽、米沢)
7.生活保護(平成23年11月現在 山形県)
村山地域 最上地域 置賜地域 庄内地域 県合計
保護人員数 2593 497 1795 2340 7225
保護率(%) 0.46 0.60 0.80 0.80 0.62
cf.平成24年10月の東北各県の保護率(厚労省)
山形0.62 青森2.22 岩手1.11 宮城1.16 秋田1.46 福島0.87 全国1.68 東北1.21
8.介護保険施設退所者調査(2006年山形県保険医協会)
・介護保険制度の改定により、2005年10月から介護保険利用者の食費・居住費が保険外負担となったため、負担増に耐えかねて「退所者や利用制限が出ている」との声をうけ、2005年10月から12月までの3ヶ月間の介護事業者に対するアンケート調査を実施。
・わずか3ヶ月で20人の退所者が確認された。
・負担が大変でサービス利用を制限した、利用料滞納、退所を検討中、入所を断念した、個室から大部屋へ移動するため空きを待っている、という回答も寄せられた。
9.山形県「県内の介護保険施設における制度改正後の状況調査」(2006年6月)
・2005年10月から2006年3月までに、経済的理由による退所者が57名(聡退所者比1.6%)いること が明らかになった。
・経済的理由による退所者の退所先は33人(57.8%)が在宅だった。
10.まとめ(求められる対策)
①男性介護(息子・夫)や地域で孤立している介護者への支援が必要である。
・民生委員や地域包括支援センターできめ細かい状況把握に努め、親身な相談や利用できるサービスを紹介していくことが必要である。
②認知症の在宅介護はいまの制度では限界的な状況である。手厚いサービスの提供など制度の大幅な改善や行政の支援が必要である。
③経済的な支援が必要である。特に50代の独身男性や年金暮らしの方が介護している場合に深刻な状況にある。息子が介護している場合は就労も困難で、要介護者の年金が主な収入になっている。低所得者 の介護保険料・利用料の減免制度の拡充で、低所得者でも施設サービスが利用できるようにする必要がある。さらに、利用しやすい生活保護制度の改善が求められる。
④安心して介護ができる介護サービス供給体制を拡充する必要がある。特に医療・在院日数のしばりなどにより、医療機関から在宅に回される事例があるが、特養・老健・療養型施設の拡充で、受け皿を増や す必要がある。
⑤この間の介護悲劇が庄内地区で50%を占めることから、庄内地区の分析・対策を強化する必要がある。孤立死・孤独死の数も鶴岡市・酒田市が突出していることから、分析・対応を進める必要がある。合併 後の地域(櫛引、温海、平田)で事例が発生していることから、行政単位の拡大による管理の困難さが影響していることも考えられ、きめ細かい対応が必要である。
⑥健康長寿政策を進めるために
1万人以上いる寝たきり老人を減らし、健康長寿の山形県をつくるために長野県の分析を進める必要がある。その指標として次の事項があげられる。
1)保健予防活動の強化(がんや生活習慣病死亡率の低下、平均寿命の伸張、医療費の低下)
2)生活習慣・食生活の改善(野菜の摂取量増、食塩摂取量減、喫煙者・肥満率の減、運動習慣)
3)65歳以上の就業率全国一
4)高齢者の社会参加の機会
5)小さい行政単位(1万人が基本)
6)行政・病院・住民三者の連携
以上
2013年5月14日火曜日
「長野県長寿の秘密」(白澤卓二)メモ
白澤卓二先生(順天堂大学)が「長寿県長野の秘密」(しなのき書房)というすばらしい本を出しています。そのメモを記します。独自に付け加えたデータもあります。
■統計データ
*全国の年齢調整死亡率(人口10万対)平成22
男性の低位:長野477.3 滋賀496.4 福井499.9 熊本508.2 京都512.2
男性の高位: 青森662.4 秋田613.5 岩手590.1 和歌山576.9 大阪576.7
女性の低位: 長野248.8 新潟254.6 島根254.7 福井255.2 大分255.6
女性の高位: 青森304.3 栃木295.7 和歌山294.5 大阪289.9 茨城289.1
山形男性530.7(13位) 全国平均544.3
山形女性269.2(19位) 全国平均274.9
*平均寿命(平成22)
長野男性80.88歳(全国一位) 長野女性87.18歳(全国一位)
山形男性 79.97歳(9位) 山形女性86.28歳(28位)
■「長野モデル」
*疫学的に三つの特徴 1)平均寿命が日本一 2)就業率が非常に高い 3)高齢者医療費が低い
*がんや生活習慣病の死亡率が低い
予防に力を入れた
病院や診療所数は全国平均以下
■テロメアDNAの長さが長い
・テロメア:老化が進むと短くなる染色体の一部
・メカニズムの解明はまだ
■長野県と青森県との違い(生活習慣の違い)
・野菜の摂取量 長野男女とも1位、青森男性31位女性29位
・食塩消費量 青森男性2位女性5位
・喫煙者 青森男性1位(長野男性44位)
・飲酒の割合 青森全国一位
・運動不足の肥満率 長野40位 青森9位
■自然とともに生きる環境
・前栽畑(家の前の畑)が多い 運動習慣
・高地と傾斜地が多い
・寒暖差 ワイン産地は長寿地域
・身近に温泉のある環境 ストレス軽減
■高齢者の働ける環境
・長野県の65歳以上就業率は26.7%で全国一位(就業率の低い沖縄県の2倍)
・小規模な土地をいかした果樹栽培
・ボランティア行動者率33.1%(全国6位)
■在宅死亡の割合が高い
・持ち家率高い、高齢者単身比率・離婚率・生活保護世帯数が低い
・在宅死亡の割合が16.6%(全国平均13%)全国3位
・行政の積極的な在宅医療と家族条件がマッチ
■コミュニティ、生きがいづくり
・公民館の数は1236で全国1位 第2位は山形県の524
・歩いて行けるところに話し合ったり学習する場がある
■食生活
・腹七部目
・野菜や果物の摂取
・ポリフェノール リンゴとブドウ
・発酵食品 塩麹、味噌、醤油
・寒天
■予防医療
・地域医療と保健活動
浅間総合病院、佐久総合病院、諏訪中央病院
・自主的な組織 保健補導員
・減塩運動
■たゆみない行政の取り組み
・調査から実践、そして対策へ
・行政単位は1万人が基本(市町村合併を拒否)
■行政・病院・住民三者の対等な関係
■統計データ
*全国の年齢調整死亡率(人口10万対)平成22
男性の低位:長野477.3 滋賀496.4 福井499.9 熊本508.2 京都512.2
男性の高位: 青森662.4 秋田613.5 岩手590.1 和歌山576.9 大阪576.7
女性の低位: 長野248.8 新潟254.6 島根254.7 福井255.2 大分255.6
女性の高位: 青森304.3 栃木295.7 和歌山294.5 大阪289.9 茨城289.1
山形男性530.7(13位) 全国平均544.3
山形女性269.2(19位) 全国平均274.9
*平均寿命(平成22)
長野男性80.88歳(全国一位) 長野女性87.18歳(全国一位)
山形男性 79.97歳(9位) 山形女性86.28歳(28位)
■「長野モデル」
*疫学的に三つの特徴 1)平均寿命が日本一 2)就業率が非常に高い 3)高齢者医療費が低い
*がんや生活習慣病の死亡率が低い
予防に力を入れた
病院や診療所数は全国平均以下
■テロメアDNAの長さが長い
・テロメア:老化が進むと短くなる染色体の一部
・メカニズムの解明はまだ
■長野県と青森県との違い(生活習慣の違い)
・野菜の摂取量 長野男女とも1位、青森男性31位女性29位
・食塩消費量 青森男性2位女性5位
・喫煙者 青森男性1位(長野男性44位)
・飲酒の割合 青森全国一位
・運動不足の肥満率 長野40位 青森9位
■自然とともに生きる環境
・前栽畑(家の前の畑)が多い 運動習慣
・高地と傾斜地が多い
・寒暖差 ワイン産地は長寿地域
・身近に温泉のある環境 ストレス軽減
■高齢者の働ける環境
・長野県の65歳以上就業率は26.7%で全国一位(就業率の低い沖縄県の2倍)
・小規模な土地をいかした果樹栽培
・ボランティア行動者率33.1%(全国6位)
■在宅死亡の割合が高い
・持ち家率高い、高齢者単身比率・離婚率・生活保護世帯数が低い
・在宅死亡の割合が16.6%(全国平均13%)全国3位
・行政の積極的な在宅医療と家族条件がマッチ
■コミュニティ、生きがいづくり
・公民館の数は1236で全国1位 第2位は山形県の524
・歩いて行けるところに話し合ったり学習する場がある
■食生活
・腹七部目
・野菜や果物の摂取
・ポリフェノール リンゴとブドウ
・発酵食品 塩麹、味噌、醤油
・寒天
■予防医療
・地域医療と保健活動
浅間総合病院、佐久総合病院、諏訪中央病院
・自主的な組織 保健補導員
・減塩運動
■たゆみない行政の取り組み
・調査から実践、そして対策へ
・行政単位は1万人が基本(市町村合併を拒否)
■行政・病院・住民三者の対等な関係
2013年4月17日水曜日
「TPPと医療」学習レジュメ2013.7.3更新
TPP問題で、あちらこちらで学習講演を行っています。そのレジュメをアップしますので、ご活用ください。
守岡等
「TPPと医療問題」
[レジュメ]
1.TPPとは何か、貿易問題になぜ医療が関係するのか
①TPPはTrans-Pacific Strategic Economy Partnership Agreementの略
環太平洋戦略的経済連携協定 TPSPと略すべき→日本のアメリカ化が目的
②安部首相は「国民皆保険制度は守る」と言っているが…
TPPで協議している24分野に「医療」の項目はない。
アメリカも「公的医療保険制度」の廃止は要求しないだろう
しかし
【知的財産権分野】
薬価や医療技術
【金融サービス分野】
民間医療保険の拡大
【投資分野】
株式会社の医療参入
医療とは関係ないようにみえる各分野の議論で公的医療保険制度の崩壊の危険
2.TPP以前の動き
(1)アメリカからの医療の市場化要求
①2001年10月(小泉内閣)「年次改革要望書」
・日本の医療に市場原理導入を要求
②2010年3月(鳩山内閣)「外国貿易障壁報告書」
・日本の医療サービス市場を外国企業へ開放することを要求
③2011年2月(菅内閣)「日米経済調和対話」
・新薬創出加算の恒久化、加算率の上限廃止、市場拡大算定ルールを廃止、外国平均価格調整ルートの改定
④2011年9月(野田内閣)米通商代表部「医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標」
・不要な規制障壁の最小化などを要求
(2)日本政府の医療の営利化
①2010年6月「新成長戦略」
・医療、介護、健康関連産業は日本の成長牽引産業
②2011年1月「医療滞在ビザ」創設
・医療ツーリズム
③2011年4月「規制・制度改革に係る方針」
・医療法人と他の法人の役職員の兼務を検討開始
④2011年6月「総合特区法」
・特別養護老人ホームに営利企業が参入
⑤2011年7月「規制・制度改革に関する第二次報告書」
・公的医療保険の適用範囲の再定義
・国際医療交流
⑥2012年8月「社会保障制度改革推進法」
・社会保障制度は国の責任から家族相互、国民相互の助け合いの仕組みに
・保険主義の徹底と公費負担の削減
・給付内容の削減
3.TPPで日本の医療はどうなる
(1)薬価が跳ね上がる
医薬品の特許をたくさん持つアメリカの製薬企業
↓
TPP交渉で知的財産所有権の保護強化を主張
例)薬の特許権を延長し、新薬は保険の対象外にする(その間は安いジェネリックは作れない) 新薬の承認過程を短縮し、どんどん日本に入るようにする
↓
高い新薬は公的保険ではカバーしきれなくなる(混合診療の解禁)
(2)混合診療と患者負担
①現在の仕組み
現在は保険のきく診療と保険外の診療を受ける(混合診療)と、全額自己負担となる。患者負担(全額自費)
②混合診療が全面解禁されると
先進医療や新薬はその部分の全額自費で受けられるようになる。
ただし、全額自費部分を支払えるのは高所得者のみ
③全面解禁されて時間が経つと
新しい治療や医薬品は保険外になり、公的医療保険の給付範囲は時間と共に縮小する(その方が国の支出を抑えられる)
※将来、公的医療保険で受けられる医療は最小限に
(3)民間医療保険の拡大
・保険の効かない高額な先進医療や新薬の負担を軽減するために民間医療保険の参入が進む
外資系保険会社が莫大な広告費を払っているのはこの日のため
・民間保険に加入できない低所得者、病気持ちの人たちへの医療差別
<民間保険主体のアメリカの医療>
(1)日米医療制度の比較
①WHO(世界保健機関)による評価
日 本 米 国
◆保健医療制度の総合評価 1位 15位
◆国民一人あたり保健医療支出 13位 1位
②医療の質 日 本 米 国
◆平均余命上昇率(1960-2000年 13.4% 6.9%
◆乳幼児死亡率(出産千人当たり) 3.2人 6.9人
③医療のコスト 日 本 米 国
◆国民一人あたり医療費支出 310,874円 591,730円
◆総医療費支出(対GDP比) 7.8% 13.9%
④なぜこのような結果になるのか 日 本 米 国
◆公的医療保険加入者 100% 25%
◆民間医療保険加入者 無視し得る範囲 70%
◆無保険者 0% 15%
(2)実際のアメリカ医療の実情
子宮筋腫の治療費 日帰り外来手術 100万円以上 虫歯の治療 2本で1200ドル 13万円
「ニューヨークに赴任して2年、アメリカ生活で感じた不思議?をご紹介したいと思います。アメリカでまず驚かされたのは医療費の高さだ。ちょうど当地に赴任して1年経過したころ、突然、親知らずが痛くなった。歯医者に行ったところ、左上下の親知らずが虫歯と判明、治療より抜いたほうがよいと言うので、抜いてもらうことになった。1本600ドル、合わせて1,200ドルなり。このときはまだ、会社で加入している保険で費用のほとんどはカバーできるとの見込みがあったが、このほかに小さな虫歯が数本あると言われ、心配になって見積もりを依頼した。(医者はかなり渋っていたが。)この見積もり額はなんと4,000ドル。
こんなに高いと保険を使ってもかなりの足(約3,000ドル)が出てしまう。ダメ元でディスカウントをお願いしたところ、なんと保険でカバーできなかった分は請求しないという約束取りつけに成功。ラッキー!だが最終的に保険会社から思ったほど支払ってもらえず、材料費だけはと泣きつかれ、300ドルを支払った。過剰請求はこちらの常識とはいえ、医療費が値切れるとは・・・・。
出産費用 14,000ドル150万円
「今年の10月に次男が誕生した。そのときの出産、入院費用の合計はなんと1万4,000ドル。ほとんどが保険でカバーされているので問題ないが、日本と違い、社会保険制度が発達していないアメリカでは、個人、会社で保険に入れない人は子供も産めない。また、このとき、費用の請求方法にも驚かされた。なんと4枚もの請求書が届いたのだ。アメリカでは医療が専門化されているとは聞いていたが、医療費の請求方法もこれほど細分化されている。もう少し患者(客)に分かりやすい方法を取ってほしいものだ。 」
[出産費用請求内訳]
産婦人科医: 7,000ドル 麻酔科医 : 2,000ドル 小児科医 : 2,000ドル
入院費 : 3,000ドル 計 : 14,000ドル
(4)営利企業の医療参入
①日本では医療法で営利企業の病院経営参入を禁じている。(例外として企業立の株式会社病院)
保険診療の費用は公定価格(診療報酬)なので、営利目的の企業には魅力がない。
②営利企業の病院は高額の自由診療を目指す。そのために混合診療の全面解禁も要求。
③高額自由診療の病院が増えると、国は「自由診療でもうければいい」と診療報酬を引き上げない。高所得者のいない地方の公的医療保険病院は立ちゆかない。
④近くに高額診療の病院があっても、お金がなければ受診できない。
⑤営利企業(株式会社)は利潤追求が第一目的。安全性軽視、コスト削減、患者選定が進む。採算がとれなければすぐ撤退。
(5)恐ろしいISD条項 Investor(投資家)State(国家)Dispute(紛争)Settlement(解決)
①投資家と受け入れ国の間で紛争が起こったとき、国際投資紛争解決センター(世界銀行の一角)で処理。
②国内法(憲法)よりも条約・国際法が優位
③最悪の場合、日本の公的医療保険制度が参入障壁であるとして訴えられ、健康保険法の改正を求められることになる。
【NAFTAアメリカ・カナダ・メキシコ自由貿易協定】
・「カナダの郵便局は国家の補助をもらうから宏平ではない」とアメリカの民間会社が訴え、カナダは莫大な賠償金を払うことになった。
・メキシコではアメリカの会社がゴミ処理施設をつくろうとしたところ、住民が環境病を起こしたこ とで地方自治体が建設許可を却下。ISDに訴えられメキシコ政府は莫大な賠償金支払い。
【ラチェット規定】
いったん開放した部門を再び規制する「後戻り」はできない
4.米韓FTAで韓国の医療はどうなったか
①「認可-特許連携制度」条項
・特許権を持った製薬企業がジェネリック製薬企業に「特許侵害」を申し立てれば販売停止できる。(国民は安いジェネリック薬品は買えなくなる)
②「独立的検討機構」の設置条項
・薬価の決定や保険適用の可否において、政府の権限が弱まる。
③「営利病院の許諾を永続化する」条項
・営利病院では保険診療の6-7倍の支払い請求がされている。
・ラチェット規定があるため、韓国政府は営利病院を廃止できない。
・民間医療保険に対する規制も不可能に。
<カナダ、オーストラリアでは禁煙政策まで口だし>
・カナダやオーストラリアでは政府が進めていた禁煙政策に対し、アメリカの煙草会社がISDに提訴。
5.TPPで各分野はこうなる
①関税ゼロでアメリカ・オーストラリアの農産物がなだれ込み、日本農業は壊滅。食糧自給率は40% から13%に。350万人が失業。
②食の安全が脅かされる。食品添加物、ポストハーベスト、残留農薬、BSE、遺伝子組み換え作物な どの基準緩和を求めてくる。(遺伝子組み換えで25倍の重量の鮭も)
③金融・保険の自由化で簡保・郵貯が民間化。国債のほとんどを担うこれらの金融資産が外資に流れ るとどうなるか。
④学校も外資の株式会社に。英語教育、貴族主義の徹底。
⑤労働条件の悪化。従業員のリストラ、派遣化で人件費抑制し、株価を引き上げ企業買収・転売によ る売却益を得るようになる。
⑥労働者移住の自由化。東南アジアの安い労働力の移入→国内賃金水準の引き下げ
⑦日本も銃社会に。アメリカから輸入。
⑧国・地方の公共事業は加盟国すべてに入札を公示。アメリカの建設会社や人件費の安い東南アジア の進出の可能性。
6.問題だらけのTPPになぜ加盟するのか
①日米安全保障条約第2条
「両国間の経済協力を推進する」
これを根拠にアメリカは日本経済に介入、非関税施策の解除
②日本の財界
・日本経団連 TPP参加を提言
・すでに多国籍企業化した企業の利益を守るため(海外で生産したものを世界で売るためには関税障 壁がない方がいい)
7.TPP参加を阻止するために
①日米安全保障条約を廃棄する(一方の国の通告で可能)
②条約・国際協定は国会の批准が必要(憲法73条)
・国会がノーといえばTPP参加は避けられる
・昨年の総選挙前の毎日新聞候補者アンケート TPP反対244 賛成113 無回答53 非該当70
公約守れの運動を盛り上げる
・非常に重要な参院選
憲法守れの運動と連動した取り組みが必要
以上
[原稿]
安部首相は「国民皆保険制度は守る」と言ってますし、アメリカも「公的医療保険制度」の廃止を直接には要求してこないと思います。しかし、TPPの項目には知的財産分野があり、ここで薬価や医療技術が取り上げられ、金融サービス分野で民間医療保険の拡大が、投資分野で株式会社の医療参入が取り上げられることは必至です。医療とは関係ないようにみえる各分野の議論で、日本の公的医療保険制度解体の危険性が生まれるのです。
TPP参入によって日本の医療がどう変わるか
①医薬品の価格が跳ね上がる
アメリカの製薬企業にはたくさんの特許をもつ医薬品があります。TPP交渉でアメリカは知的財産所有権の保護強化を主張し、薬の特許権を延長し、安いジェネリック品への移行を妨げるでしょう。現在は2年ごとに薬価改定が行われ、段階的に引き下げられていますが、この制度の廃止を求めてくると思われます。
薬価審議会等にアメリカ代表を参加させ、加算率上限の撤廃などで際限なく新薬の価格が引き上げられる危険性があります。
高い新薬は公的保険ではカバーしきれなくなり、混合診療の解禁へつながります。
②混合診療の全面解禁
国の支出を抑えるため、新しい治療や医薬品は保険外となり、公的医療保険の給付範囲が縮小します。新しい治療や新薬は全額自己負担となり、高所得者のみが恩恵を受けるという医療差別が発生します。
すでに規制改革会議では「再生医療」の保険外併用療養化を検討しています。
③営利企業(株式会社)の医療参入
高額の自由診療を求めて営利企業の参入が進みます。すでに米韓FTAで韓国内に営利病院が建設されています。当然、お金のない人は受診できません。
高額自由診療の病院が増えると、国は「自由診療でもうければいい」と診療報酬を引き上げなくなり、高所得者の少ない地方の公的医療保険病院は立ちゆかなくなります。
また、営利企業は利潤追求が第一目的ですから、安全性軽視、コスト削減、患者選定が進みます。採算がとれない地域からは撤退し、医療崩壊が加速します。
④民間医療保険市場の増加
公的医療保険制度に代わって、民間医療保険の市場が増大します。介護保険の軽度者外しと自己負担増もその流れを助長します。アメリカの保険会社が手ぐすね引いて待っています。
民間保険会社は郵便局の保険事業部門、共済制度の市場開放も要求してくるでしょう。こうして郵貯・簡保など国民の財産が外資に流れ、現在、郵貯・簡保の比重が高い日本国債が外資に占められる事態も予想されます。
恐ろしいISD条項
このように日本の公的医療保険制度が危機的状況に陥り、公的医療保険制度を守ろうとする動きも出てきますが、TPPにはISD条項というものがあり、投資家が受け入れ国を訴える制度があり、アメリカの保険会社が日本の公的医療保険制度を参入障壁としてとらえ、国際投資紛争解決センター(世界銀行の一角)に訴えることができます。
これまでにも「カナダの郵便局は国家補助をもらっているから公平でない」とアメリカの民間会社が訴え、カナダ政府が莫大な賠償金を払うことになったり、メキシコではアメリカの会社がゴミ処理施設を作ろうとした際に地方自治体が建設許可を与えなかったことを訴え、メキシコ政府に賠償金を払わせたなどの事例が起きています。
当然、国内法よりも国際法・条約が優先されることになります。
ラチェット条項
また、TPPにはラチェット条項というものがあります。ラチェットというのは、逆回転をさせない歯車のようなものですが、いったん開放した部門を再び規制する逆回転はできないという条項です。すでに例外なしの合意を決めているTPPは後戻りができない、日本がいったん参入を決めたら取り返しがつかないのがTPPです。
やめるのは「今でしょ!」
このようにTPP参入によって、日本の公的医療保険制度は根底から破壊されてしまいます。マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」をご覧になった方も多いと思いますが、この映画は公的医療保険制度のないアメリカ医療の真実を描いています。映画は傷ついた自分の足を自分で針と糸で縫い合わせるシーンで始まって、医療費を払えなくなった高齢者が病院から追い出されて公園の前で捨て去られるというシーンで終わっています。日本の医療をこうしたアメリカ型のものにしてしまっていいのでしょうか。アメリカの保険会社の利益とそれに追随する日本の財界のために、日本人のいのちが犠牲になってもいいのでしょうか。私はかけがえのない国民のいのち、日本の公的医療保険制度を守るためにも、TPPには参入すべきではないと思います。
守岡等
「TPPと医療問題」
[レジュメ]
1.TPPとは何か、貿易問題になぜ医療が関係するのか
①TPPはTrans-Pacific Strategic Economy Partnership Agreementの略
環太平洋戦略的経済連携協定 TPSPと略すべき→日本のアメリカ化が目的
②安部首相は「国民皆保険制度は守る」と言っているが…
TPPで協議している24分野に「医療」の項目はない。
アメリカも「公的医療保険制度」の廃止は要求しないだろう
しかし
【知的財産権分野】
薬価や医療技術
【金融サービス分野】
民間医療保険の拡大
【投資分野】
株式会社の医療参入
医療とは関係ないようにみえる各分野の議論で公的医療保険制度の崩壊の危険
2.TPP以前の動き
(1)アメリカからの医療の市場化要求
①2001年10月(小泉内閣)「年次改革要望書」
・日本の医療に市場原理導入を要求
②2010年3月(鳩山内閣)「外国貿易障壁報告書」
・日本の医療サービス市場を外国企業へ開放することを要求
③2011年2月(菅内閣)「日米経済調和対話」
・新薬創出加算の恒久化、加算率の上限廃止、市場拡大算定ルールを廃止、外国平均価格調整ルートの改定
④2011年9月(野田内閣)米通商代表部「医薬品へのアクセス拡大のためのTPP貿易目標」
・不要な規制障壁の最小化などを要求
(2)日本政府の医療の営利化
①2010年6月「新成長戦略」
・医療、介護、健康関連産業は日本の成長牽引産業
②2011年1月「医療滞在ビザ」創設
・医療ツーリズム
③2011年4月「規制・制度改革に係る方針」
・医療法人と他の法人の役職員の兼務を検討開始
④2011年6月「総合特区法」
・特別養護老人ホームに営利企業が参入
⑤2011年7月「規制・制度改革に関する第二次報告書」
・公的医療保険の適用範囲の再定義
・国際医療交流
⑥2012年8月「社会保障制度改革推進法」
・社会保障制度は国の責任から家族相互、国民相互の助け合いの仕組みに
・保険主義の徹底と公費負担の削減
・給付内容の削減
3.TPPで日本の医療はどうなる
(1)薬価が跳ね上がる
医薬品の特許をたくさん持つアメリカの製薬企業
↓
TPP交渉で知的財産所有権の保護強化を主張
例)薬の特許権を延長し、新薬は保険の対象外にする(その間は安いジェネリックは作れない) 新薬の承認過程を短縮し、どんどん日本に入るようにする
↓
高い新薬は公的保険ではカバーしきれなくなる(混合診療の解禁)
(2)混合診療と患者負担
①現在の仕組み
現在は保険のきく診療と保険外の診療を受ける(混合診療)と、全額自己負担となる。患者負担(全額自費)
②混合診療が全面解禁されると
先進医療や新薬はその部分の全額自費で受けられるようになる。
ただし、全額自費部分を支払えるのは高所得者のみ
③全面解禁されて時間が経つと
新しい治療や医薬品は保険外になり、公的医療保険の給付範囲は時間と共に縮小する(その方が国の支出を抑えられる)
※将来、公的医療保険で受けられる医療は最小限に
(3)民間医療保険の拡大
・保険の効かない高額な先進医療や新薬の負担を軽減するために民間医療保険の参入が進む
外資系保険会社が莫大な広告費を払っているのはこの日のため
・民間保険に加入できない低所得者、病気持ちの人たちへの医療差別
<民間保険主体のアメリカの医療>
(1)日米医療制度の比較
①WHO(世界保健機関)による評価
日 本 米 国
◆保健医療制度の総合評価 1位 15位
◆国民一人あたり保健医療支出 13位 1位
②医療の質 日 本 米 国
◆平均余命上昇率(1960-2000年 13.4% 6.9%
◆乳幼児死亡率(出産千人当たり) 3.2人 6.9人
③医療のコスト 日 本 米 国
◆国民一人あたり医療費支出 310,874円 591,730円
◆総医療費支出(対GDP比) 7.8% 13.9%
④なぜこのような結果になるのか 日 本 米 国
◆公的医療保険加入者 100% 25%
◆民間医療保険加入者 無視し得る範囲 70%
◆無保険者 0% 15%
(2)実際のアメリカ医療の実情
子宮筋腫の治療費 日帰り外来手術 100万円以上 虫歯の治療 2本で1200ドル 13万円
「ニューヨークに赴任して2年、アメリカ生活で感じた不思議?をご紹介したいと思います。アメリカでまず驚かされたのは医療費の高さだ。ちょうど当地に赴任して1年経過したころ、突然、親知らずが痛くなった。歯医者に行ったところ、左上下の親知らずが虫歯と判明、治療より抜いたほうがよいと言うので、抜いてもらうことになった。1本600ドル、合わせて1,200ドルなり。このときはまだ、会社で加入している保険で費用のほとんどはカバーできるとの見込みがあったが、このほかに小さな虫歯が数本あると言われ、心配になって見積もりを依頼した。(医者はかなり渋っていたが。)この見積もり額はなんと4,000ドル。
こんなに高いと保険を使ってもかなりの足(約3,000ドル)が出てしまう。ダメ元でディスカウントをお願いしたところ、なんと保険でカバーできなかった分は請求しないという約束取りつけに成功。ラッキー!だが最終的に保険会社から思ったほど支払ってもらえず、材料費だけはと泣きつかれ、300ドルを支払った。過剰請求はこちらの常識とはいえ、医療費が値切れるとは・・・・。
出産費用 14,000ドル150万円
「今年の10月に次男が誕生した。そのときの出産、入院費用の合計はなんと1万4,000ドル。ほとんどが保険でカバーされているので問題ないが、日本と違い、社会保険制度が発達していないアメリカでは、個人、会社で保険に入れない人は子供も産めない。また、このとき、費用の請求方法にも驚かされた。なんと4枚もの請求書が届いたのだ。アメリカでは医療が専門化されているとは聞いていたが、医療費の請求方法もこれほど細分化されている。もう少し患者(客)に分かりやすい方法を取ってほしいものだ。 」
[出産費用請求内訳]
産婦人科医: 7,000ドル 麻酔科医 : 2,000ドル 小児科医 : 2,000ドル
入院費 : 3,000ドル 計 : 14,000ドル
(4)営利企業の医療参入
①日本では医療法で営利企業の病院経営参入を禁じている。(例外として企業立の株式会社病院)
保険診療の費用は公定価格(診療報酬)なので、営利目的の企業には魅力がない。
②営利企業の病院は高額の自由診療を目指す。そのために混合診療の全面解禁も要求。
③高額自由診療の病院が増えると、国は「自由診療でもうければいい」と診療報酬を引き上げない。高所得者のいない地方の公的医療保険病院は立ちゆかない。
④近くに高額診療の病院があっても、お金がなければ受診できない。
⑤営利企業(株式会社)は利潤追求が第一目的。安全性軽視、コスト削減、患者選定が進む。採算がとれなければすぐ撤退。
(5)恐ろしいISD条項 Investor(投資家)State(国家)Dispute(紛争)Settlement(解決)
①投資家と受け入れ国の間で紛争が起こったとき、国際投資紛争解決センター(世界銀行の一角)で処理。
②国内法(憲法)よりも条約・国際法が優位
③最悪の場合、日本の公的医療保険制度が参入障壁であるとして訴えられ、健康保険法の改正を求められることになる。
【NAFTAアメリカ・カナダ・メキシコ自由貿易協定】
・「カナダの郵便局は国家の補助をもらうから宏平ではない」とアメリカの民間会社が訴え、カナダは莫大な賠償金を払うことになった。
・メキシコではアメリカの会社がゴミ処理施設をつくろうとしたところ、住民が環境病を起こしたこ とで地方自治体が建設許可を却下。ISDに訴えられメキシコ政府は莫大な賠償金支払い。
【ラチェット規定】
いったん開放した部門を再び規制する「後戻り」はできない
4.米韓FTAで韓国の医療はどうなったか
①「認可-特許連携制度」条項
・特許権を持った製薬企業がジェネリック製薬企業に「特許侵害」を申し立てれば販売停止できる。(国民は安いジェネリック薬品は買えなくなる)
②「独立的検討機構」の設置条項
・薬価の決定や保険適用の可否において、政府の権限が弱まる。
③「営利病院の許諾を永続化する」条項
・営利病院では保険診療の6-7倍の支払い請求がされている。
・ラチェット規定があるため、韓国政府は営利病院を廃止できない。
・民間医療保険に対する規制も不可能に。
<カナダ、オーストラリアでは禁煙政策まで口だし>
・カナダやオーストラリアでは政府が進めていた禁煙政策に対し、アメリカの煙草会社がISDに提訴。
5.TPPで各分野はこうなる
①関税ゼロでアメリカ・オーストラリアの農産物がなだれ込み、日本農業は壊滅。食糧自給率は40% から13%に。350万人が失業。
②食の安全が脅かされる。食品添加物、ポストハーベスト、残留農薬、BSE、遺伝子組み換え作物な どの基準緩和を求めてくる。(遺伝子組み換えで25倍の重量の鮭も)
③金融・保険の自由化で簡保・郵貯が民間化。国債のほとんどを担うこれらの金融資産が外資に流れ るとどうなるか。
④学校も外資の株式会社に。英語教育、貴族主義の徹底。
⑤労働条件の悪化。従業員のリストラ、派遣化で人件費抑制し、株価を引き上げ企業買収・転売によ る売却益を得るようになる。
⑥労働者移住の自由化。東南アジアの安い労働力の移入→国内賃金水準の引き下げ
⑦日本も銃社会に。アメリカから輸入。
⑧国・地方の公共事業は加盟国すべてに入札を公示。アメリカの建設会社や人件費の安い東南アジア の進出の可能性。
6.問題だらけのTPPになぜ加盟するのか
①日米安全保障条約第2条
「両国間の経済協力を推進する」
これを根拠にアメリカは日本経済に介入、非関税施策の解除
②日本の財界
・日本経団連 TPP参加を提言
・すでに多国籍企業化した企業の利益を守るため(海外で生産したものを世界で売るためには関税障 壁がない方がいい)
7.TPP参加を阻止するために
①日米安全保障条約を廃棄する(一方の国の通告で可能)
②条約・国際協定は国会の批准が必要(憲法73条)
・国会がノーといえばTPP参加は避けられる
・昨年の総選挙前の毎日新聞候補者アンケート TPP反対244 賛成113 無回答53 非該当70
公約守れの運動を盛り上げる
・非常に重要な参院選
憲法守れの運動と連動した取り組みが必要
以上
[原稿]
安部首相は「国民皆保険制度は守る」と言ってますし、アメリカも「公的医療保険制度」の廃止を直接には要求してこないと思います。しかし、TPPの項目には知的財産分野があり、ここで薬価や医療技術が取り上げられ、金融サービス分野で民間医療保険の拡大が、投資分野で株式会社の医療参入が取り上げられることは必至です。医療とは関係ないようにみえる各分野の議論で、日本の公的医療保険制度解体の危険性が生まれるのです。
TPP参入によって日本の医療がどう変わるか
①医薬品の価格が跳ね上がる
アメリカの製薬企業にはたくさんの特許をもつ医薬品があります。TPP交渉でアメリカは知的財産所有権の保護強化を主張し、薬の特許権を延長し、安いジェネリック品への移行を妨げるでしょう。現在は2年ごとに薬価改定が行われ、段階的に引き下げられていますが、この制度の廃止を求めてくると思われます。
薬価審議会等にアメリカ代表を参加させ、加算率上限の撤廃などで際限なく新薬の価格が引き上げられる危険性があります。
高い新薬は公的保険ではカバーしきれなくなり、混合診療の解禁へつながります。
②混合診療の全面解禁
国の支出を抑えるため、新しい治療や医薬品は保険外となり、公的医療保険の給付範囲が縮小します。新しい治療や新薬は全額自己負担となり、高所得者のみが恩恵を受けるという医療差別が発生します。
すでに規制改革会議では「再生医療」の保険外併用療養化を検討しています。
③営利企業(株式会社)の医療参入
高額の自由診療を求めて営利企業の参入が進みます。すでに米韓FTAで韓国内に営利病院が建設されています。当然、お金のない人は受診できません。
高額自由診療の病院が増えると、国は「自由診療でもうければいい」と診療報酬を引き上げなくなり、高所得者の少ない地方の公的医療保険病院は立ちゆかなくなります。
また、営利企業は利潤追求が第一目的ですから、安全性軽視、コスト削減、患者選定が進みます。採算がとれない地域からは撤退し、医療崩壊が加速します。
④民間医療保険市場の増加
公的医療保険制度に代わって、民間医療保険の市場が増大します。介護保険の軽度者外しと自己負担増もその流れを助長します。アメリカの保険会社が手ぐすね引いて待っています。
民間保険会社は郵便局の保険事業部門、共済制度の市場開放も要求してくるでしょう。こうして郵貯・簡保など国民の財産が外資に流れ、現在、郵貯・簡保の比重が高い日本国債が外資に占められる事態も予想されます。
恐ろしいISD条項
このように日本の公的医療保険制度が危機的状況に陥り、公的医療保険制度を守ろうとする動きも出てきますが、TPPにはISD条項というものがあり、投資家が受け入れ国を訴える制度があり、アメリカの保険会社が日本の公的医療保険制度を参入障壁としてとらえ、国際投資紛争解決センター(世界銀行の一角)に訴えることができます。
これまでにも「カナダの郵便局は国家補助をもらっているから公平でない」とアメリカの民間会社が訴え、カナダ政府が莫大な賠償金を払うことになったり、メキシコではアメリカの会社がゴミ処理施設を作ろうとした際に地方自治体が建設許可を与えなかったことを訴え、メキシコ政府に賠償金を払わせたなどの事例が起きています。
当然、国内法よりも国際法・条約が優先されることになります。
ラチェット条項
また、TPPにはラチェット条項というものがあります。ラチェットというのは、逆回転をさせない歯車のようなものですが、いったん開放した部門を再び規制する逆回転はできないという条項です。すでに例外なしの合意を決めているTPPは後戻りができない、日本がいったん参入を決めたら取り返しがつかないのがTPPです。
やめるのは「今でしょ!」
このようにTPP参入によって、日本の公的医療保険制度は根底から破壊されてしまいます。マイケル・ムーア監督の映画「シッコ」をご覧になった方も多いと思いますが、この映画は公的医療保険制度のないアメリカ医療の真実を描いています。映画は傷ついた自分の足を自分で針と糸で縫い合わせるシーンで始まって、医療費を払えなくなった高齢者が病院から追い出されて公園の前で捨て去られるというシーンで終わっています。日本の医療をこうしたアメリカ型のものにしてしまっていいのでしょうか。アメリカの保険会社の利益とそれに追随する日本の財界のために、日本人のいのちが犠牲になってもいいのでしょうか。私はかけがえのない国民のいのち、日本の公的医療保険制度を守るためにも、TPPには参入すべきではないと思います。
2013年4月8日月曜日
山形県内の介護殺人・心中事件(2013.5.14更新)
山形県内の介護殺人・心中事件(2006年~ )
【2006年9月 東根市】
19日午後5時ごろ、山形県東根市東根、無職○○さん(89)方で、○○さんと長女○○さん(60)、○○さんの妹○○さん(88)の3人が死亡しているのを、近くに住む○○さんの親せきの男性が見つけ、110番した。
村山署の調べでは、○○さんと○○さんは1階寝室の2つのベッドでそれぞれ、布団が掛かった状態で死亡していた。○○さんは玄関近くの茶の間で首をつっていた。
3人に目立った外傷がなく外部から侵入した形跡もないことなどから、村山署は3人が心中した可能性があるとみて、司法解剖して死因を調べる。遺書はなかった。
○○さんは○○さん、○○さんとの3人家族。近所の人などによると、○○さんと○○さんは認知症が進み寝たきりで、○○さんが身の回りの世話をしていたという。
近くに住む女性(54)は「○○さんが2人の介護をしていたが、体調を崩すなどして大変そうだった」と、驚いた様子で話した。
○○さんと○○さんは認知症などで要介護認定を受け、○○さんは最も重い要介護5、○○さんは要介護3だった。2人を介護していた○○さんも足などの具合が悪く要支援2だったという。近所の人の話では、○○さんたちは、5~6年前に山形市から引っ越してきた。近くの女性は「ここ数カ月はストレスのためか、○○さんも体調を崩し、入退院を繰り返していたようだ」と話した。【毎日新聞】 2006年9月19日
【2008年4月 山形市岩波】
◆後期高齢者医療制度で初の犠牲者が出た
後期高齢者制度が4月15日より実施されたが、早くもこの制度の犠牲者と思われる痛ましい事件が、山形市の岩波地区で発生した。
地元の山形新聞や河北新報(本社宮城県仙台市)の記事で、事件の概略を読むと次の通りである。
さる08年4月20日、午後2時40分頃、山形市岩波地区の、無職Nさん(58)方で、Nさんの弟が、自宅南側の物置小屋でNさんが首つり自殺をしているのを発見。自宅は施錠されており、110番通報で、駆け付けた山形署員は、自宅寝室にてNさんの母Kさん(87)の絞殺遺体を発見した。こたつの上に「生きるのが嫌になった」などと書かれた遺書(走り書き)が見つかったことなどから、同署はNさんが母親のKさんを殺害した後、自殺した無理心中事件の可能性が高いとして調べている。
家庭の状況は、数年前、父親が亡くなった後、母のKさんは次男のNさんと二人暮らしをしていた。Kさんは、高齢のためか、脚や腰が悪く、昨年9月に入院。事件の起こる5日前に退院していた。近頃では、母親に認知症の症状も出ていた。
Nさんは、数年前から、母親の介護のために、近くにある蔵王山中の牧場で臨時職員をしながら母親の看病を続けていた。しかし冬場には、豪雪地帯で収入の道がなく、母親の僅かな年金を生活費に回して、入院費用などをやっとのことで捻出していたと推測される。近所では、Nさんは、母親孝行の息子として評判だった。それだけに穏やかな人柄Nさんが、母親を殺害するという事件を引き起こしたことに地元住民もショックを受けているようだ。
◆低所得の高齢者に血も涙もない新高齢者医療制度
事件の起きた岩波地区は、JR山形駅から6キロほど離れた山間地だ。東南方向には、山形・宮城両県にまたがる霊峰蔵王山(1841)が聳える風光明媚なところである。しかしこの地域にも高齢化の波は、容赦なく押し寄せている。お年寄りは、僅かな年金で生活を支えながら、何とか周囲の支えによって、高くなる一方の医療費を払ってきた。どんどん年金の支給額も下げられて来た。そこに今度の「後期高齢者医療制度」が実施され、結局Nさん親子のような低所得の家庭が、親子心中という悲しい決断をせざるを得ない状況にまで追い込まれた形だ。
近所の人の話では、Nさんは、「(新医療制度で)母親の年金から保険料が引かれると生活が苦しくなる」(河北新報21日朝刊)と語っていた。また、近所の民生委員には、「(新制度で)保険料が上がったし、再入院するには、医療費も上がり、大変だ」と語り、暗に再入院の費用の捻出が出来ずに苦しんでいる様子だったという。民生委員は、21日にNさんと共に「新しい医療制度で入院費がどうなるか、山形市内の病院に話を聞きに行く約束をしていた。」(朝日新聞21日朝刊)
【2008年8月 鶴岡市】
08年8月に自宅で認知症の妻を絞殺したとして、殺人罪に問われた、鶴岡市松根、元旧櫛引町議、S被告(77)の初公判が6日、山形地裁(伊東顕裁判長)で開かれた。S被告は「殺した覚えはない」と殺意を否認。弁護側も「殺害する意思も動機もなく、首を絞めたこともない。不幸な事故」と無罪を主張した。
争点は、(1)殺意を持ち首を絞めたか(2)責任能力が完全にあるか--の2点。検察側は冒頭陳述で「認知症を患っていた妻Mさん(当時72歳)が、薬を飲まなかったことに腹を立てて首を絞めた」などと主張。死因は窒息死で「首を3分以上絞めた」と述べ、責任能力も問題ないとした。
一方、弁護側は「ベッドから離れた妻を戻そうと引き上げる際、体を押したり引いたりして首に手がかかった可能性がある」としたが、死因は「妻がベッドから落ちた際にどこかに頭をぶつけたことなどの複合的な要素が作用した可能性がある」と、別の鑑定医の意見書を元に主張。責任能力についても、心神耗弱を主張した。
起訴状によると、S被告は08年8月30日午後10時ごろから31日午前8時50分ごろまでの間、自宅の1階寝室で殺意を持ち妻の首を絞め、窒息死させたとされる。毎日新聞
【2009年2月 尾花沢市】
尾花沢市寺内の農業、Hさん(53)宅で6日、Hさんが母Rさん(74)と無理心中を図ったとみられる事件。Hさんは、寝たきりのRさんを病院から連れ戻し、昨春から自宅で世話をしていた。親類の女性(70)いわく「親孝行な息子」に何があったのか。【浅妻博之、米川康、細田元彰】
女性によると、Rさんは03年から市内の尾花沢病院に入院していたが、Hさんが「親は自分の家で看病するもんだ」と昨年4月に家に連れて帰ったという。「『母が戻ることになった』とうれしそうに話していた」と女性は振り返る。Rさんは話せず、食事も流動食だったが、Hさんが介護を一手に引き受けた。夜も床ずれにならないよう、2時間に1回は様子を見ていたという。
Hさんは、普段はあまり女性宅を訪れないが、今月3日から5日まで3日続けて訪れたという。「介護疲れで悩んでいる感じだった。そこまで悩んでたなんて。もう少し気付いてあげられれば」と女性はうつむいた。
Rさんの姉(78)によると、Rさんは03年に転倒して以来寝たきりで、その後、話しかけても反応がなくなったという。「私のことが分からないようだった。認知症だったのでは」と話す。
尾花沢署によると、Hさん方は、Hさん、Rさん、妻(54)、長男(24)、長女(21)の5人暮らし。Hさんは、高校卒業後から農業を続けていたが、昨年4月からは、健康食品の販売もしていたという。
毎日新聞
尾花沢市殺人:長男、起訴内容認める 弁護側、責任能力争う姿勢 :山形地裁初公判
尾花沢市で2月、介護していたRさん(当時74歳)を殺害し殺人罪に問われた、長男のH被告(53)の初公判が2日、山形地裁(伊東顕裁判長)であった。H被告は「間違いないです」と起訴内容を全面的に認めた。弁護側は犯行時での心神耗弱を主張。責任能力を争う姿勢を見せた。
弁護側は「精神障害で善悪の判断がつかず、やってはいけない行為を抑えることが非常に困難な状態だった」として、うつ病を主張した。検察側は、ノイローゼだったが責任能力に特段問題はないとした。
検察側は冒頭陳述で、動機について(1)介護疲れ(2)経済的不安(3)会員になった健康食品会社の商品の勧誘で家族や友人と疎遠になり、周囲から孤立――の三つを指摘。「犯行時に母親の担当医から手術の話を勧められた際、『余命2カ月』と言われたと誤解し、母親の病状が良くならないことで将来を悲観した」と述べた。
被告人質問でH被告は「元気だった母があんなみじめな姿になってこれ以上耐えられなかった。施設で死ぬなら自分の家で死なせてあげたかった」と涙ながらに語った。
起訴状などによると、H被告は2月6日正午ごろ、尾花沢市寺内の自宅1階寝室で、自分の腹を刺した後にRさんの首を絞め、さらに包丁(刃渡り約17センチ)で首を2回刺して殺害。その後再び自身の首や腹などを刺すなどして心中を図ろうとした。
【2009年4月 上山市】
4月に山形県上山市で、夫(84)が介護疲れから寝たきりの妻=当時(82)=を殺害し、殺人罪に問われた事件の裁判。法廷では病気の夫が1人で介護に当たり、貯金を切り崩しながら暮らす介護生活の悲惨さが明らかにされた。裁判長は「老老介護に関しては介護する者の不安を取り除く施設や施策が十分とは言えない」と判決で異例の言及をした。
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた上山市の無職K被告(84)の初公判が7日、山形地裁であり、K被告は起訴事実を認めた。
検察側は冒頭陳述で「介護していた妻のHさん(当時82歳)の病状が回復せず、自身の体調も優れないことなどから将来を悲観し、無理心中を図ろうとした」と動機を指摘。「4月から介護料金が値上がりすることをヘルパーから聞き、殺害を決意した」と主張した。
冒頭陳述などによると、Hさんは2005年に要介護認定5とされた。K被告は、病気をわずらいながらも、息子や孫に迷惑をかけられないという思いから、介護費用を自身の年金などから出し、1人で介護を続けてきた。
弁護側は「ヘルパーが感心するほど熱心に介護していた。『老老介護』で精神的、肉体的に追いつめられていた」などと主張。親族や地域住民ら約630人が嘆願書を同地裁に提出した。K被告は終始うつむいて、時折ハンカチで目頭を抑えていた。
起訴状などによると、K被告は今年4月2日午前3時頃、自宅寝室で、Hさんの首をネクタイなどで絞めるなどして窒息させ、殺害したとしている。
上山の妻殺害:老老介護の悲惨さが生んだ事件: 猶予判決 山形地裁
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた、上山市の無職K被告(84)の判決が29日、山形地裁であった。I裁判長は「犯行結果は重大であるが、介護や経済的な負担を抱え、犯行の経緯、動機には深く同情する」などとして、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の有罪判決を言い渡した。
I裁判長は動機について「介護、医療費がかさみ貯金を切り崩して生活していた被告が、自らの体調が悪化する中、自分が先に死ねば家族に迷惑がかかると思っていたところ、09年4月から介護料金が値上がりすると聞いて犯行を決意した」と指摘した。また老老介護について「精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとは言い難い」とし「行政に助けを求めなかった被告の気持ちも理解できる」と述べた。
判決後、I裁判長が「奥さんのことを一番覚えているあなたが生きている限りは、奥さんの魂は生き続けるのだから、奥さんのことを覚えて長生きしてください」と話すと、K被告はすすり泣きながら、力強くうなずいた。
判決によると、K被告は4月2日午前3時頃、自宅寝室で、妻のHさん(当時82歳)の首をネクタイで絞めるなどして窒息させ、殺害した。
[判決文(抜粋)]
介護状況は被害者に床ずれを作らせないなど、医師やヘルパーも感心するほど行き届いたものだった。被害者より先に自分が病死するのではないかという不安も抱くようになった。年金だけでは足りず、少ない貯金を切り崩しながら生活していた。被害者を施設に入れるにも費用が出せない。
平成21年4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、被害者を道連れに自殺しようと決意した。
老々介護に関しては、精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとまでは言い難いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理解できる。
被告人は、首に傷が付かないよう気遣って、手やネクタイで首をしめた。泣きながら「Hごめんな」「俺もすぐいくから」と話しかけ、頬も寄せたりもして、配慮と謝罪の情も示している。
被告人の刑事責任を軽視することはできないが、他方では相当にくむべき事情がある。本件は前記量刑分布の下限近くに位置づけるのが適切な事案であって、被告人を実刑に処するのは相当とはいえず、主文の刑を定め、その執行を猶予するのが相当である。
【2009年11月 山形市】
山形の住宅で70代夫婦死亡 妻の介護疲れで心中か
山形市印役町の民家で11月下旬、住人の男性(72)と妻(71)が遺体で発見された事件で、男性が妻の介護疲れで無理心中を図った可能性があることが4日、県警の捜査関係者への取材でわかった。
山形署は男性が妻を絞殺後、薬物などで自殺した可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、遺体周辺や室内に第三者が侵入した形跡が確認できず、部屋が荒らされた跡もないため、死亡時は男性と妻しかいなかったとみている。
妻はベッド上で掛け布団が掛かった状態で、男性はベッド脇の畳の上で、いずれもあおむけで横たわっていた。
【2010年2月 山辺町】
橋から母落とし殺害 容疑の長男逮捕 介護疲れか=山形
山辺町大蕨の平(たいら)橋下の雑木林で2009年11月27日、親子2人が倒れているのが見つかり、母親(当時86)が外傷性血気胸で死亡した事件で、山形署は1日、一緒に倒れていた東村山郡の無職の長男(45)を殺人の容疑で逮捕した。
発表などによると、長男は母親を乗用車に乗せて橋まで連れ出し、約20メートル下の斜面に転落させた疑い。
母親を先に転落させ、その後自分も飛び降りたとみられ、長男は事件後、「自分で母親を落とした」などと供述したが、逮捕後は、動機や犯行の方法について「覚えていない」などと供述している。
山辺町役場関係者などによると、母親は足に障害があり要介護度「5」で、自立歩行が不自由な状態。男は精神疾患の治療をしながら母親を介護していた。同署は、男が介護疲れから心中を図った可能性もあるとみている。
役場関係者は「民生委員らが訪問しても『大丈夫だ』と言われ家に入れなかったようだ。老々世帯や高齢独居世帯に比べ、親子世帯なので危険が少ないとの判断もあったのでは」と話している。
【2010年12月 秋田(遊佐町)】
昨年12月孝行息子が母親を殺した『秋田の老老介護殺人』の判決
今月2日、秋田地裁で判決言い渡しがあり、B裁判長は懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。
【事件】
昨年12月11日午前7時50分ごろ、秋田市新屋の交番に1人の男が現れた。
「自宅で母親を殺しました」-。
男の話を聞いた警察官が県営住宅1階の一室に駆けつけると、寝室の中央に敷かれた布団の中で、仰向けになった母親Iさんが冷たくなっていた。119番通報で駆けつけた救急隊員は、母親Iさんに呼吸も脈もなく、死後硬直がみられたことで、病院に搬送はせず、午前9時28分、医師が死亡を確認した。
逮捕、起訴されたのは息子のK被告。警察の員面調書などによると、K被告はその日の午前5時ごろ、寝ていた母親Iさんの脇に正座した。手には介護に使っていたクッキングペーパー。それを母親Iさんの顔にかぶせ、その上から右手で鼻と口を押さえた。
母親Iさんは1度、息を吹き返したが、K被告は構わずそのまま1~2分押さえ続けた。母親Iさんはやがて動かなくなった。
【背景】
K被告は、山形県遊佐町に長男として生まれた。下には妹2人がいた。
農業を手伝った後、塗装工として県外で働くようになったが、20代半ばの頃、父親が用水路に転落し、脊髄を損傷して車いすでの生活を余儀なくされたことから帰郷した。仕事の傍ら、父親の介護をする母親Iさんを手伝い、ともに介護をするようになった。
やがて母親Iさんが加齢のため体力が落ちると、床ずれの治療やおむつの交換など、力がいる世話は、K被告が中心になってやるようになった。
さらに平成14年に父親が亡くなるころ、母親Iさんは認知症にかかり、徘徊するようになる。その後、足も不自由になり、寝たきりの生活に。K被告は母親Iさんの介護を独力でするようになる。そして、独身のまま50代を迎えていた。
【法廷】
秋田地裁1号法廷で開かれた公判で、弁護士は被告人質問でK被告に介護の状況を訊いた。
弁護士「母親にどんな食事をさせていましたか」
被告「北海道のレトルト食品会社から取り寄せた10種類をミキサーにかけ、おかゆやサツマイモ、カボチャのつぶしたものを与えていました。冷蔵庫に小分けして保存していました」
弁護士「どんな味付けでしたか」
被告「母は甘い物が好きでした。でも砂糖は体に悪いと思い、はちみつを入れていました」
弁護士「いつ食べさせるんですか」
被告「朝と晩は自分が。昼はヘルパーの人が食べさせてくれました」
弁護士「尿の処理は?」
被告「最初はリハビリ用のパンツ。おむつをはかせるようになりましたが、自分で出せなくなり、カテーテルが入れっぱなしになりました」
母親Iさんは数年前から、膀胱炎や腎盂炎にかかり、40度の高熱を出しては市内の病院に3回入院した。
その都度、抗生物質を投与され、退院。事件の2週間前も4度目の退院をしたばかりだったが、事件の前日に再び発熱した。
往診の医師やヘルパーが薬を投与し、夕方には熱が37・4度まで下がった。だが、ゼーゼーと息は荒いままだった。
ヘルパーが帰ると、K被告は、さんの大好物のプリンをさじで口に持っていった。が、食べようとしない。スポーツドリンクを飲ませようとするが、飲み込まない。
「大丈夫?」「食べないとだめだよ」-。声をかけながら、30分おきに何度か食べさせようとしたが、駄目だった。
「病院で管を通されるなら、自分の手で…」
(弁護)
被告の弁護士は、被告人質問で、彼が介護に疲れて殺害したのではなく、病院で管をつながれて最期を迎えるのに耐えられなかったからだ、という趣旨の言葉を引き出そうとする。
弁護士「以前の入院と比べて、どう見えましたか」
被告「非常に(病状が)悪いと感じました。息が荒く苦しそうだった」
弁護士「そうした容体を見てどう思いましたか」
被告「このままでは長くないのではないか。寿命が尽きかかっているんじゃないかと-」
弁護士「病院に連れて行こうと思いませんでしたか」
被告「思いました」
弁護士「なぜ、そうしなかったのですか」
被告「前に入院させたとき、医者から胃に管を通して栄養を入れる手術を勧められ、反対だったからです」
弁護士「なぜ反対なのですか」
被告「母はだんだん体力がなくなり、目は見えなくなり、耳も聞こえなくなっていました。最後の味覚まで奪われて、管を入れられて最期を迎えるのは、母にとって、あまりに酷で悲しいこと。とても見ていられませんでした」
弁護士「そして、どうしようと思ったのですか」
被告「延命措置はだめだ。これ以上苦しませたくない。楽にさせてやりたいと思いました」
K被告は犯行後、風呂場の介助用アームに電気コードをくくりつけ、首をつろうとしたが死にきれず、交番に自首した。
(裁判員)
だが裁判員は、K被告が介護疲れの末に起こした殺人事件ではないか、という疑問を呈した。裁判員の女性の1人は問いただした。
「長年介護してきて、自分もこれ以上苦しみたくないという気持ちはありませんでしたか」
被告「苦しいとかやりたくないとか、そういう気持ちがあれば、介護なんかできません。でも、本当にそうか(自分が疲れたから殺害したのか)といわれれば、(介護に)疲れたこともあったし、長く続けたくないと思ったこともあります」
(家族)
酌量を求める家族、勤務先からは嘆願書も
証人として出廷した、東京都内に住む3歳違いの妹は涙ながらに兄をかばった。
弁護士「あなたはどれぐらい母親を訪ねていましたか」
妹「年に2回ぐらいしか来られなかった。兄の言葉に甘えて、まかせっきりにしていました」
弁護士「母親に手をかけた兄をどう思いますか」
妹「不謹慎かもしれませんが、兄は愛情を持って母を介護していました。天国まで導いてくれたんだと思います」
被告も目頭を押さえた。
弁護士「許せない気持ちは?」
妹「あるはずないです」
弁護士「(山形県の)お墓に、母親といっしょに加害者の被告も入れますか」
妹「入れます。母を愛情深く見守ってきたのですから…」
K被告の減刑を求める嘆願書を集めた勤務先の会社の社長も証人として出廷した。
被告の真面目な働きぶりを紹介し、「できるだけ早く社会にもどれるようにしてほしい」と訴えた。
(検察)
検察側は論告で、母親Iさんが事件前まで食事をし、押さえられた口から息を漏らしたのは「生きようとする最後の抵抗だった」と指摘。「その命を奪った重大さは許されない」と厳しくK被告の行為を断罪した。
また、K被告は母親Iさんの分を合わせて年金16万円、塗装工として約13万円の月収、さらに預金が約200万円あり、ヘルパーなどの支援を受け、ドライブや映画を楽しむ余裕があったとして、「ぎりぎり追い込まれての犯行でなかった」と述べた。
さらに、進行する高齢化社会の中で、「安易に軽い刑を科せば、同様の事案が発生することを抑制できなくなる」と社会に与える影響を挙げ、懲役6年の判決を求めた。
一方、弁護側は献身的な長年の介護や自首の事実、罪に対する自覚などを挙げて、情状酌量し、執行猶予判決を出すよう求めた。
【判決】
B裁判長は執行猶予判決とした理由として、自首していることや罪を自覚していることに加え、「献身的な介護を10年も行っていたのであって、被害者に対し、深い愛情をもって接していたことは疑いがない。犯行当日に被害者がもう助からないかもしれないと思い込んだとしても無理からぬ面がある」と情状酌量した。
もっとも殺害行為については、「医師による治療を受ければ被害者の容体が安定する可能性があり、ほかに適切な手段をとることができた。そもそも、そのような理由で人の命を奪う行為は正当化されるものでない。生命を奪うという結果を生じさせたことは重大」とも述べ、被告の殺害行為を非難した。
<現状>
厚生労働省の平成22年度高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は平成20年度現在1978万世帯で全世帯の約41%。
65歳以上の要介護等と認定された人は19年度末で約438万人。世話をする介護者が60歳以上の「老老介護」は、全体の60・8%にも及ぶ。その半数以上にあたる36・2%が70歳以上。
【2011年4月 酒田市】
酒田の住宅で男女2遺体発見 病死と自殺か
22日午前10時半ごろ、酒田市若竹町2の住宅で、男女2人が和室の布団の上で死亡しているのを、大家の男性が発見した。大家はこの住宅に住む90代の女性と、60代の息子の2人と連絡が取れないため、部屋に入った。県警捜査1課などは、男女はこの親子ではないかとみている。同課などは、女性に目立った外傷がなく、男性は首にひもの痕があったことなどから、女性が病死し、男性が自殺した可能性が高いとみて調べている。
同課によると、遺体の傷み具合などから、ともに死後数日が経過しているとみられる。
近くの美容師の女性(70)は「こんなことになるんだったら、日ごろから声を掛けたり、様子を見に行ったりすべきだった」と顔を両手で覆い声を詰まらせた。今月初めに新聞販売店の従業員が「電話をしても応答がなく集金ができない」と困った様子で来た時も、連れ立って訪ねることもしなかったと悔やんだ。
【2011年4月 鶴岡市】
寝たきりの義母にけがをさせたとして、山形県警鶴岡署は2日、鶴岡市小名部、無職S容疑者
(58)を傷害容疑で逮捕した。暴行後、義母は死亡しており、同署は死因を調べている。
発表によると、S容疑者は4月30日夜、自宅寝室で、同居する義母のS子さん(84)の顔を引っかくなどしてけがをさせた疑い。
S容疑者が5月1日正午過ぎ、「義母が亡くなっている」と鶴岡署に通報した。駆け付けた署員が検視を行い、S子さんの顔や首などに外傷を確認した。2日午後に司法解剖する。
S容疑者は調べに対し、「引っかいたことは間違いない。1人でやった」などと供述しているという。
S子さんは介護が必要だったという。S容疑者は、S子さんと、その夫(84)、同容疑者の次男(29)との4人暮らし。
【2011年7月 鶴岡市】
民家から女性2人の変死体 山形・鶴岡、無理心中か
11日午後8時10分ごろ、山形県鶴岡市の男性(67)から、妻(66)と次女(38)が死亡していると119番通報があった。
県警鶴岡署によると、妻は1階の居間で倒れており、次女は物置で首をつっていた。妻の首には絞められた痕があった。家の中が荒らされた形跡はないという。
同署は状況などから無理心中の可能性があるとみて調べている。この家は3人暮らし。
【2011年7月 真室川町】
真室川母親殺害懲役8年
自宅で実母を殺害したとして、殺人の罪に問われた真室川町新町、元醤油(しょうゆ)製造会社副社長K被告(56)の裁判員裁判の判決が1日、山形地裁であった。
Y裁判長は「自殺を考え、妻子に迷惑がかからないよう母を殺害した動機は身勝手」などとして、懲役8年など(求刑・懲役13年など)を言い渡した。
判決でY裁判長は「被害者の首をベルトで絞め、倒れた後も両手で首を押さえ続け、さらに胸部を包丁で突き刺した極めて残忍な犯行」と指摘した。
一方で、弁護側が主張した、会社経営がうまくいかず、認知症の母を抱え思い悩んでの犯行だったとの点については、「経営の悩みなどを抱えながら相談できる相手がおらず、追いつめられていた」と述べ、弁護側の主張を認めた。また、複数の嘆願書が寄せられ、遺族も処罰を望んでいないと、判決の理由を説明した。
判決文を読み終えたY裁判長は「今後は自分のことも含めて命をもっと大切に生きてほしいと思います」と語りかけた。
【2012年2月 朝日町】
5日午後0時40分ごろ、山形県朝日町の無職男性(67)方で、男性と母親(93)が
死亡しているのを訪れた親戚が見つけ、110番した。
寒河江署によると、男性は2階の屋根裏部屋で首をつった状態で見つかった。母親は1階で倒れており、首を絞められたような痕があった。2人とも死後2~3日経過しているとみられる。
室内に荒らされた跡はないという。同署は無理心中の可能性もあるとみて死因を調べている。母子は2人暮らし。
【2012年7月 鶴岡市】
77歳と54歳 生活保護受給の親子が心中か 山形・鶴岡市
9日午後1時半ごろ、山形県鶴岡市双葉町の無職、O子さん(77)の住宅で、息子のTさん(54)が廊下で首をつって死亡しているのを訪れた親戚が発見し、110番通報した。
駆け付けた鶴岡署員が茶の間で座ったまま亡くなっていたOさんを見つけた。
県警によると、2人に着衣の乱れや目立った外傷はなく、遺書らしきメモが残されていたことから 心中の可能性もあるとみて死因を詳しく調べる。
鶴岡市によると、Oさん宅は2人暮らしで生活保護を受給していた。
1カ月当たりの生活保護費9万6200円のほか、親戚から援助もあったという。
Oさんに介護の必要などはなかったが、息子に疾患があったという。
担当の民生委員が連絡を取れないのを不審に思い、親戚に連絡した。
【2012年8月 鶴岡市】
13日午前8時半ごろ、鶴岡市城南町の民家で、「母親が息をしていない」と家族から119番通報があった。救急隊員が駆け付けたところ、この家に住む無職、Yさん(76)が寝室で死亡していた。Yさんの背中や手足にあざなどの外傷があり、鶴岡署が同居の長男で団体職員、S容疑者(51)に事情を聴いたところ「12日夜、横になっていた母親の背中を蹴った」などと暴行を認めたため、14日未明に傷害容疑で逮捕した。
検察庁の冒頭陳述によると、被告は2012年8月午後10時頃、同居する母Yさん(当時76)が酒に酔っていることに腹を立て、頭をコップの底で殴るなどして、頭蓋内損傷で死亡させたとされる。弁護側は、被告は飲酒をやめられないYさんのことで悩んでおり、事件は偶発的なものだったとして、寛大な処分を求めた。(朝日)
【2012年9月 酒田市】
無理心中?:自宅物置で夫妻?が死亡
14日午後3時半ごろ、酒田市飛鳥、無職、Mさん(82)方の木造2階建て物置小屋の2階で妻のYさん(76)が死亡しているのを、酒田署員が発見した。さらに1階からMさんとみられる男性遺体が見つかり、同署は身元の確認を急いでいる。同署は無理心中の可能性があるとみて捜査を始めた。
同署などによると、Mさん方は2人暮らし。男性の遺体は1階で布団で横たわった状態で見つかった。年齢70~80歳で、腐敗が進んでおり死後数週間が経過しているとみられる。またYさんは死後数日が経過しているとみられる。2人とも目立った外傷はなく、司法解剖をして身元と死因を調べる。
【2013年2月 鶴岡市】
鶴岡の79歳女性殺害:夫を殺人容疑で逮捕 「一緒に死のうと思い」
鶴岡市馬町の民家で、この家に住む無職、H子さん(79)がベッドで死亡しているのが見つかった事件で、鶴岡署は16日、同居する夫の無職、N容疑者(80)を殺人容疑で逮捕した。「自分も一緒に死のうと思い妻を殺した」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、15日、自宅1階の寝室で、H子さんの首を布製のひもで絞めたうえ、両手で絞めて殺害したとしている。
同署によると、16日の司法解剖の結果、死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明した。また長女(57)がH子さんを15日正午ごろに見ており、直記容疑者がH子さんの首を絞めたのは同日正午から午後4時半までの間とみられる。
同署によると、ベッドの上に刃物があった。N容疑者の左足首に切り傷があったため関連を調べている。長女がHさんを発見したときN容疑者はベッドの横に立ってじっとしていたという。H子さんは寝たきり状態で認知症の症状があったといい、N容疑者も病気で約1カ月前から入院していて数日前に退院したばかりだった。N容疑者は自分の体調のこともあり、妻を残しては死ねず、子供たちに迷惑をかけられないという話をしているという。【毎日新聞】
【2013年2月 朝日町】
・父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火
同居の父母の世話を苦に自宅に火を付けたとして、山形県警寒河江署は26日、山形県朝日町松程、無職H容疑者(37)を現住建造物等放火容疑で逮捕した。
発表などによると、H容疑者は25日午後7時頃、1階居間に灯油をまいて火を付け、木造2階住宅約126平方メートルを全焼させた疑い。約2時間15分後に鎮火し、けが人はなかった。
出典父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火(読売新聞)
県警幹部によると、H容疑者は調べに「目の悪い父や足の悪い母の面倒を見るのが嫌になった。仕事を失い、生活も苦しかった。家を燃やし、今の暮らしを抜け出したかった」と供述している。H容疑者は父(75)と母(62)の3人暮らし。両親の年金で生活し、H容疑者は2人の身の回りの世話をしていた。
H容疑者は自宅に火を付けた後、2人を車に乗せて同県南陽市に向かい、同日午後9時半頃、南陽署に出頭した。両親は近くの駐車場に止めた車の中にいた。H容疑者は「事態の重大さに気付き、罪の意識にさいなまれて名乗り出た」と話しているという。
【2006年9月 東根市】
19日午後5時ごろ、山形県東根市東根、無職○○さん(89)方で、○○さんと長女○○さん(60)、○○さんの妹○○さん(88)の3人が死亡しているのを、近くに住む○○さんの親せきの男性が見つけ、110番した。
村山署の調べでは、○○さんと○○さんは1階寝室の2つのベッドでそれぞれ、布団が掛かった状態で死亡していた。○○さんは玄関近くの茶の間で首をつっていた。
3人に目立った外傷がなく外部から侵入した形跡もないことなどから、村山署は3人が心中した可能性があるとみて、司法解剖して死因を調べる。遺書はなかった。
○○さんは○○さん、○○さんとの3人家族。近所の人などによると、○○さんと○○さんは認知症が進み寝たきりで、○○さんが身の回りの世話をしていたという。
近くに住む女性(54)は「○○さんが2人の介護をしていたが、体調を崩すなどして大変そうだった」と、驚いた様子で話した。
○○さんと○○さんは認知症などで要介護認定を受け、○○さんは最も重い要介護5、○○さんは要介護3だった。2人を介護していた○○さんも足などの具合が悪く要支援2だったという。近所の人の話では、○○さんたちは、5~6年前に山形市から引っ越してきた。近くの女性は「ここ数カ月はストレスのためか、○○さんも体調を崩し、入退院を繰り返していたようだ」と話した。【毎日新聞】 2006年9月19日
【2008年4月 山形市岩波】
◆後期高齢者医療制度で初の犠牲者が出た
後期高齢者制度が4月15日より実施されたが、早くもこの制度の犠牲者と思われる痛ましい事件が、山形市の岩波地区で発生した。
地元の山形新聞や河北新報(本社宮城県仙台市)の記事で、事件の概略を読むと次の通りである。
さる08年4月20日、午後2時40分頃、山形市岩波地区の、無職Nさん(58)方で、Nさんの弟が、自宅南側の物置小屋でNさんが首つり自殺をしているのを発見。自宅は施錠されており、110番通報で、駆け付けた山形署員は、自宅寝室にてNさんの母Kさん(87)の絞殺遺体を発見した。こたつの上に「生きるのが嫌になった」などと書かれた遺書(走り書き)が見つかったことなどから、同署はNさんが母親のKさんを殺害した後、自殺した無理心中事件の可能性が高いとして調べている。
家庭の状況は、数年前、父親が亡くなった後、母のKさんは次男のNさんと二人暮らしをしていた。Kさんは、高齢のためか、脚や腰が悪く、昨年9月に入院。事件の起こる5日前に退院していた。近頃では、母親に認知症の症状も出ていた。
Nさんは、数年前から、母親の介護のために、近くにある蔵王山中の牧場で臨時職員をしながら母親の看病を続けていた。しかし冬場には、豪雪地帯で収入の道がなく、母親の僅かな年金を生活費に回して、入院費用などをやっとのことで捻出していたと推測される。近所では、Nさんは、母親孝行の息子として評判だった。それだけに穏やかな人柄Nさんが、母親を殺害するという事件を引き起こしたことに地元住民もショックを受けているようだ。
◆低所得の高齢者に血も涙もない新高齢者医療制度
事件の起きた岩波地区は、JR山形駅から6キロほど離れた山間地だ。東南方向には、山形・宮城両県にまたがる霊峰蔵王山(1841)が聳える風光明媚なところである。しかしこの地域にも高齢化の波は、容赦なく押し寄せている。お年寄りは、僅かな年金で生活を支えながら、何とか周囲の支えによって、高くなる一方の医療費を払ってきた。どんどん年金の支給額も下げられて来た。そこに今度の「後期高齢者医療制度」が実施され、結局Nさん親子のような低所得の家庭が、親子心中という悲しい決断をせざるを得ない状況にまで追い込まれた形だ。
近所の人の話では、Nさんは、「(新医療制度で)母親の年金から保険料が引かれると生活が苦しくなる」(河北新報21日朝刊)と語っていた。また、近所の民生委員には、「(新制度で)保険料が上がったし、再入院するには、医療費も上がり、大変だ」と語り、暗に再入院の費用の捻出が出来ずに苦しんでいる様子だったという。民生委員は、21日にNさんと共に「新しい医療制度で入院費がどうなるか、山形市内の病院に話を聞きに行く約束をしていた。」(朝日新聞21日朝刊)
【2008年8月 鶴岡市】
08年8月に自宅で認知症の妻を絞殺したとして、殺人罪に問われた、鶴岡市松根、元旧櫛引町議、S被告(77)の初公判が6日、山形地裁(伊東顕裁判長)で開かれた。S被告は「殺した覚えはない」と殺意を否認。弁護側も「殺害する意思も動機もなく、首を絞めたこともない。不幸な事故」と無罪を主張した。
争点は、(1)殺意を持ち首を絞めたか(2)責任能力が完全にあるか--の2点。検察側は冒頭陳述で「認知症を患っていた妻Mさん(当時72歳)が、薬を飲まなかったことに腹を立てて首を絞めた」などと主張。死因は窒息死で「首を3分以上絞めた」と述べ、責任能力も問題ないとした。
一方、弁護側は「ベッドから離れた妻を戻そうと引き上げる際、体を押したり引いたりして首に手がかかった可能性がある」としたが、死因は「妻がベッドから落ちた際にどこかに頭をぶつけたことなどの複合的な要素が作用した可能性がある」と、別の鑑定医の意見書を元に主張。責任能力についても、心神耗弱を主張した。
起訴状によると、S被告は08年8月30日午後10時ごろから31日午前8時50分ごろまでの間、自宅の1階寝室で殺意を持ち妻の首を絞め、窒息死させたとされる。毎日新聞
【2009年2月 尾花沢市】
尾花沢市寺内の農業、Hさん(53)宅で6日、Hさんが母Rさん(74)と無理心中を図ったとみられる事件。Hさんは、寝たきりのRさんを病院から連れ戻し、昨春から自宅で世話をしていた。親類の女性(70)いわく「親孝行な息子」に何があったのか。【浅妻博之、米川康、細田元彰】
女性によると、Rさんは03年から市内の尾花沢病院に入院していたが、Hさんが「親は自分の家で看病するもんだ」と昨年4月に家に連れて帰ったという。「『母が戻ることになった』とうれしそうに話していた」と女性は振り返る。Rさんは話せず、食事も流動食だったが、Hさんが介護を一手に引き受けた。夜も床ずれにならないよう、2時間に1回は様子を見ていたという。
Hさんは、普段はあまり女性宅を訪れないが、今月3日から5日まで3日続けて訪れたという。「介護疲れで悩んでいる感じだった。そこまで悩んでたなんて。もう少し気付いてあげられれば」と女性はうつむいた。
Rさんの姉(78)によると、Rさんは03年に転倒して以来寝たきりで、その後、話しかけても反応がなくなったという。「私のことが分からないようだった。認知症だったのでは」と話す。
尾花沢署によると、Hさん方は、Hさん、Rさん、妻(54)、長男(24)、長女(21)の5人暮らし。Hさんは、高校卒業後から農業を続けていたが、昨年4月からは、健康食品の販売もしていたという。
毎日新聞
尾花沢市殺人:長男、起訴内容認める 弁護側、責任能力争う姿勢 :山形地裁初公判
尾花沢市で2月、介護していたRさん(当時74歳)を殺害し殺人罪に問われた、長男のH被告(53)の初公判が2日、山形地裁(伊東顕裁判長)であった。H被告は「間違いないです」と起訴内容を全面的に認めた。弁護側は犯行時での心神耗弱を主張。責任能力を争う姿勢を見せた。
弁護側は「精神障害で善悪の判断がつかず、やってはいけない行為を抑えることが非常に困難な状態だった」として、うつ病を主張した。検察側は、ノイローゼだったが責任能力に特段問題はないとした。
検察側は冒頭陳述で、動機について(1)介護疲れ(2)経済的不安(3)会員になった健康食品会社の商品の勧誘で家族や友人と疎遠になり、周囲から孤立――の三つを指摘。「犯行時に母親の担当医から手術の話を勧められた際、『余命2カ月』と言われたと誤解し、母親の病状が良くならないことで将来を悲観した」と述べた。
被告人質問でH被告は「元気だった母があんなみじめな姿になってこれ以上耐えられなかった。施設で死ぬなら自分の家で死なせてあげたかった」と涙ながらに語った。
起訴状などによると、H被告は2月6日正午ごろ、尾花沢市寺内の自宅1階寝室で、自分の腹を刺した後にRさんの首を絞め、さらに包丁(刃渡り約17センチ)で首を2回刺して殺害。その後再び自身の首や腹などを刺すなどして心中を図ろうとした。
【2009年4月 上山市】
4月に山形県上山市で、夫(84)が介護疲れから寝たきりの妻=当時(82)=を殺害し、殺人罪に問われた事件の裁判。法廷では病気の夫が1人で介護に当たり、貯金を切り崩しながら暮らす介護生活の悲惨さが明らかにされた。裁判長は「老老介護に関しては介護する者の不安を取り除く施設や施策が十分とは言えない」と判決で異例の言及をした。
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた上山市の無職K被告(84)の初公判が7日、山形地裁であり、K被告は起訴事実を認めた。
検察側は冒頭陳述で「介護していた妻のHさん(当時82歳)の病状が回復せず、自身の体調も優れないことなどから将来を悲観し、無理心中を図ろうとした」と動機を指摘。「4月から介護料金が値上がりすることをヘルパーから聞き、殺害を決意した」と主張した。
冒頭陳述などによると、Hさんは2005年に要介護認定5とされた。K被告は、病気をわずらいながらも、息子や孫に迷惑をかけられないという思いから、介護費用を自身の年金などから出し、1人で介護を続けてきた。
弁護側は「ヘルパーが感心するほど熱心に介護していた。『老老介護』で精神的、肉体的に追いつめられていた」などと主張。親族や地域住民ら約630人が嘆願書を同地裁に提出した。K被告は終始うつむいて、時折ハンカチで目頭を抑えていた。
起訴状などによると、K被告は今年4月2日午前3時頃、自宅寝室で、Hさんの首をネクタイなどで絞めるなどして窒息させ、殺害したとしている。
上山の妻殺害:老老介護の悲惨さが生んだ事件: 猶予判決 山形地裁
介護疲れなどから無理心中を図ろうと妻を殺害したとして殺人罪に問われた、上山市の無職K被告(84)の判決が29日、山形地裁であった。I裁判長は「犯行結果は重大であるが、介護や経済的な負担を抱え、犯行の経緯、動機には深く同情する」などとして、懲役3年、執行猶予5年(求刑・懲役5年)の有罪判決を言い渡した。
I裁判長は動機について「介護、医療費がかさみ貯金を切り崩して生活していた被告が、自らの体調が悪化する中、自分が先に死ねば家族に迷惑がかかると思っていたところ、09年4月から介護料金が値上がりすると聞いて犯行を決意した」と指摘した。また老老介護について「精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとは言い難い」とし「行政に助けを求めなかった被告の気持ちも理解できる」と述べた。
判決後、I裁判長が「奥さんのことを一番覚えているあなたが生きている限りは、奥さんの魂は生き続けるのだから、奥さんのことを覚えて長生きしてください」と話すと、K被告はすすり泣きながら、力強くうなずいた。
判決によると、K被告は4月2日午前3時頃、自宅寝室で、妻のHさん(当時82歳)の首をネクタイで絞めるなどして窒息させ、殺害した。
[判決文(抜粋)]
介護状況は被害者に床ずれを作らせないなど、医師やヘルパーも感心するほど行き届いたものだった。被害者より先に自分が病死するのではないかという不安も抱くようになった。年金だけでは足りず、少ない貯金を切り崩しながら生活していた。被害者を施設に入れるにも費用が出せない。
平成21年4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、被害者を道連れに自殺しようと決意した。
老々介護に関しては、精神面でも経済面でも介護をする者の不安を払拭できる施設や施策が十分にあるとまでは言い難いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理解できる。
被告人は、首に傷が付かないよう気遣って、手やネクタイで首をしめた。泣きながら「Hごめんな」「俺もすぐいくから」と話しかけ、頬も寄せたりもして、配慮と謝罪の情も示している。
被告人の刑事責任を軽視することはできないが、他方では相当にくむべき事情がある。本件は前記量刑分布の下限近くに位置づけるのが適切な事案であって、被告人を実刑に処するのは相当とはいえず、主文の刑を定め、その執行を猶予するのが相当である。
【2009年11月 山形市】
山形の住宅で70代夫婦死亡 妻の介護疲れで心中か
山形市印役町の民家で11月下旬、住人の男性(72)と妻(71)が遺体で発見された事件で、男性が妻の介護疲れで無理心中を図った可能性があることが4日、県警の捜査関係者への取材でわかった。
山形署は男性が妻を絞殺後、薬物などで自殺した可能性があるとみて調べている。
捜査関係者によると、遺体周辺や室内に第三者が侵入した形跡が確認できず、部屋が荒らされた跡もないため、死亡時は男性と妻しかいなかったとみている。
妻はベッド上で掛け布団が掛かった状態で、男性はベッド脇の畳の上で、いずれもあおむけで横たわっていた。
【2010年2月 山辺町】
橋から母落とし殺害 容疑の長男逮捕 介護疲れか=山形
山辺町大蕨の平(たいら)橋下の雑木林で2009年11月27日、親子2人が倒れているのが見つかり、母親(当時86)が外傷性血気胸で死亡した事件で、山形署は1日、一緒に倒れていた東村山郡の無職の長男(45)を殺人の容疑で逮捕した。
発表などによると、長男は母親を乗用車に乗せて橋まで連れ出し、約20メートル下の斜面に転落させた疑い。
母親を先に転落させ、その後自分も飛び降りたとみられ、長男は事件後、「自分で母親を落とした」などと供述したが、逮捕後は、動機や犯行の方法について「覚えていない」などと供述している。
山辺町役場関係者などによると、母親は足に障害があり要介護度「5」で、自立歩行が不自由な状態。男は精神疾患の治療をしながら母親を介護していた。同署は、男が介護疲れから心中を図った可能性もあるとみている。
役場関係者は「民生委員らが訪問しても『大丈夫だ』と言われ家に入れなかったようだ。老々世帯や高齢独居世帯に比べ、親子世帯なので危険が少ないとの判断もあったのでは」と話している。
【2010年12月 秋田(遊佐町)】
昨年12月孝行息子が母親を殺した『秋田の老老介護殺人』の判決
今月2日、秋田地裁で判決言い渡しがあり、B裁判長は懲役3年、執行猶予5年を言い渡した。
【事件】
昨年12月11日午前7時50分ごろ、秋田市新屋の交番に1人の男が現れた。
「自宅で母親を殺しました」-。
男の話を聞いた警察官が県営住宅1階の一室に駆けつけると、寝室の中央に敷かれた布団の中で、仰向けになった母親Iさんが冷たくなっていた。119番通報で駆けつけた救急隊員は、母親Iさんに呼吸も脈もなく、死後硬直がみられたことで、病院に搬送はせず、午前9時28分、医師が死亡を確認した。
逮捕、起訴されたのは息子のK被告。警察の員面調書などによると、K被告はその日の午前5時ごろ、寝ていた母親Iさんの脇に正座した。手には介護に使っていたクッキングペーパー。それを母親Iさんの顔にかぶせ、その上から右手で鼻と口を押さえた。
母親Iさんは1度、息を吹き返したが、K被告は構わずそのまま1~2分押さえ続けた。母親Iさんはやがて動かなくなった。
【背景】
K被告は、山形県遊佐町に長男として生まれた。下には妹2人がいた。
農業を手伝った後、塗装工として県外で働くようになったが、20代半ばの頃、父親が用水路に転落し、脊髄を損傷して車いすでの生活を余儀なくされたことから帰郷した。仕事の傍ら、父親の介護をする母親Iさんを手伝い、ともに介護をするようになった。
やがて母親Iさんが加齢のため体力が落ちると、床ずれの治療やおむつの交換など、力がいる世話は、K被告が中心になってやるようになった。
さらに平成14年に父親が亡くなるころ、母親Iさんは認知症にかかり、徘徊するようになる。その後、足も不自由になり、寝たきりの生活に。K被告は母親Iさんの介護を独力でするようになる。そして、独身のまま50代を迎えていた。
【法廷】
秋田地裁1号法廷で開かれた公判で、弁護士は被告人質問でK被告に介護の状況を訊いた。
弁護士「母親にどんな食事をさせていましたか」
被告「北海道のレトルト食品会社から取り寄せた10種類をミキサーにかけ、おかゆやサツマイモ、カボチャのつぶしたものを与えていました。冷蔵庫に小分けして保存していました」
弁護士「どんな味付けでしたか」
被告「母は甘い物が好きでした。でも砂糖は体に悪いと思い、はちみつを入れていました」
弁護士「いつ食べさせるんですか」
被告「朝と晩は自分が。昼はヘルパーの人が食べさせてくれました」
弁護士「尿の処理は?」
被告「最初はリハビリ用のパンツ。おむつをはかせるようになりましたが、自分で出せなくなり、カテーテルが入れっぱなしになりました」
母親Iさんは数年前から、膀胱炎や腎盂炎にかかり、40度の高熱を出しては市内の病院に3回入院した。
その都度、抗生物質を投与され、退院。事件の2週間前も4度目の退院をしたばかりだったが、事件の前日に再び発熱した。
往診の医師やヘルパーが薬を投与し、夕方には熱が37・4度まで下がった。だが、ゼーゼーと息は荒いままだった。
ヘルパーが帰ると、K被告は、さんの大好物のプリンをさじで口に持っていった。が、食べようとしない。スポーツドリンクを飲ませようとするが、飲み込まない。
「大丈夫?」「食べないとだめだよ」-。声をかけながら、30分おきに何度か食べさせようとしたが、駄目だった。
「病院で管を通されるなら、自分の手で…」
(弁護)
被告の弁護士は、被告人質問で、彼が介護に疲れて殺害したのではなく、病院で管をつながれて最期を迎えるのに耐えられなかったからだ、という趣旨の言葉を引き出そうとする。
弁護士「以前の入院と比べて、どう見えましたか」
被告「非常に(病状が)悪いと感じました。息が荒く苦しそうだった」
弁護士「そうした容体を見てどう思いましたか」
被告「このままでは長くないのではないか。寿命が尽きかかっているんじゃないかと-」
弁護士「病院に連れて行こうと思いませんでしたか」
被告「思いました」
弁護士「なぜ、そうしなかったのですか」
被告「前に入院させたとき、医者から胃に管を通して栄養を入れる手術を勧められ、反対だったからです」
弁護士「なぜ反対なのですか」
被告「母はだんだん体力がなくなり、目は見えなくなり、耳も聞こえなくなっていました。最後の味覚まで奪われて、管を入れられて最期を迎えるのは、母にとって、あまりに酷で悲しいこと。とても見ていられませんでした」
弁護士「そして、どうしようと思ったのですか」
被告「延命措置はだめだ。これ以上苦しませたくない。楽にさせてやりたいと思いました」
K被告は犯行後、風呂場の介助用アームに電気コードをくくりつけ、首をつろうとしたが死にきれず、交番に自首した。
(裁判員)
だが裁判員は、K被告が介護疲れの末に起こした殺人事件ではないか、という疑問を呈した。裁判員の女性の1人は問いただした。
「長年介護してきて、自分もこれ以上苦しみたくないという気持ちはありませんでしたか」
被告「苦しいとかやりたくないとか、そういう気持ちがあれば、介護なんかできません。でも、本当にそうか(自分が疲れたから殺害したのか)といわれれば、(介護に)疲れたこともあったし、長く続けたくないと思ったこともあります」
(家族)
酌量を求める家族、勤務先からは嘆願書も
証人として出廷した、東京都内に住む3歳違いの妹は涙ながらに兄をかばった。
弁護士「あなたはどれぐらい母親を訪ねていましたか」
妹「年に2回ぐらいしか来られなかった。兄の言葉に甘えて、まかせっきりにしていました」
弁護士「母親に手をかけた兄をどう思いますか」
妹「不謹慎かもしれませんが、兄は愛情を持って母を介護していました。天国まで導いてくれたんだと思います」
被告も目頭を押さえた。
弁護士「許せない気持ちは?」
妹「あるはずないです」
弁護士「(山形県の)お墓に、母親といっしょに加害者の被告も入れますか」
妹「入れます。母を愛情深く見守ってきたのですから…」
K被告の減刑を求める嘆願書を集めた勤務先の会社の社長も証人として出廷した。
被告の真面目な働きぶりを紹介し、「できるだけ早く社会にもどれるようにしてほしい」と訴えた。
(検察)
検察側は論告で、母親Iさんが事件前まで食事をし、押さえられた口から息を漏らしたのは「生きようとする最後の抵抗だった」と指摘。「その命を奪った重大さは許されない」と厳しくK被告の行為を断罪した。
また、K被告は母親Iさんの分を合わせて年金16万円、塗装工として約13万円の月収、さらに預金が約200万円あり、ヘルパーなどの支援を受け、ドライブや映画を楽しむ余裕があったとして、「ぎりぎり追い込まれての犯行でなかった」と述べた。
さらに、進行する高齢化社会の中で、「安易に軽い刑を科せば、同様の事案が発生することを抑制できなくなる」と社会に与える影響を挙げ、懲役6年の判決を求めた。
一方、弁護側は献身的な長年の介護や自首の事実、罪に対する自覚などを挙げて、情状酌量し、執行猶予判決を出すよう求めた。
【判決】
B裁判長は執行猶予判決とした理由として、自首していることや罪を自覚していることに加え、「献身的な介護を10年も行っていたのであって、被害者に対し、深い愛情をもって接していたことは疑いがない。犯行当日に被害者がもう助からないかもしれないと思い込んだとしても無理からぬ面がある」と情状酌量した。
もっとも殺害行為については、「医師による治療を受ければ被害者の容体が安定する可能性があり、ほかに適切な手段をとることができた。そもそも、そのような理由で人の命を奪う行為は正当化されるものでない。生命を奪うという結果を生じさせたことは重大」とも述べ、被告の殺害行為を非難した。
<現状>
厚生労働省の平成22年度高齢社会白書によると、65歳以上の高齢者がいる世帯は平成20年度現在1978万世帯で全世帯の約41%。
65歳以上の要介護等と認定された人は19年度末で約438万人。世話をする介護者が60歳以上の「老老介護」は、全体の60・8%にも及ぶ。その半数以上にあたる36・2%が70歳以上。
【2011年4月 酒田市】
酒田の住宅で男女2遺体発見 病死と自殺か
22日午前10時半ごろ、酒田市若竹町2の住宅で、男女2人が和室の布団の上で死亡しているのを、大家の男性が発見した。大家はこの住宅に住む90代の女性と、60代の息子の2人と連絡が取れないため、部屋に入った。県警捜査1課などは、男女はこの親子ではないかとみている。同課などは、女性に目立った外傷がなく、男性は首にひもの痕があったことなどから、女性が病死し、男性が自殺した可能性が高いとみて調べている。
同課によると、遺体の傷み具合などから、ともに死後数日が経過しているとみられる。
近くの美容師の女性(70)は「こんなことになるんだったら、日ごろから声を掛けたり、様子を見に行ったりすべきだった」と顔を両手で覆い声を詰まらせた。今月初めに新聞販売店の従業員が「電話をしても応答がなく集金ができない」と困った様子で来た時も、連れ立って訪ねることもしなかったと悔やんだ。
【2011年4月 鶴岡市】
寝たきりの義母にけがをさせたとして、山形県警鶴岡署は2日、鶴岡市小名部、無職S容疑者
(58)を傷害容疑で逮捕した。暴行後、義母は死亡しており、同署は死因を調べている。
発表によると、S容疑者は4月30日夜、自宅寝室で、同居する義母のS子さん(84)の顔を引っかくなどしてけがをさせた疑い。
S容疑者が5月1日正午過ぎ、「義母が亡くなっている」と鶴岡署に通報した。駆け付けた署員が検視を行い、S子さんの顔や首などに外傷を確認した。2日午後に司法解剖する。
S容疑者は調べに対し、「引っかいたことは間違いない。1人でやった」などと供述しているという。
S子さんは介護が必要だったという。S容疑者は、S子さんと、その夫(84)、同容疑者の次男(29)との4人暮らし。
【2011年7月 鶴岡市】
民家から女性2人の変死体 山形・鶴岡、無理心中か
11日午後8時10分ごろ、山形県鶴岡市の男性(67)から、妻(66)と次女(38)が死亡していると119番通報があった。
県警鶴岡署によると、妻は1階の居間で倒れており、次女は物置で首をつっていた。妻の首には絞められた痕があった。家の中が荒らされた形跡はないという。
同署は状況などから無理心中の可能性があるとみて調べている。この家は3人暮らし。
【2011年7月 真室川町】
真室川母親殺害懲役8年
自宅で実母を殺害したとして、殺人の罪に問われた真室川町新町、元醤油(しょうゆ)製造会社副社長K被告(56)の裁判員裁判の判決が1日、山形地裁であった。
Y裁判長は「自殺を考え、妻子に迷惑がかからないよう母を殺害した動機は身勝手」などとして、懲役8年など(求刑・懲役13年など)を言い渡した。
判決でY裁判長は「被害者の首をベルトで絞め、倒れた後も両手で首を押さえ続け、さらに胸部を包丁で突き刺した極めて残忍な犯行」と指摘した。
一方で、弁護側が主張した、会社経営がうまくいかず、認知症の母を抱え思い悩んでの犯行だったとの点については、「経営の悩みなどを抱えながら相談できる相手がおらず、追いつめられていた」と述べ、弁護側の主張を認めた。また、複数の嘆願書が寄せられ、遺族も処罰を望んでいないと、判決の理由を説明した。
判決文を読み終えたY裁判長は「今後は自分のことも含めて命をもっと大切に生きてほしいと思います」と語りかけた。
【2012年2月 朝日町】
5日午後0時40分ごろ、山形県朝日町の無職男性(67)方で、男性と母親(93)が
死亡しているのを訪れた親戚が見つけ、110番した。
寒河江署によると、男性は2階の屋根裏部屋で首をつった状態で見つかった。母親は1階で倒れており、首を絞められたような痕があった。2人とも死後2~3日経過しているとみられる。
室内に荒らされた跡はないという。同署は無理心中の可能性もあるとみて死因を調べている。母子は2人暮らし。
【2012年7月 鶴岡市】
77歳と54歳 生活保護受給の親子が心中か 山形・鶴岡市
9日午後1時半ごろ、山形県鶴岡市双葉町の無職、O子さん(77)の住宅で、息子のTさん(54)が廊下で首をつって死亡しているのを訪れた親戚が発見し、110番通報した。
駆け付けた鶴岡署員が茶の間で座ったまま亡くなっていたOさんを見つけた。
県警によると、2人に着衣の乱れや目立った外傷はなく、遺書らしきメモが残されていたことから 心中の可能性もあるとみて死因を詳しく調べる。
鶴岡市によると、Oさん宅は2人暮らしで生活保護を受給していた。
1カ月当たりの生活保護費9万6200円のほか、親戚から援助もあったという。
Oさんに介護の必要などはなかったが、息子に疾患があったという。
担当の民生委員が連絡を取れないのを不審に思い、親戚に連絡した。
【2012年8月 鶴岡市】
13日午前8時半ごろ、鶴岡市城南町の民家で、「母親が息をしていない」と家族から119番通報があった。救急隊員が駆け付けたところ、この家に住む無職、Yさん(76)が寝室で死亡していた。Yさんの背中や手足にあざなどの外傷があり、鶴岡署が同居の長男で団体職員、S容疑者(51)に事情を聴いたところ「12日夜、横になっていた母親の背中を蹴った」などと暴行を認めたため、14日未明に傷害容疑で逮捕した。
検察庁の冒頭陳述によると、被告は2012年8月午後10時頃、同居する母Yさん(当時76)が酒に酔っていることに腹を立て、頭をコップの底で殴るなどして、頭蓋内損傷で死亡させたとされる。弁護側は、被告は飲酒をやめられないYさんのことで悩んでおり、事件は偶発的なものだったとして、寛大な処分を求めた。(朝日)
【2012年9月 酒田市】
無理心中?:自宅物置で夫妻?が死亡
14日午後3時半ごろ、酒田市飛鳥、無職、Mさん(82)方の木造2階建て物置小屋の2階で妻のYさん(76)が死亡しているのを、酒田署員が発見した。さらに1階からMさんとみられる男性遺体が見つかり、同署は身元の確認を急いでいる。同署は無理心中の可能性があるとみて捜査を始めた。
同署などによると、Mさん方は2人暮らし。男性の遺体は1階で布団で横たわった状態で見つかった。年齢70~80歳で、腐敗が進んでおり死後数週間が経過しているとみられる。またYさんは死後数日が経過しているとみられる。2人とも目立った外傷はなく、司法解剖をして身元と死因を調べる。
【2013年2月 鶴岡市】
鶴岡の79歳女性殺害:夫を殺人容疑で逮捕 「一緒に死のうと思い」
鶴岡市馬町の民家で、この家に住む無職、H子さん(79)がベッドで死亡しているのが見つかった事件で、鶴岡署は16日、同居する夫の無職、N容疑者(80)を殺人容疑で逮捕した。「自分も一緒に死のうと思い妻を殺した」と容疑を認めている。
逮捕容疑は、15日、自宅1階の寝室で、H子さんの首を布製のひもで絞めたうえ、両手で絞めて殺害したとしている。
同署によると、16日の司法解剖の結果、死因は首を圧迫されたことによる窒息死と判明した。また長女(57)がH子さんを15日正午ごろに見ており、直記容疑者がH子さんの首を絞めたのは同日正午から午後4時半までの間とみられる。
同署によると、ベッドの上に刃物があった。N容疑者の左足首に切り傷があったため関連を調べている。長女がHさんを発見したときN容疑者はベッドの横に立ってじっとしていたという。H子さんは寝たきり状態で認知症の症状があったといい、N容疑者も病気で約1カ月前から入院していて数日前に退院したばかりだった。N容疑者は自分の体調のこともあり、妻を残しては死ねず、子供たちに迷惑をかけられないという話をしているという。【毎日新聞】
【2013年2月 朝日町】
・父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火
同居の父母の世話を苦に自宅に火を付けたとして、山形県警寒河江署は26日、山形県朝日町松程、無職H容疑者(37)を現住建造物等放火容疑で逮捕した。
発表などによると、H容疑者は25日午後7時頃、1階居間に灯油をまいて火を付け、木造2階住宅約126平方メートルを全焼させた疑い。約2時間15分後に鎮火し、けが人はなかった。
出典父母の面倒見るのが嫌に…失職37歳、自宅放火(読売新聞)
県警幹部によると、H容疑者は調べに「目の悪い父や足の悪い母の面倒を見るのが嫌になった。仕事を失い、生活も苦しかった。家を燃やし、今の暮らしを抜け出したかった」と供述している。H容疑者は父(75)と母(62)の3人暮らし。両親の年金で生活し、H容疑者は2人の身の回りの世話をしていた。
H容疑者は自宅に火を付けた後、2人を車に乗せて同県南陽市に向かい、同日午後9時半頃、南陽署に出頭した。両親は近くの駐車場に止めた車の中にいた。H容疑者は「事態の重大さに気付き、罪の意識にさいなまれて名乗り出た」と話しているという。
2013年4月4日木曜日
消費税学習レジュメ
費税増税の問題点(ウソで固められた消費税論議)
1.「日本は財政危機」のウソ
(1)日本のバランスシートは「資産が借金を上回っている」
資産:1073兆円(金融資産494兆円、固定資産等579兆円)
負債:1037兆円(国債・地方債等) 正味資産36兆円
(内閣府2010.12)
(2)「世界一の金余り国」(財務省2010年末)
<主要国の国内余剰資金>
日本251兆 中国167兆 ドイツ114兆 スイス64兆
アメリカ-252兆 フランス-29兆 イタリア-28兆 イギリス-24兆
■消費税増税で景気は落ち込み、税収は減るとわかっているのになぜ?
<財務官僚だった高橋洋一氏>
・市民は苦しみ、官僚が得をする(消費税)増税の仕組み
「税率を上げれば、産業界などで例外処置を求める声が出てくる。それに応える形で利権が生じる。つまり、増税は財政再建でも、公的年金制度のためでもなく、単に官僚の利権獲得の為であるのだ」
■増税法案成立後、大型公共事業計画が
・「修正」の中で消費税増税で浮いたお金を大型公共事業に回すことを3党が合意し、消費税増税法案に明記
・増税法案成立後、すぐに自民党200兆、公明100兆円の公共事業計画を持ち出す→このこと自体が「財政危機論のウソ」を証明
2.日本の消費税は低すぎるというウソ
<日本とヨーロッパ諸国の消費税率>
日本5%
イギリス17.5%
ドイツ18%
フランス19.6%
イタリア20%
フィンランド22%
スウェーデン25%
ノルウェー25%
デンマーク25%
<国税収入全体に占める消費税の割合>
イギリス22.5%
ドイツ27.0%
イタリア27.5%
スウェーデン22.1%
日本22.1%
<ヨーロッパの高税率の中味>
・生活品非課税の原則があるので、毎日スーパーで消費税を払う日本とは状況が違う
■イギリスの軽減税率一覧表
・ゼロ関税 (食料品、新聞、書籍、医薬品、国内交医療費、上下水道、住宅建築など)
・非課税(医療費、教育費、郵便、福祉など)
・5%軽減税率(家庭用燃料、電気代など)
cf.フランスの例
フォアグラ・トリュフは5.5% キャビアは19.6%(国内産保護)
板チョコは5.5% 高級チョコは19.6%
■ヨーロッパの社会保障財源は消費税ではない

①日本の消費税依存度はすでにフランス、イタリアを上回っている
②ヨーロッパ諸国が社会保障の財源にしているのは事業主保険料とその他の税(所得税、法人税)
・日本の社会保障財源の不足の原因はここにある
・財界がヨーロッパ並の社会保障を日本にも、というのならまっさきに法人税、所得税を払い、事業主保険料をはらうべき
<アメリカには消費税がない>
・アメリカでは何度も消費税導入を検討したが、その都度却下されてきた。
・なぜか→
「2万人の追加職員と7億ドルの費用を要する。金がかかる割に税収増が望めない」
「軽減税率を設けても貧困層だけでなく、富裕層の負担も軽くする」
「消費税が貧困層を追い詰め、従来以上に福祉ニーズが拡大し、犯罪や自殺が増える」
3.派遣社員の増大は消費税がもたらした
「仕入れ税額控除」
・正社員に支払われる給与は仕入れ税額控除の対象に
ならないが、派遣社員への報酬は対象となる。
・金融機関や大企業の多くは、社員の大半が出向社員
で100%出資の派遣会社を設立
4.消費税は中小・零細企業を狙い撃ちにする
・請求書の上では消費税が上乗せされた形でも、実際はその分の単価を切り下げられ、儲かってもいないのに消費税を払わなければならず、やむなく分納や滞納に。
・仕入れ税額控除を受けるための書類作成の事務負担は自営業の規模では対応できない。
20項目を超える記載内容、一つでも記載漏れがあると税務署は認めない
5.大企業は消費税増税を大歓迎
■輸出戻し税
・輸出に消費税を課さないのは国際的ルール
・輸出業者は仕入れの際に払った消費税分が「損」になる。その分を税務署が輸出業者に還付する仕組み
(問題点)
・輸出大企業の取引の実態として、下請けに対して納品の際に消費税分の単価を買いたたく場合がある。
・その上で「払わなかった」消費税まで税務署から還付される。
・消費税の増税でその額が膨らむのは明らか。
6.「日本の法人税は高すぎる。法人税減税の財源に消費税10%を」のウソ
<表面税率(法定実効税率)と限界実効税率>
■表面税率
イギリス 28.00%
フランス 33.33%
ドイツ 29.83%
アメリカ 40.75%
中国 25.00%
韓国 24.20%
日本 40.69%
・表で見るように、表面税率は日本とアメリカは高い。
・ヨーロッパ諸国は社会保険料の企業負担が日本よりも高く、反映されていない。
・日本やアメリカは減価償却率や投資税控除額などの控除があり、これを差し引いた「限界実行税率」でみるとアメリカは15%、日本は20%である。
・日本には他にも過去の損失を7年間繰り越して黒字と相殺できる制度も
7.消費税10%でどうなるか
■消費税が3%→5%に上がったとき何が起きたか
・自殺者の急増 1998年以降日本の年間自殺者数は3万人超
消費税10%で年間5万人と予想する人も
・滞納税額が増加
1998年消費税滞納額が急増→「価格に消費税を転嫁できない」事業者が急増
H21年度租税滞納状況では消費税の滞納額は全体の50%!
「消費税は強者が弱者から収奪する卑しすぎる税制だ」(斎藤貴男)
8.消費税増税を中止させるために
世論の60%以上は消費税増税反対。
来る総選挙、参議院議員選挙で国民の願いを実現する政権を樹立する。
1.「日本は財政危機」のウソ
(1)日本のバランスシートは「資産が借金を上回っている」
資産:1073兆円(金融資産494兆円、固定資産等579兆円)
負債:1037兆円(国債・地方債等) 正味資産36兆円
(内閣府2010.12)
(2)「世界一の金余り国」(財務省2010年末)
<主要国の国内余剰資金>
日本251兆 中国167兆 ドイツ114兆 スイス64兆
アメリカ-252兆 フランス-29兆 イタリア-28兆 イギリス-24兆
■消費税増税で景気は落ち込み、税収は減るとわかっているのになぜ?
<財務官僚だった高橋洋一氏>
・市民は苦しみ、官僚が得をする(消費税)増税の仕組み
「税率を上げれば、産業界などで例外処置を求める声が出てくる。それに応える形で利権が生じる。つまり、増税は財政再建でも、公的年金制度のためでもなく、単に官僚の利権獲得の為であるのだ」
■増税法案成立後、大型公共事業計画が
・「修正」の中で消費税増税で浮いたお金を大型公共事業に回すことを3党が合意し、消費税増税法案に明記
・増税法案成立後、すぐに自民党200兆、公明100兆円の公共事業計画を持ち出す→このこと自体が「財政危機論のウソ」を証明
2.日本の消費税は低すぎるというウソ
<日本とヨーロッパ諸国の消費税率>
日本5%
イギリス17.5%
ドイツ18%
フランス19.6%
イタリア20%
フィンランド22%
スウェーデン25%
ノルウェー25%
デンマーク25%
<国税収入全体に占める消費税の割合>
イギリス22.5%
ドイツ27.0%
イタリア27.5%
スウェーデン22.1%
日本22.1%
<ヨーロッパの高税率の中味>
・生活品非課税の原則があるので、毎日スーパーで消費税を払う日本とは状況が違う
■イギリスの軽減税率一覧表
・ゼロ関税 (食料品、新聞、書籍、医薬品、国内交医療費、上下水道、住宅建築など)
・非課税(医療費、教育費、郵便、福祉など)
・5%軽減税率(家庭用燃料、電気代など)
cf.フランスの例
フォアグラ・トリュフは5.5% キャビアは19.6%(国内産保護)
板チョコは5.5% 高級チョコは19.6%
■ヨーロッパの社会保障財源は消費税ではない

①日本の消費税依存度はすでにフランス、イタリアを上回っている
②ヨーロッパ諸国が社会保障の財源にしているのは事業主保険料とその他の税(所得税、法人税)
・日本の社会保障財源の不足の原因はここにある
・財界がヨーロッパ並の社会保障を日本にも、というのならまっさきに法人税、所得税を払い、事業主保険料をはらうべき
<アメリカには消費税がない>
・アメリカでは何度も消費税導入を検討したが、その都度却下されてきた。
・なぜか→
「2万人の追加職員と7億ドルの費用を要する。金がかかる割に税収増が望めない」
「軽減税率を設けても貧困層だけでなく、富裕層の負担も軽くする」
「消費税が貧困層を追い詰め、従来以上に福祉ニーズが拡大し、犯罪や自殺が増える」
3.派遣社員の増大は消費税がもたらした
「仕入れ税額控除」
・正社員に支払われる給与は仕入れ税額控除の対象に
ならないが、派遣社員への報酬は対象となる。
・金融機関や大企業の多くは、社員の大半が出向社員
で100%出資の派遣会社を設立
4.消費税は中小・零細企業を狙い撃ちにする
・請求書の上では消費税が上乗せされた形でも、実際はその分の単価を切り下げられ、儲かってもいないのに消費税を払わなければならず、やむなく分納や滞納に。
・仕入れ税額控除を受けるための書類作成の事務負担は自営業の規模では対応できない。
20項目を超える記載内容、一つでも記載漏れがあると税務署は認めない
5.大企業は消費税増税を大歓迎
■輸出戻し税
・輸出に消費税を課さないのは国際的ルール
・輸出業者は仕入れの際に払った消費税分が「損」になる。その分を税務署が輸出業者に還付する仕組み
(問題点)
・輸出大企業の取引の実態として、下請けに対して納品の際に消費税分の単価を買いたたく場合がある。
・その上で「払わなかった」消費税まで税務署から還付される。
・消費税の増税でその額が膨らむのは明らか。
6.「日本の法人税は高すぎる。法人税減税の財源に消費税10%を」のウソ
<表面税率(法定実効税率)と限界実効税率>
■表面税率
イギリス 28.00%
フランス 33.33%
ドイツ 29.83%
アメリカ 40.75%
中国 25.00%
韓国 24.20%
日本 40.69%
・表で見るように、表面税率は日本とアメリカは高い。
・ヨーロッパ諸国は社会保険料の企業負担が日本よりも高く、反映されていない。
・日本やアメリカは減価償却率や投資税控除額などの控除があり、これを差し引いた「限界実行税率」でみるとアメリカは15%、日本は20%である。
・日本には他にも過去の損失を7年間繰り越して黒字と相殺できる制度も
7.消費税10%でどうなるか
■消費税が3%→5%に上がったとき何が起きたか
・自殺者の急増 1998年以降日本の年間自殺者数は3万人超
消費税10%で年間5万人と予想する人も
・滞納税額が増加
1998年消費税滞納額が急増→「価格に消費税を転嫁できない」事業者が急増
H21年度租税滞納状況では消費税の滞納額は全体の50%!
「消費税は強者が弱者から収奪する卑しすぎる税制だ」(斎藤貴男)
8.消費税増税を中止させるために
世論の60%以上は消費税増税反対。
来る総選挙、参議院議員選挙で国民の願いを実現する政権を樹立する。
原発問題学習レジュメ
1.原発事故の影響
(1)内部被曝の問題
・放射線被曝で恐ろしいのは呼吸や飲食を通しての内部被曝
・政府や福島県は被曝影響の評価を主として測定しやすいγ線に頼るのみ
・しかし内部被曝ではα線(プルトニウム239)・β線(ストロンチウム90)が大きな影響を与える
・政府・福島県・東電は意図的にストロンチウム90、プルトニウム239の測定を行っていない
(2)福島避難者のための健康相談会で寄せられた症状(関東在住者にも同様の症状)
・鼻血、咳、倦怠感、頭痛、脱毛、めまい、視力低下、風邪をひきやすい、胸・背中の痛みなど
・甲状腺エコー検査で嚢胞・結節が指摘された
<原因>
・内部被曝とは細胞死とDNAの損傷である
・放射性物質による粘膜の細胞死→炎症→鼻血、咳、下痢
・甲状腺機能の低下→倦怠感
・網膜の損傷→視力低下
・中枢神経障害→記憶力低下、倦怠感
・心臓の細胞死→心不全(突然死)
(3)福島県民健康管理調査(18歳以下の甲状腺エコー検査)の問題点
・「5㎜以下の結節や20㎜以下の嚢胞」35.3%(チェルノブイリ事故でもなかった数字)
「5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の嚢胞」186人(要二次検査)
・結節は悪性腫瘍の可能性もあるが細胞診検査も行わず、「おおむね良性」という不審な表現で報告
・この検査を指揮する山下俊一県立医大副学長はメールを通じて「検査を希望して受診しても検査を断るよう」要請→福島県内では希望する検査が受けられない
・20歳にいたるまで検査は2年ごと
・秘密会を開催し、「がん発生と原発事故の因果関係はない」ことをすりあわせ
(4)福島県の線量
・福島市、郡山市などは、法律で18歳未満が立ち入り禁止とされる区域(年間5.2m㏜)
・チェルノブイリ基準では選択的避難区域(避難する場合は公的保障あり)
・このような区域に放射線感受性の高い子どもや多くの人々が無防備のまま住み続けている
・背景に放射能汚染被害の矮小化と内部被曝隠しがある
2.なぜ内部被曝の特性とその健康影響を無視するのか
①アメリカの核政策によって、内部被曝の影響が隠蔽されてきた歴史
→核兵器の非人道性・残虐性を隠し、使える兵器に
→補償も外部被曝のみが対象 原爆症認定訴訟で内部被曝の実態を暴く
②ICRP(国際放射線防護委員会)…健康と経済的・社会的要因(原発の利益)の両立を考えて限度値 を設定
内部被曝を無視
100m㏜以下はデータがない→大丈夫
チェルノブイリも「放射線が原因となる障害を受けていない。今後も現れない。最も悪いのは放射能を怖がる精神的ストレスである」
③補償費用を安くするため
・山下副学長
「100m㏜以下の健康リスクは証明されていない、または非常に小さいというのが国際的合意」「結論の方向性が出るのは10年以上あとになる。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響をめぐる訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなったときの最終的な被害者は国民だ」
2.なぜ原発はなくならないか
(1)原発ゼロ見送り
①国民の安全より利益を優先する財界の意向
②国益を優先するアメリカの圧力(東京新聞9/22のスクープ)
(2)アメリカは原発削減、日本は原発維持
・CO2削減など原発が将来にわたって必要
・原発技術の維持のため(原発政策で世界の優位に立つため)
・日本国民の命を犠牲にしてまでアメリカの戦略が優先されるのか
(3)日本の核武装のため原発は必要
①核兵器の原料=プルトニウム
・原子炉でウランを燃やすとプルトニウム239が生成→再処理工場でプルトニウムを分離
②日本政府の公式見解
「自衛のための必要最小限度の戦力を保持することは憲法でも禁止されていない。この限度にとどまる限り、核兵器だろうと通常兵器だろうとこれを保持することは禁じられていない」
「日本の外交力の裏付けとして、核武装の選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。保有能力は 持つが、当面政策として持たないという形で行く。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発すべき」(外務省幹部、石破・石原など)
③原子力基本法の「改正」
「(原子力の利用は)わが国の安全保障に資することを目的とする」という文言を追加
(1)内部被曝の問題
・放射線被曝で恐ろしいのは呼吸や飲食を通しての内部被曝
・政府や福島県は被曝影響の評価を主として測定しやすいγ線に頼るのみ
・しかし内部被曝ではα線(プルトニウム239)・β線(ストロンチウム90)が大きな影響を与える
・政府・福島県・東電は意図的にストロンチウム90、プルトニウム239の測定を行っていない
(2)福島避難者のための健康相談会で寄せられた症状(関東在住者にも同様の症状)
・鼻血、咳、倦怠感、頭痛、脱毛、めまい、視力低下、風邪をひきやすい、胸・背中の痛みなど
・甲状腺エコー検査で嚢胞・結節が指摘された
<原因>
・内部被曝とは細胞死とDNAの損傷である
・放射性物質による粘膜の細胞死→炎症→鼻血、咳、下痢
・甲状腺機能の低下→倦怠感
・網膜の損傷→視力低下
・中枢神経障害→記憶力低下、倦怠感
・心臓の細胞死→心不全(突然死)
(3)福島県民健康管理調査(18歳以下の甲状腺エコー検査)の問題点
・「5㎜以下の結節や20㎜以下の嚢胞」35.3%(チェルノブイリ事故でもなかった数字)
「5.1㎜以上の結節や20.1㎜以上の嚢胞」186人(要二次検査)
・結節は悪性腫瘍の可能性もあるが細胞診検査も行わず、「おおむね良性」という不審な表現で報告
・この検査を指揮する山下俊一県立医大副学長はメールを通じて「検査を希望して受診しても検査を断るよう」要請→福島県内では希望する検査が受けられない
・20歳にいたるまで検査は2年ごと
・秘密会を開催し、「がん発生と原発事故の因果関係はない」ことをすりあわせ
(4)福島県の線量
・福島市、郡山市などは、法律で18歳未満が立ち入り禁止とされる区域(年間5.2m㏜)
・チェルノブイリ基準では選択的避難区域(避難する場合は公的保障あり)
・このような区域に放射線感受性の高い子どもや多くの人々が無防備のまま住み続けている
・背景に放射能汚染被害の矮小化と内部被曝隠しがある
2.なぜ内部被曝の特性とその健康影響を無視するのか
①アメリカの核政策によって、内部被曝の影響が隠蔽されてきた歴史
→核兵器の非人道性・残虐性を隠し、使える兵器に
→補償も外部被曝のみが対象 原爆症認定訴訟で内部被曝の実態を暴く
②ICRP(国際放射線防護委員会)…健康と経済的・社会的要因(原発の利益)の両立を考えて限度値 を設定
内部被曝を無視
100m㏜以下はデータがない→大丈夫
チェルノブイリも「放射線が原因となる障害を受けていない。今後も現れない。最も悪いのは放射能を怖がる精神的ストレスである」
③補償費用を安くするため
・山下副学長
「100m㏜以下の健康リスクは証明されていない、または非常に小さいというのが国際的合意」「結論の方向性が出るのは10年以上あとになる。日本という国が崩壊しないよう導きたい。チェルノブイリ事故後、ウクライナでは健康影響をめぐる訴訟が多発し、補償費用が国家予算を圧迫した。そうなったときの最終的な被害者は国民だ」
2.なぜ原発はなくならないか
(1)原発ゼロ見送り
①国民の安全より利益を優先する財界の意向
②国益を優先するアメリカの圧力(東京新聞9/22のスクープ)
(2)アメリカは原発削減、日本は原発維持
・CO2削減など原発が将来にわたって必要
・原発技術の維持のため(原発政策で世界の優位に立つため)
・日本国民の命を犠牲にしてまでアメリカの戦略が優先されるのか
(3)日本の核武装のため原発は必要
①核兵器の原料=プルトニウム
・原子炉でウランを燃やすとプルトニウム239が生成→再処理工場でプルトニウムを分離
②日本政府の公式見解
「自衛のための必要最小限度の戦力を保持することは憲法でも禁止されていない。この限度にとどまる限り、核兵器だろうと通常兵器だろうとこれを保持することは禁じられていない」
「日本の外交力の裏付けとして、核武装の選択の可能性を捨ててしまわない方がいい。保有能力は 持つが、当面政策として持たないという形で行く。そのためにもプルトニウムの蓄積と、ミサイルに転用できるロケット技術は開発すべき」(外務省幹部、石破・石原など)
③原子力基本法の「改正」
「(原子力の利用は)わが国の安全保障に資することを目的とする」という文言を追加
2013年3月27日水曜日
上山介護殺人事件判決文
上山介護殺人事件の判決文です。涙無しには読めません。
主文
被告を懲役3年に処する。執行猶予5年
未決勾留日数中90日をその刑に参入する。この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、平成21年4月2日午後3時頃、山形県上山市…の被告人方1階6畳寝室において妻の…に対し、殺意をもって所携のネクタイでその頚部を絞めつけるなどし、そのころ、同所において、同人の頸部圧迫により窒息死させて殺害したものである。
(証拠の標目)
略
(法令の適用)
略
(量刑の理由)
1.本件は被告人が妻の介護の行く末を悲観して心中を企て、妻の首をネクタイなどで絞めて殺害したという殺人1件の事案である。
このような介護の負担に起因して心中を企てた殺人事件に関する量刑は、おおむね懲役3年執行猶予5年から懲役5年の実刑の間に分布している。また、約5割が執行猶予付きの判決である。本件ではこれを前提に検討する。
2.(1)被告人は昭和23年に被害者と結婚し、夫婦2人で農業に従事して懸命に働き、3人の子どもを育て上げ、約60年間にわたって周囲も認める仲の良い夫婦として人生を歩んできた。平成15年頃被害者は自宅で転倒して骨折し、以後入退院をくり返し、次第に寝たきり状態になり、平成17年頃には、認知症も発症して、平成19年には最も重い身体障害1級の診断を受けた。被告人は福祉施設のデイサービスなどの介護サービスを利用しながら自宅で一人で被害者を介護していたが、その介護の状況は被害者に床ずれを作らせないなど、医師やヘルパーも感心するほど行き届いたものであった。
一方、被告人自身84歳と高齢で、…介護が必要な状態となっており、体調も悪化して、被害者よりも先に自分が病死するのではないかという不安も抱くようになっていた。また、介護ヘルパーやデイサービスなどに要する介護費用、被告人と被害者の医療費などは、被告人と被害者の年金から捻出していたが、年金だけでは足りず、被告人は少ない貯金を切り崩しながら生活していた。被告人は、介護の負担に加えて、このような自らの健康上の不安や経済的不安を抱え、被害者の体調が一向に良くならないから、このまま生きていてもみじめになるだけで、また、自分が先に病死すると被害者は十分な介護が受けられないし、長男や子どもにも迷惑をかける、被害者を施設に入れるにも費用が出せない、いっそ被害者と二人で死んだ方がだれにも迷惑をかけないなどと思い詰め、平成21年4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、被害者を道連れに自殺しようと決意し、本件犯行に至り、被害者殺害後は自殺を試み、被害者のために来訪した介護ヘルパーに発見され、自殺を止められた。
犯行に至る経緯、動機はまことに同情すべきものがある。
(2)一方、検察官は被告人には家族や行政に助けを求めるなどの手段があったから、本件犯行の動機は身勝手で安易であると主張する。
確かに、被告人が助けを求めることによって事態が改善した可能性がある。しかし、被告人の家族にも病気や仕事などの事情があったから、その助けが得られるとは限らないし、家族に迷惑をかけることを恐れる被告人の心情も理解できる。
また、介護保険などの行政サービスや民間の介護サービスが充実してきたとはいえ、証人…の公判供述からもうかがわれるとおり、いわゆる老老介護や施設が十分にあるとまではいい難いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理解できる。
そうすると、確かに被告人が家族や行政に助けを求めるなどして本件犯行を回避しなかったことはまことに遺憾であるが、本件犯行の動機を身勝手であり安易であるとまで評価することはできない。
(3)犯行態様をみると、被告人は寝たきりで抵抗できない被害者の首を自分の手や準備していたネクタイで絞め、貴重な生命を奪っている上、被害者は「痛い痛い」と苦痛の声もあげていたのであるから、検察官も主張するとおり悪質であるといえる。
しかし、他方では被告人は被害者の首に傷がつかないように気遣って、手やネクタイで首を絞めたりしたとのことであり、泣きながら「Hごめんな」、「俺もすぐいくからな」などと話しかけたり、生きている被害者と会える最後の機会であると考えて被害者に頬を寄せたりもしていて、犯行に際して被害者への配慮と謝罪の情も示しているから、このような事情も考慮に入れる必要がある。
(4)また、本件犯行により被害者はかけがえのない生命を奪われているから、犯行の結果はまことに重大といえる。
被害者はよくしゃべり笑う明るい性格で、寝たきりになり話せなくなった後も、介護をする人に対しうれしそうな反応を見せたり、胃ろうの処置後は次第に表情がにこやかになってきたりしていた。また、認知症になるまでは、母親代わりとなって育てた2人の孫の将来を楽しみにしてもいた。
認知症に罹患し、介護を受ける状態であったとはいえ、このような楽しみも奪われたことはまことに不憫である。
(5)被告人は本件犯行によって60年あまり連れ添いともに人生を歩んできた妻である被害者を失い深く悲しんでおり、その心情には同情を禁じ得ないが、被害者の長男も、被害者の死を深く悲しみ、被告人に対し厳罰を求めてはいないものの、被害者にはもう少し長生きしてほしかったと述べている。また、被害者の孫も、母親代わりになって育ててくれた被害者に自分の結婚式を見せたかったなどと延べ、被害者の死を深く悲しみ、他方では被告人にできるだけ軽い刑にしてほしいと望んでいる。
(6)以上によれば、本件犯行に至る経緯、動機には深く同情すべき点があり、他方で本件犯行結果は重大であるから、被告人の刑事責任を軽視することはできない。
3.また、すでに述べた事情に加え、被告人には以下の酌むべき事情がある。
①被告人は事案を認め、反省の態度を示すとともに、被害者の冥福を祈り、被害者の霊にわびたり話しかけたりするなどしており、真摯な反省、悔悟の念が認められる。
②…
③被告人の弟が、被告人の社会復帰に備えて被告人の入所する介護施設を手配し、社会復帰後の生活環境が整っている。
④被告人の弟が、情況証人として出廷して被告人の指導監督を約束している。
4.以上によれば、被告人の刑事責任を軽視することはできないが、他方では被告人のために相当に酌むべき事情があるといえる。そうすると本件は前記量刑分布の下限近くに位置づけるのが適切な事案であって、被告人を実刑に処するのは相当といえず、主文の刑を定め、その執行を猶予するのが相当である。
(求刑 懲役5年)
平成21年9月29日
主文
被告を懲役3年に処する。執行猶予5年
未決勾留日数中90日をその刑に参入する。この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、平成21年4月2日午後3時頃、山形県上山市…の被告人方1階6畳寝室において妻の…に対し、殺意をもって所携のネクタイでその頚部を絞めつけるなどし、そのころ、同所において、同人の頸部圧迫により窒息死させて殺害したものである。
(証拠の標目)
略
(法令の適用)
略
(量刑の理由)
1.本件は被告人が妻の介護の行く末を悲観して心中を企て、妻の首をネクタイなどで絞めて殺害したという殺人1件の事案である。
このような介護の負担に起因して心中を企てた殺人事件に関する量刑は、おおむね懲役3年執行猶予5年から懲役5年の実刑の間に分布している。また、約5割が執行猶予付きの判決である。本件ではこれを前提に検討する。
2.(1)被告人は昭和23年に被害者と結婚し、夫婦2人で農業に従事して懸命に働き、3人の子どもを育て上げ、約60年間にわたって周囲も認める仲の良い夫婦として人生を歩んできた。平成15年頃被害者は自宅で転倒して骨折し、以後入退院をくり返し、次第に寝たきり状態になり、平成17年頃には、認知症も発症して、平成19年には最も重い身体障害1級の診断を受けた。被告人は福祉施設のデイサービスなどの介護サービスを利用しながら自宅で一人で被害者を介護していたが、その介護の状況は被害者に床ずれを作らせないなど、医師やヘルパーも感心するほど行き届いたものであった。
一方、被告人自身84歳と高齢で、…介護が必要な状態となっており、体調も悪化して、被害者よりも先に自分が病死するのではないかという不安も抱くようになっていた。また、介護ヘルパーやデイサービスなどに要する介護費用、被告人と被害者の医療費などは、被告人と被害者の年金から捻出していたが、年金だけでは足りず、被告人は少ない貯金を切り崩しながら生活していた。被告人は、介護の負担に加えて、このような自らの健康上の不安や経済的不安を抱え、被害者の体調が一向に良くならないから、このまま生きていてもみじめになるだけで、また、自分が先に病死すると被害者は十分な介護が受けられないし、長男や子どもにも迷惑をかける、被害者を施設に入れるにも費用が出せない、いっそ被害者と二人で死んだ方がだれにも迷惑をかけないなどと思い詰め、平成21年4月から介護料金が上がると知ったことを契機に、被害者を道連れに自殺しようと決意し、本件犯行に至り、被害者殺害後は自殺を試み、被害者のために来訪した介護ヘルパーに発見され、自殺を止められた。
犯行に至る経緯、動機はまことに同情すべきものがある。
(2)一方、検察官は被告人には家族や行政に助けを求めるなどの手段があったから、本件犯行の動機は身勝手で安易であると主張する。
確かに、被告人が助けを求めることによって事態が改善した可能性がある。しかし、被告人の家族にも病気や仕事などの事情があったから、その助けが得られるとは限らないし、家族に迷惑をかけることを恐れる被告人の心情も理解できる。
また、介護保険などの行政サービスや民間の介護サービスが充実してきたとはいえ、証人…の公判供述からもうかがわれるとおり、いわゆる老老介護や施設が十分にあるとまではいい難いところもあるから、被告人が経済的な不安から行政に助けを求める気持ちにならなかったことも理解できる。
そうすると、確かに被告人が家族や行政に助けを求めるなどして本件犯行を回避しなかったことはまことに遺憾であるが、本件犯行の動機を身勝手であり安易であるとまで評価することはできない。
(3)犯行態様をみると、被告人は寝たきりで抵抗できない被害者の首を自分の手や準備していたネクタイで絞め、貴重な生命を奪っている上、被害者は「痛い痛い」と苦痛の声もあげていたのであるから、検察官も主張するとおり悪質であるといえる。
しかし、他方では被告人は被害者の首に傷がつかないように気遣って、手やネクタイで首を絞めたりしたとのことであり、泣きながら「Hごめんな」、「俺もすぐいくからな」などと話しかけたり、生きている被害者と会える最後の機会であると考えて被害者に頬を寄せたりもしていて、犯行に際して被害者への配慮と謝罪の情も示しているから、このような事情も考慮に入れる必要がある。
(4)また、本件犯行により被害者はかけがえのない生命を奪われているから、犯行の結果はまことに重大といえる。
被害者はよくしゃべり笑う明るい性格で、寝たきりになり話せなくなった後も、介護をする人に対しうれしそうな反応を見せたり、胃ろうの処置後は次第に表情がにこやかになってきたりしていた。また、認知症になるまでは、母親代わりとなって育てた2人の孫の将来を楽しみにしてもいた。
認知症に罹患し、介護を受ける状態であったとはいえ、このような楽しみも奪われたことはまことに不憫である。
(5)被告人は本件犯行によって60年あまり連れ添いともに人生を歩んできた妻である被害者を失い深く悲しんでおり、その心情には同情を禁じ得ないが、被害者の長男も、被害者の死を深く悲しみ、被告人に対し厳罰を求めてはいないものの、被害者にはもう少し長生きしてほしかったと述べている。また、被害者の孫も、母親代わりになって育ててくれた被害者に自分の結婚式を見せたかったなどと延べ、被害者の死を深く悲しみ、他方では被告人にできるだけ軽い刑にしてほしいと望んでいる。
(6)以上によれば、本件犯行に至る経緯、動機には深く同情すべき点があり、他方で本件犯行結果は重大であるから、被告人の刑事責任を軽視することはできない。
3.また、すでに述べた事情に加え、被告人には以下の酌むべき事情がある。
①被告人は事案を認め、反省の態度を示すとともに、被害者の冥福を祈り、被害者の霊にわびたり話しかけたりするなどしており、真摯な反省、悔悟の念が認められる。
②…
③被告人の弟が、被告人の社会復帰に備えて被告人の入所する介護施設を手配し、社会復帰後の生活環境が整っている。
④被告人の弟が、情況証人として出廷して被告人の指導監督を約束している。
4.以上によれば、被告人の刑事責任を軽視することはできないが、他方では被告人のために相当に酌むべき事情があるといえる。そうすると本件は前記量刑分布の下限近くに位置づけるのが適切な事案であって、被告人を実刑に処するのは相当といえず、主文の刑を定め、その執行を猶予するのが相当である。
(求刑 懲役5年)
平成21年9月29日
2013年3月6日水曜日
TPP学習レジュメ
TPP 環太平洋(戦略的経済)連携協定について
1.TPPとは(Trans-Pacific Strategic Economy Partnership Agreement)
*農産物も含め、すべてのものの関税撤廃が原則
*ものの貿易以外にも、金融や保険、公共事業、医療、労働者の移動なども対象に
→日本のアメリカ化計画
*日米共同声明の誤解 「交渉に参加する場合は、すべての物品が交渉の対象とされる」と明記
2.なぜTPPなのか、推進派の言い分
(1)GDPでたった1.5%の第一次産業を守るために残りの98.5%の産業が損をしている。98.5%の産業を伸ばすためにもTPPに参加した方がいい。
(2)日本は閉鎖的。国を開き、日本経済を活性化させる必要がある。
(3)TPPに参加すれば、外国から安い商品やサービスが入ってくるので、国民にとってはメリットになる。
(4)日本の人口は減り需要が減少する。アジアの需要を取り込む必要がある。
(5)輸出立国の日本はTPPで自由貿易の恩恵を受けないと経済が悪化する。
(6)中国の脅威を抑えるためにもTPPに参加して日米間の結束を強めるべき。
(7)日本の米は品質が高いから、TPPに参加しても農家はつぶれない。
(8)日本の農業がダメになっても外国から買えばよい。安い食料品が買えるならいいのでは。
(9)TPPで病院業務への株式会社参入が認められる。病院の新規参入やサービスの質の向上につながる。
3.反対派の言い分
(1)TPPは農業(1.5%)だけの問題ではなく、全産業に影響が及ぶ問題
・TPPは関税撤廃よりも非関税障壁といわれる様々な規制・制度の撤廃、緩和にある。
・農業だけでなく金融・保険、医療、公共調達、食の安全性、教育、投資、労働など様々な分野を外 国に開放
(2)関税は全品目で見るとアメリカやEUより低い。すでに日本は開放国。
・TPPで経済活性につながるか→事項
(3)デフレ下で外国の安い商品やサービスの供給でさらにデフレ進行→価格競争、倒産増、失業者増、国民所得低下
(4)需要減は供給減でもある。無理してアジアの需要を取り込む必要はない
・TPP交渉を行おうとしているしている国のGDPの9割は日本と米国が占める。
・他のアジアの国は経済規模も小さく需要も少ない。日本の輸出は伸びない。
・TPPのターゲットは日本
(5)日本のGDPで輸出が占める割合は1割程度
・日本は輸出依存国ではなく、国内の内需主導の経済
・TPPで輸出を伸ばすよりもデフレを脱却し、内需拡大をはかる方が重要
・TPPに参加しないと韓国に負ける?
(6)TPPはあくまで経済・貿易に関する取り決め。安全保障は別問題。
・TPPを結んだから尖閣問題でアメリカが日本を助けるわけではない。
(7)TPPで日本農業は壊滅
・外国産に700%の関税をかけている現在ですら、松屋やすかいらーくは外国産の米を使用
・TPPで関税が完全撤廃されれば日本の農業は外国産農産物に駆逐される
(8)外国に依存するということは外国の供給が断たれれば国民は飢えるということ
・近年の干ばつでアメリカやオーストラリアで小麦が不作
・ロシアでは2008年の大不作の年に法律で小麦の輸出を禁止
・農産物は国内供給が原則
(9)株式会社とは利益増進が最大の使命
・採算性の薄い業務やサービスは廃止 ・特に地方格差が増大
・アメリカや韓国の医療がどうなっているか(後述)
4.TPP導入の本音
(1)TPPはアメリカの対日経済支配政策の総仕上げ
①1989-1990日米構造協議
U.S.-Japan Structual(構造上の) Impediments(障害) Inisiative(主導権)
[日米間の構造的な障壁に関する主導権]
・ソ連崩壊後、米国の国益を害する最大の敵は日本の経済力とする米国の「日本経済破壊作戦」
・日本の誇る「もの作り」への投資ではなく、公共分野への投資を強制(輸出産業の抑制)
10年間で630兆円の公共事業を強制
→財政破綻の原因(ムダなダム、空港、橋、超高層ビルなど)
→もの作り国家の破綻
・財源は地方に押しつけ→地方の財政破綻
・「そもそも日本人が日本語をしゃべっていること自体が構造障壁だ」(森永卓郎・当時資料づくりに 携わる)
②1994-2009年次改革要望書
数々の悪法はアメリカの要求だった。アメリカの資本介入の法整備。
1998 大規模小売店舗法の廃止…大規模店舗の進出
建築基準法改正…アメリカ製木材の輸入
1999 労働者派遣法改正…日本型終身雇用の破壊、日本経済の破壊
2002健康保険本人3割負担の導入(公的医療医保険制度破壊の第一歩)
2003 郵政民営化…郵貯・簡保の市場化、共済もターゲットに
2004 法科大学院の設置と司法試験制度の変更…アメリカ企業の参入促進、訴訟社会化への足がかり
2005日本道路公団解散、分割民営化
③鳩山内閣は年次改革要望書を廃止
鳩山、小沢の失脚→菅・野田政権→自民党政権でTPP参入(?)
(2)生協運動にも影響、日本型ライフスタイルの破壊が目的
・あらゆる分野に新自由主義の競争原理を導入
生協や農協の共助の仕組みがわからないアメリカのマーケットメカニズム
公的医療保険制度も共済制度も解体
ex)サッチャー演説の後、赤ちゃんを連れた母親が発言
「サッチャー首相、あなたはこの子からミルクを奪う気ですか?」
「子どもにミルクを与えるのは政府の責任ではありません。それはあなたの責任です」
(3)アメリカの属国化で大企業はまるもうけ
・TPP、消費税増税でデフレはますます進行
・資産価格は暴落→大金持ちは土地、ビルの買い占め
・大会社の社長は消費税の負担無し 車も飲み代も経費の消費税分は控除できる
・その負担分はすべて庶民がかぶる 庶民は単なる労働力 死ぬまで働いてどんどん納税しろ
5.TPPで各分野はどうなる
(1)農業は壊滅
*関税ゼロでアメリカ・オーストラリアの農産物のなだれ込み
*日本の米の生産は90%なくなり、食糧自給率は40%→13%に(農水省試算)
*350万人が失業
*アメリカ:自国の食糧自給は極めて重視。生産費の高い米など多くの穀物に多額の補助金をつけて 輸出可能にするなど手厚く保護。
(2)脅かされる食の安全
*食品添加物、ポストハーベスト、残留農薬、BSE、遺伝子組み換え作物などの基準緩和を求めてく ることは必至
*TPPでは加盟国を差別してはならず、国産品と輸入品に異なる基準設置は許されない
(3)金融・保険の自由化
①簡易保険を民間保険に…簡保資金の70%は国債・地方債で運用。これを外国の金融会社に委託→ アメリカが日本国民の金融資産をコントロール
②共済に民間保険と同様の義務を課す(積立金の義務など)→体力のない共済はつぶれる→共済掛金 が外資に流れる
(4)学校も外資の株式会社に
①現在でも20校程度の株式会社立の学校(LCA国際小学校、朝日塾中学・高校など)
LCA:帰国子女向け、授業は英語
朝日塾:英国のパブリックスクール(貴族学校)が手本。子どものうちから「一級市民」「二級市 民」を格付けする発想。「質の高い教育は金で買え」(学園長)
(5)労働条件の悪化
①貿易から国際投資戦略に
・これまでのアメリカ対日政策、二国間協定では相手国の労働条件改善が基本だった(日本産業の高 コスト・低生産性体質化によって国際競争力をそぐ目的)
・国際投資戦略では企業買収と転売によるキャピタルゲイン(売却益)が目標になる。
・そのためには企業の株価の引き上げが必要→従業員のリストラ、派遣労働者化による人件費削減
・ホワイトカラーエグゼンプションの導入(事務系サラリーマンの休日出勤・時間外労働の規制緩和 =残業代ゼロ法案)
②労働者の移住の自由化
・東南アジアの安い労働力の移入→国内賃金水準の引き下げ
・これまでの看護師・介護士の受入の教訓から公用語を英語に?
(6)日本の公的医療保険制度の解体
①営利企業の参入
現在は医療法で営利目的の医療機関開設は認めていない
↓
規制緩和で自由診療・営利追求を目的にした株式会社の参入も
(特区への進出、病院買収、米軍病院の進出など)
②国民皆保険制度の解体
■アメリカの医療
・行程医療保険制度がなく、民間保険が中心
・4700万人が無保険 → 映画「シッコ」
■日本参入をねらうアメリカの医療保険会社
・公的医療保険制度がネック
・混合診療の禁止もネック → 混合診療解禁を求める猛烈なアプローチ
■日本の公的料保険制度はそう簡単に崩れない(?)
・TPPにはISD条項がある
・投資家が不利益を被ったと、その国の政府を訴える制度。
国内法ではなく国際法で判断。国民皆保険制度を守ろうとする日本政府を、アメリカの投資家が訴 える。
③外国人医師・看護師・介護職員の参入
<心配>
・労働条件の悪化、賃金低下 ・医師の偏在(もうかる大都市中心に)
・医師増員政策の停滞 ・派遣元(東南アジア諸国)の地域医療の崩壊
<米韓FTAによって韓国の医療はどうなったか>
・韓国にも国民皆保険制度があるが、「経済特区」によって営利病院の経営が認められた。
営利病院では医療費を病院経営者が決めることが可能で、健康保健医療費の6-7倍の支払い請求 がなされている。
・経済特区が廃止されれば、混合診療の全面解禁につながる
・医薬品・医療機器は市場価格にすることが義務づけられ価格が高騰
・韓国政府が健康保険制度を強化する対策を打ち出した場合、米国の民間保険会社が「医療保険市場 を縮小させるもので民業圧迫だ」と、韓国政府に損害賠償を請求できる(ISD条項)。
6.TPP参加を防ぐために
①アメリカの圧力に屈しない政権をつくる
毎日新聞社の候補者アンケート TPP反対244 賛成113 無回答53 非該当70
②マスコミの民主化で情報を公開する
③インターネット、団体機関紙など既存マスコミ以外での宣伝
④これまでの枠組みを超えた各界・各層の共同
農協、生協、医師会
1.TPPとは(Trans-Pacific Strategic Economy Partnership Agreement)
*農産物も含め、すべてのものの関税撤廃が原則
*ものの貿易以外にも、金融や保険、公共事業、医療、労働者の移動なども対象に
→日本のアメリカ化計画
*日米共同声明の誤解 「交渉に参加する場合は、すべての物品が交渉の対象とされる」と明記
2.なぜTPPなのか、推進派の言い分
(1)GDPでたった1.5%の第一次産業を守るために残りの98.5%の産業が損をしている。98.5%の産業を伸ばすためにもTPPに参加した方がいい。
(2)日本は閉鎖的。国を開き、日本経済を活性化させる必要がある。
(3)TPPに参加すれば、外国から安い商品やサービスが入ってくるので、国民にとってはメリットになる。
(4)日本の人口は減り需要が減少する。アジアの需要を取り込む必要がある。
(5)輸出立国の日本はTPPで自由貿易の恩恵を受けないと経済が悪化する。
(6)中国の脅威を抑えるためにもTPPに参加して日米間の結束を強めるべき。
(7)日本の米は品質が高いから、TPPに参加しても農家はつぶれない。
(8)日本の農業がダメになっても外国から買えばよい。安い食料品が買えるならいいのでは。
(9)TPPで病院業務への株式会社参入が認められる。病院の新規参入やサービスの質の向上につながる。
3.反対派の言い分
(1)TPPは農業(1.5%)だけの問題ではなく、全産業に影響が及ぶ問題
・TPPは関税撤廃よりも非関税障壁といわれる様々な規制・制度の撤廃、緩和にある。
・農業だけでなく金融・保険、医療、公共調達、食の安全性、教育、投資、労働など様々な分野を外 国に開放
(2)関税は全品目で見るとアメリカやEUより低い。すでに日本は開放国。
・TPPで経済活性につながるか→事項
(3)デフレ下で外国の安い商品やサービスの供給でさらにデフレ進行→価格競争、倒産増、失業者増、国民所得低下
(4)需要減は供給減でもある。無理してアジアの需要を取り込む必要はない
・TPP交渉を行おうとしているしている国のGDPの9割は日本と米国が占める。
・他のアジアの国は経済規模も小さく需要も少ない。日本の輸出は伸びない。
・TPPのターゲットは日本
(5)日本のGDPで輸出が占める割合は1割程度
・日本は輸出依存国ではなく、国内の内需主導の経済
・TPPで輸出を伸ばすよりもデフレを脱却し、内需拡大をはかる方が重要
・TPPに参加しないと韓国に負ける?
(6)TPPはあくまで経済・貿易に関する取り決め。安全保障は別問題。
・TPPを結んだから尖閣問題でアメリカが日本を助けるわけではない。
(7)TPPで日本農業は壊滅
・外国産に700%の関税をかけている現在ですら、松屋やすかいらーくは外国産の米を使用
・TPPで関税が完全撤廃されれば日本の農業は外国産農産物に駆逐される
(8)外国に依存するということは外国の供給が断たれれば国民は飢えるということ
・近年の干ばつでアメリカやオーストラリアで小麦が不作
・ロシアでは2008年の大不作の年に法律で小麦の輸出を禁止
・農産物は国内供給が原則
(9)株式会社とは利益増進が最大の使命
・採算性の薄い業務やサービスは廃止 ・特に地方格差が増大
・アメリカや韓国の医療がどうなっているか(後述)
4.TPP導入の本音
(1)TPPはアメリカの対日経済支配政策の総仕上げ
①1989-1990日米構造協議
U.S.-Japan Structual(構造上の) Impediments(障害) Inisiative(主導権)
[日米間の構造的な障壁に関する主導権]
・ソ連崩壊後、米国の国益を害する最大の敵は日本の経済力とする米国の「日本経済破壊作戦」
・日本の誇る「もの作り」への投資ではなく、公共分野への投資を強制(輸出産業の抑制)
10年間で630兆円の公共事業を強制
→財政破綻の原因(ムダなダム、空港、橋、超高層ビルなど)
→もの作り国家の破綻
・財源は地方に押しつけ→地方の財政破綻
・「そもそも日本人が日本語をしゃべっていること自体が構造障壁だ」(森永卓郎・当時資料づくりに 携わる)
②1994-2009年次改革要望書
数々の悪法はアメリカの要求だった。アメリカの資本介入の法整備。
1998 大規模小売店舗法の廃止…大規模店舗の進出
建築基準法改正…アメリカ製木材の輸入
1999 労働者派遣法改正…日本型終身雇用の破壊、日本経済の破壊
2002健康保険本人3割負担の導入(公的医療医保険制度破壊の第一歩)
2003 郵政民営化…郵貯・簡保の市場化、共済もターゲットに
2004 法科大学院の設置と司法試験制度の変更…アメリカ企業の参入促進、訴訟社会化への足がかり
2005日本道路公団解散、分割民営化
③鳩山内閣は年次改革要望書を廃止
鳩山、小沢の失脚→菅・野田政権→自民党政権でTPP参入(?)
(2)生協運動にも影響、日本型ライフスタイルの破壊が目的
・あらゆる分野に新自由主義の競争原理を導入
生協や農協の共助の仕組みがわからないアメリカのマーケットメカニズム
公的医療保険制度も共済制度も解体
ex)サッチャー演説の後、赤ちゃんを連れた母親が発言
「サッチャー首相、あなたはこの子からミルクを奪う気ですか?」
「子どもにミルクを与えるのは政府の責任ではありません。それはあなたの責任です」
(3)アメリカの属国化で大企業はまるもうけ
・TPP、消費税増税でデフレはますます進行
・資産価格は暴落→大金持ちは土地、ビルの買い占め
・大会社の社長は消費税の負担無し 車も飲み代も経費の消費税分は控除できる
・その負担分はすべて庶民がかぶる 庶民は単なる労働力 死ぬまで働いてどんどん納税しろ
5.TPPで各分野はどうなる
(1)農業は壊滅
*関税ゼロでアメリカ・オーストラリアの農産物のなだれ込み
*日本の米の生産は90%なくなり、食糧自給率は40%→13%に(農水省試算)
*350万人が失業
*アメリカ:自国の食糧自給は極めて重視。生産費の高い米など多くの穀物に多額の補助金をつけて 輸出可能にするなど手厚く保護。
(2)脅かされる食の安全
*食品添加物、ポストハーベスト、残留農薬、BSE、遺伝子組み換え作物などの基準緩和を求めてく ることは必至
*TPPでは加盟国を差別してはならず、国産品と輸入品に異なる基準設置は許されない
(3)金融・保険の自由化
①簡易保険を民間保険に…簡保資金の70%は国債・地方債で運用。これを外国の金融会社に委託→ アメリカが日本国民の金融資産をコントロール
②共済に民間保険と同様の義務を課す(積立金の義務など)→体力のない共済はつぶれる→共済掛金 が外資に流れる
(4)学校も外資の株式会社に
①現在でも20校程度の株式会社立の学校(LCA国際小学校、朝日塾中学・高校など)
LCA:帰国子女向け、授業は英語
朝日塾:英国のパブリックスクール(貴族学校)が手本。子どものうちから「一級市民」「二級市 民」を格付けする発想。「質の高い教育は金で買え」(学園長)
(5)労働条件の悪化
①貿易から国際投資戦略に
・これまでのアメリカ対日政策、二国間協定では相手国の労働条件改善が基本だった(日本産業の高 コスト・低生産性体質化によって国際競争力をそぐ目的)
・国際投資戦略では企業買収と転売によるキャピタルゲイン(売却益)が目標になる。
・そのためには企業の株価の引き上げが必要→従業員のリストラ、派遣労働者化による人件費削減
・ホワイトカラーエグゼンプションの導入(事務系サラリーマンの休日出勤・時間外労働の規制緩和 =残業代ゼロ法案)
②労働者の移住の自由化
・東南アジアの安い労働力の移入→国内賃金水準の引き下げ
・これまでの看護師・介護士の受入の教訓から公用語を英語に?
(6)日本の公的医療保険制度の解体
①営利企業の参入
現在は医療法で営利目的の医療機関開設は認めていない
↓
規制緩和で自由診療・営利追求を目的にした株式会社の参入も
(特区への進出、病院買収、米軍病院の進出など)
②国民皆保険制度の解体
■アメリカの医療
・行程医療保険制度がなく、民間保険が中心
・4700万人が無保険 → 映画「シッコ」
■日本参入をねらうアメリカの医療保険会社
・公的医療保険制度がネック
・混合診療の禁止もネック → 混合診療解禁を求める猛烈なアプローチ
■日本の公的料保険制度はそう簡単に崩れない(?)
・TPPにはISD条項がある
・投資家が不利益を被ったと、その国の政府を訴える制度。
国内法ではなく国際法で判断。国民皆保険制度を守ろうとする日本政府を、アメリカの投資家が訴 える。
③外国人医師・看護師・介護職員の参入
<心配>
・労働条件の悪化、賃金低下 ・医師の偏在(もうかる大都市中心に)
・医師増員政策の停滞 ・派遣元(東南アジア諸国)の地域医療の崩壊
<米韓FTAによって韓国の医療はどうなったか>
・韓国にも国民皆保険制度があるが、「経済特区」によって営利病院の経営が認められた。
営利病院では医療費を病院経営者が決めることが可能で、健康保健医療費の6-7倍の支払い請求 がなされている。
・経済特区が廃止されれば、混合診療の全面解禁につながる
・医薬品・医療機器は市場価格にすることが義務づけられ価格が高騰
・韓国政府が健康保険制度を強化する対策を打ち出した場合、米国の民間保険会社が「医療保険市場 を縮小させるもので民業圧迫だ」と、韓国政府に損害賠償を請求できる(ISD条項)。
6.TPP参加を防ぐために
①アメリカの圧力に屈しない政権をつくる
毎日新聞社の候補者アンケート TPP反対244 賛成113 無回答53 非該当70
②マスコミの民主化で情報を公開する
③インターネット、団体機関紙など既存マスコミ以外での宣伝
④これまでの枠組みを超えた各界・各層の共同
農協、生協、医師会
2013年2月19日火曜日
福島原発事故自主避難者に求められる対応 2014.3.13更新
1.借り上げ住宅の問題
2.高速道路の無料化について
3.就学援助について
4.雇用問題
5.山形県の支援体制強化
6.医療問題
7.子ども・被災者支援法について
8.裁判関係
1.借り上げ賃貸住宅の問題
災害救助法にもとづき、山形県が借り上げたアパートなどを応急仮設住宅として避難者に無償で提供する仕組み。
①期限延長の問題
・原則1年間、ただし県が認めた場合は最長3年間まで延長可能
<被災者支援パッケージ>(2013.3.25復興庁)
2012年度末までとされている借り上げ住宅の供与期間を、全国で平成26年3月末まで延長するほか、 さらなる延長に向けて検討も行う。
<「子ども・被災者支援法」基本方針>(2013.10)
避難者の民間借り上げ(みなし仮設)住宅への入居期間を2015年4月以降も延長することを決めた。
②住み替えの問題
<災害救助法と厚労省見解>
借り上げ住宅は災害救助法にもとづく仮設住宅の一種(みなし仮設)で、入居と同時に「救助」が完了したと判断されるため、住み替えは原則として認められていない。
・福島県では厚労省と協議のうえ、住み替えが例外的に認められる可能性があることを確認し、13都県 に伝えた。
・新潟県は独自の判断で30件認めている。
<山形県の対応>
・2012年9月山形県は「真にやむを得ない事情がある場合」に例外的に住み替えを認める
1)健康の理由で借り上げ住宅での居住が困難な場合
2)家主の都合による場合
3)現居住地に新たな避難者が増え、入居者数が住宅規模を著しく超えた場合
4)・居住を継続することが避難者にとって不利益、危険を生じさせる場合
個別のケースごとに福島県と協議して、承認するかを決める
■この時点で承認されたケース2件
・騒音で睡眠が困難になり、家族がうつ病で通院し、医師から転居を勧められた
・3世代で同居したが生活パターンの違い、避難生活のストレスのため祖母が体調を崩して入院
●これまで県内で健康問題等の事情を考慮し、30数件の住み替えを認めた。(2014.2.18なんでも相談会による県との懇談で明らかに)
2.高速道路の無料化について
<現況>
避難指示・勧奨区域の避難者を対象に2013年3月31日まで継続。
<2013.3.15復興庁、国交省発表>
・福島県浜通り・中通り及び宮城県丸森町から避難して二重生活を強いられている母子避難者を対象に、 高速道路の無料化措置をとる。実施期間は平成25年度予算成立を目処に開始し、当面平成26年3月末 まで。
<国交省2014.3.10発表>
平成24年4月1日より、原発事故により政府として避難を指示又は勧奨している区域等にお住まいであった避難者の一時帰宅等の生活再建に向けた移動を支援する目的で、平成26年3月31日(月)までの間、高速道路の無料措置を実施しているところですが、当面、平成27年3月31日(火)まで継続いたします。
3.就学援助について
<就学援助制度>
・市町村が就学が困難と認定する世帯の児童生徒に対し、学用品、給食費などの就学にかかる費用を援助 する制度。
・生活保護世帯は市町村と国が1/2ずつ、要保護世帯に準じると市町村が判断した準要保護世帯は全額市 町村が負担する。
<被災者就学支援特別基金>国の一般会計 H23年度より事業開始
・東日本大震災で被災し、経済的理由により就学困難な幼児・児童生徒を幅広く支援するため、すでに都 道府県が設置している「高校生就学支援基金」に「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」を積み増 し、都道府県または市町村が実施する被災幼児就園支援事業、被災児童生徒就学援助事業、奨学金事業、 私立学校授業料等減免事業、被災児童生徒等特別支援教育就学奨励事業、専修学校・各種学校授業料等 減免事業について、その事業を推進する。
<山形新聞>2012.6.21
このように本来は財源的にも区別されている事業であるにもかかわらず、市町村の就学支援の中で被災者就学支援がまるめられることが2012.6.21付山形新聞で報道されている。
○山形市
2011年度は避難者全員を就学援助の対象としたが、2012年度は本来の制度と同様、収入と生活に必要な費用を勘案し、就学が困難な支給対象者かどうか判断する。ただ避難世帯に関しては、避難している家族と自宅に残る家族とで二重に生活費が発生している実態も踏まえるという。二重生活による負担増を考慮するという市町村は鶴岡市、南陽市など。
*2013.4から当面2年間、就学援助が避難しているすべてのご家庭に実施されることになった。(前年度は所得制限がかかり、約3分の1の家庭しか受けることができなかった)
○米沢市
所得にかかわらず支援していたが、2012年度は所得基準を設けた。従来の就学援助制度の基準とは別。「もともと市民と同じ制度として考えると不公平感が出る。別個ととらえている」(市教委)
○酒田市
2012年度も所得要件を設けない。「国が方針を出す前に市としての支援方針を決めていた。被災児童生徒への支援は従来の就学援助と別立てと考えている」
<県の指導を改善させる>
就学援助とは別立の制度として運用すべきであるが、県から就学支援と同様の運用を指導されたという声もあり、県の指導の改善を求めていく必要がある。
4.雇用問題
・山形県では国から交付される「ふるさと雇用再生特別交付金」と「緊急雇用創出事業臨時特例交付金」 により基金を造成し、これを財源として、雇用創出事業を実施している。
(1)山形県の震災対応事業(92事業、事業額702,165千円、雇用創出人数451人)
東日本大震災により被災した失業者(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県及び長野県内の災害救助法適用地域に所在する事業所を離職した失業者又は当該地域に居住していた求職者)の雇用機会を創出するための事業。新規雇用する労働者の雇用・就業期間は1年以内で、更新可能。
(2)問題点
臨時雇用の期間は10か月で、2か月間の空白期間がおかれている(病院などは12か月)。国からの財源は12か月分きているが、県独自の判断(地方公務員法との関係)で10か月になっている。他県では労働力の確保の面からも形骸化しており、山形県における改善が求められる。
更新も可能であるが、ハローワークでの手続きが必要。
<被災者支援パッケージ>
「福島避難者帰還等就職支援事業」により、避難者が多い山形などの各県において、福島に帰還して就職することを希望する方のための相談窓口を設置する。
5.山形県の避難者支援体制強化
(1)「やまがた避難者支援協働ネットワーク」2013年度8/8創設
・市町村、社協、NPO、避難者ら92団体で構成
・メーリングリストや意見交換会で情報を共有し、ニーズに応じた支援を強化する。
(2)震災避難者アンケート(2013.10)
2420世帯に調査票を郵送、850件の回答
①心身の不調
・疲れやすく体がだるい38.8%
・イライラする34%
・よく眠れない23.9%
・特にない20.1%
②生活面の不安
・生活費62.6%
・行き先が見えない47.9%
・体の健康41.5%
・住居39.6%
③想定する避難期間
・わからない、未定24.8%
・借り上げ住宅の提供が続く限り20.2%
・子どもの入学・入園・卒業・卒園まで12.2%
・山形に定住したい18.6%
④母子世帯の割合33.1%
6.医療問題
(1)福島県「県民健康管理調査」
①甲状腺検査の結果概要
<H23年度>H25年7/31現在
・悪性ないし悪性疑い 14例(手術10:良性結節1、乳頭がん9)
・男性:女性 5:9
・平均年齢 17.2±2.0歳(13-20歳、震災当時15.6±2.0歳11-18歳)
・平均腫瘍径 14.7±6.7㎜(6.0-33.0㎜)
(検討委員会の対応)
・線量評価との相関は公表しない
・悪性もしくは悪性の疑いと診断された10名の線量評価は把握しているが、公表はしない
・地域別の割合も現段階では公表しない
<H24年度>H25年7月31日現在
・悪性ないし悪性疑い 30例(手術9例:乳頭がん9例)
・男性:女性 13:17
・平均年齢 16.3±3.0歳(8-21歳、震災当時14.3±2.9歳6-18歳)
・平均腫瘍径 15.7±8.2㎜(5.2-34.1㎜)
・平均腫瘍径 15.7±8.2㎜(5.2ー34.1㎜)
②津田秀敏教授(岡山大学・疫学)
・多発とするのが疫学の常識である。
・被ばくの影響がないと断定する材料は何もない。もし被ばくと関係がないとしたら、「原因不明の多発」 となり、すぐに拡大調査すべきもの。
<2014.2.7>
・甲状腺がんと診断33人(2013.11比+7)
・がんの疑い41人(同+9)
チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」(検討委員会座長)
がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明。
(2)環境省が発表した甲状腺比較調査について
(毎日新聞2013.3.30)
環境省は29日、東京電力福島第1原発事故による福島県の子どもへの放射線の影響と比べるため、青森県弘前市▽甲府市▽長崎市−−の3市で実施した甲状腺検査について、年齢別の結果を公表した。小さなしこりなどが見つかった割合は、各年代ともに福島県外で大きかった。ただ同省は「福島と3市との差はわずかで、差がないといえる程度」としている。福島県では今年1月までに、震災時0〜18歳だった13万3089人が甲状腺検査を受診。比較的小さな5ミリ以下のしこりや20ミリ以下の「のう胞」(液体がたまった袋)が見つかった子どもは41%いた。これに対し、県外3市は▽6〜10歳で55%▽11〜15歳で59%▽16〜18歳で57%−−と、いずれの年代も福島県の数値を10ポイント前後上回った。環境省は今月8日、県外3市の3〜18歳4365人を対象に検査した結果、平均57%だったとの概要を公表。県外の方が数値が大きいのは「福島では(しこりが見つかりにくい)0〜2歳を対象にしたことなどが原因」としていた。
<環境省「甲状腺比較調査」の問題点>
①今回の比較調査では、福島県内で甲状腺がん(疑いも含む)が10件検出され、実際手術も受けた事実 を説明できない。比較調査は「スクリーニング検査であり、甲状腺がんの診断を目的とした検査ではな い」という。
②今回の比較調査は、WHO調査で甲状腺がん発症率が他地域よりも7割も高かった1歳児未満は対象外 としている。環境省自身、3県の調査では0歳~2歳児は対象になっていないことを認めている。調査 の設計段階からミスがあった。
③放射線が甲状腺に影響することが甲状腺医学で常識となっている中、福島の数値が一番低いということ は恣意的な力が作用したことを否定できない。④あるいは、青森、山梨、長崎にも被ばく影響が及んだ ことも考えられる。福島と同じ検査基準で行ったのであれば、福島健康管理検査のと同じデーターを公 表されなければならない。
(3)健康相談会まとめより(2012.12県民医連)
①健康不安をかかえている
*本人、子どもに様々な症状が出ている(倦怠感、無気力、イライラ、アレルギー、おもらし、疲れ やすい、鼻炎、頭痛、脱毛、めまい、咳、背中が痛い、視力低下、リンパ腺の腫れ・痛み、立ちく らみ、過換気症候群、胸の痛み、風邪をひきやすい)
これらの症状について、内部被ばくとの関連を指摘する文献も出ている。
*これから生まれる子どもへの影響
②これまでの受診状況から
*内部被曝量チェック(ベラルーシから輸入した機械を使用)で子どもからコバルト60(59.53ベク レル)、セシウム137(17.05ベクレル)検出された。
*尿検査でセシウム137(0.09)出た
*済生館のエコー検査で嚢胞群発6-7個指摘された。
③診療・検査等についての要望
*福島県の健診はとても遅れている。福島県内の医療機関は信用できない。山形県内で甲状腺検査できる ところはどこか。
*娘がB判定。山形県内で検査できるところはないか。
*嚢胞・結節ありといわれ、6カ月後に再検査といわれた。山形県内で検査できるところはどこか。
*相談会、健診を実施してほしい
*継続して診てもらいたい
*福島県内の子どもたちを山形に連れてきて検査してほしい。
*地元で心の内を話すこと、本音をはきだすことができない。
*福島に戻っていいのかきちんとした判断材料がほしい。
(4)山形県への要望(2013.2県社保協)
①「原発事故子ども・被災者支援法」に関する国の基本方針が確立されるまで、当面、県の責任で避難者 への定期的な健康診断、子ども・妊婦の医療費減免を実施すること。
②避難者への健診(甲状腺エコー、血液検査)費用に助成すること。
③県立病院に甲状腺専門外来を設置すること。
<県の回答>2013.4.15
①国の財政保障がないもとで、県が率先して行うことはできない。福島の子どもの医療費無料化制度(18 歳以下)があるが、受領委任払いを検討してきた。県知事、担当課で福島に赴くなど努力してきたが、 実現にはいたっていない。
②福島県民健康調査は山大でも受診できるが、予約しても受けられない状態で、検診車の導入を検討して いる。4/5-6米沢で試みた。内部被曝対策としてホールボディカウンター検査を県内避難者も受けられ るよう置賜・山形で調整している。
③県立病院(中央、河北、新庄)に内分泌専門の医師は各1名ずついるが、糖尿病の診療が忙しく甲状腺 専門外来は難しい。エコー機器はある。
<県内の子ども医療費無料化助成制度>2013年現在
①山形県
・対象年齢 0歳~小学6年まで(小学生は入院のみ)
・所得制限 なし
・一部負担金 3歳未満及び所得税非課税世帯、第3子以降はなし
②市町村の上乗せ事業
・天童、尾花沢など19市町村で通院・入院とも中学3年まで無料化(所得制限・一部負担なし)
(5)山形県避難者への内部被曝検査
福島県は5/27、山形県に避難した人を対象に内部被曝検査を行うと発表した。6~8月にかけて米沢・山形・鶴岡の3市で実施する。
福島県県民健康管理課によると、対象は原発事故が発生した当時、福島県内に居住し、その後山形県に身を寄せた4歳以上の避難者。ホールボディカウンター(全身測定装置)を積んだ車両で、全身の内部被曝線量を測定する。検査は無料。
検査日は米沢市すこやかセンターが6/21~24日、28~7/1、同5~8日、山形市のあこや会館は7/12~15日、18~22日、25~29日、鶴岡市総合保健福祉センターは8/2~5日。時間はいずれも午前9時半~午後4時半で、8/2のみ午後2時~4時半。
6/3から土日、祝日を除き、午前9時~午後5時に申込みを受け付ける。1日あたり約70人、全体で2千人程度の検査を予定。申込みは検査日の5日前までで、過去に同様の検査を受けていない人を優先する。6/3に開通する同課の申込み専用電話番号は080(5743)5867、080(5743)5868。(5/28山形新聞)
(6)南相馬の3200人、内部被ばく検査小中生異常なし
2013.9.24南相馬市が発表。5月から8月に市立総合病院などでホールボディカウンターで実施。市内の小中生98%が受診。セシウム134と137は検出限界以下と発表。
7.「東京電力原子力事故により被災した子どもたちをはじめとする住民等の生活を守り支えるための生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(子ども被災者支援法)について
(1)国(復興庁)は基本方針の策定を怠り、2013年度予算にはまったく盛り込まれていない。
・2013年3月15日、「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」を発表(詳細は復興庁HP)。
①子どもの元気復活、②子どもの健康・心のケア、③子育て・生活環境の改善、④その他、支援を行う団体への支援等、を柱としている。「支援法」に盛り込まれた医療支援など具体的なものはなく、むしろ自主避難者の帰還をうながす内容のものが目立つ。自主避難者への施策としては「母子避難者等に対する高速道路の無料措置」くらいで、対象を浜通り、中通り、宮城県丸森町に限定している。
(2)基本方針を閣議決定(2013.10.11)
・福島県内33市町村を対象とした「支援対象地域」以外でも、除染や健康診断実施の対象になり得る。
・対象地域の範囲は見直さない。
・対象地域外への支援策として、①避難先での就職支援、②新たに避難した被災者の公営住宅への円滑な 入居、③原発事故の際に福島にいた人は、住民票がなくても外部被ばく線量など福島県民向けの健康調 査を受けられる、などを明記。
・甲状腺検査結果の情報管理、提供のあり方を検討する。
・今後基本方針を見直す場合は、被災者の意見を反映するため民間支援団体と連携する。
・2013年10月から福島県外に自主避難している人たちに向けて、ニュースレターの送付や説明会開催な どの情報提供事業を始める。
8.裁判関係
(1)ふくしま集団疎開裁判について
<仙台高裁で異例の判決>
主文は申立てを却下だったが、一審の事実認定を見直す成果があった。
[一審の事実認定]
100mSv以下なら問題ない。文科省も20mSvまで基準をアップしたから危険とは認められない
[仙台高裁の事実認定]
①郡山市の子どもは低線量被ばくにより生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される、
②除染技術の未開発、仮置場問題の未解決等により除染は十分な成果が得られていない
③被ばくの危険を回避するためには、安全な他の地域に避難するしか手段がない
④「集団疎開」が子どもたちの被ばくの危険を回避する1つの抜本的方策として教育行政上考慮すべき選択肢である
(2)山形損害賠償請求
原発被害救済山形弁護団は,平成25年7月23日,山形地方裁判所に,東京電力株式会社及び国を被告とする損害賠償請求訴訟を提起。
原告は62世帯,227名であり,被告東京電力株式会社及び国に対し,原告1人当たり1100万円(慰謝料1000万円+弁護士費用100万円),合計24億9700万円の損害賠償を請求。
●東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ、精神的苦痛を負ったとして、福島県から山形県に身を寄せている避難者ら計207人が10日、東電と国に対して、慰謝料計22億7700万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こした。昨年7月に続く第二次提訴で、一時提訴とあわせ原告は434人、請求総額は47億7400万円となった。(山新2014.3.11)
以上
2.高速道路の無料化について
3.就学援助について
4.雇用問題
5.山形県の支援体制強化
6.医療問題
7.子ども・被災者支援法について
8.裁判関係
1.借り上げ賃貸住宅の問題
災害救助法にもとづき、山形県が借り上げたアパートなどを応急仮設住宅として避難者に無償で提供する仕組み。
①期限延長の問題
・原則1年間、ただし県が認めた場合は最長3年間まで延長可能
<被災者支援パッケージ>(2013.3.25復興庁)
2012年度末までとされている借り上げ住宅の供与期間を、全国で平成26年3月末まで延長するほか、 さらなる延長に向けて検討も行う。
<「子ども・被災者支援法」基本方針>(2013.10)
避難者の民間借り上げ(みなし仮設)住宅への入居期間を2015年4月以降も延長することを決めた。
②住み替えの問題
<災害救助法と厚労省見解>
借り上げ住宅は災害救助法にもとづく仮設住宅の一種(みなし仮設)で、入居と同時に「救助」が完了したと判断されるため、住み替えは原則として認められていない。
・福島県では厚労省と協議のうえ、住み替えが例外的に認められる可能性があることを確認し、13都県 に伝えた。
・新潟県は独自の判断で30件認めている。
<山形県の対応>
・2012年9月山形県は「真にやむを得ない事情がある場合」に例外的に住み替えを認める
1)健康の理由で借り上げ住宅での居住が困難な場合
2)家主の都合による場合
3)現居住地に新たな避難者が増え、入居者数が住宅規模を著しく超えた場合
4)・居住を継続することが避難者にとって不利益、危険を生じさせる場合
個別のケースごとに福島県と協議して、承認するかを決める
■この時点で承認されたケース2件
・騒音で睡眠が困難になり、家族がうつ病で通院し、医師から転居を勧められた
・3世代で同居したが生活パターンの違い、避難生活のストレスのため祖母が体調を崩して入院
●これまで県内で健康問題等の事情を考慮し、30数件の住み替えを認めた。(2014.2.18なんでも相談会による県との懇談で明らかに)
2.高速道路の無料化について
<現況>
避難指示・勧奨区域の避難者を対象に2013年3月31日まで継続。
<2013.3.15復興庁、国交省発表>
・福島県浜通り・中通り及び宮城県丸森町から避難して二重生活を強いられている母子避難者を対象に、 高速道路の無料化措置をとる。実施期間は平成25年度予算成立を目処に開始し、当面平成26年3月末 まで。
<国交省2014.3.10発表>
平成24年4月1日より、原発事故により政府として避難を指示又は勧奨している区域等にお住まいであった避難者の一時帰宅等の生活再建に向けた移動を支援する目的で、平成26年3月31日(月)までの間、高速道路の無料措置を実施しているところですが、当面、平成27年3月31日(火)まで継続いたします。
3.就学援助について
<就学援助制度>
・市町村が就学が困難と認定する世帯の児童生徒に対し、学用品、給食費などの就学にかかる費用を援助 する制度。
・生活保護世帯は市町村と国が1/2ずつ、要保護世帯に準じると市町村が判断した準要保護世帯は全額市 町村が負担する。
<被災者就学支援特別基金>国の一般会計 H23年度より事業開始
・東日本大震災で被災し、経済的理由により就学困難な幼児・児童生徒を幅広く支援するため、すでに都 道府県が設置している「高校生就学支援基金」に「被災児童生徒就学支援等臨時特例交付金」を積み増 し、都道府県または市町村が実施する被災幼児就園支援事業、被災児童生徒就学援助事業、奨学金事業、 私立学校授業料等減免事業、被災児童生徒等特別支援教育就学奨励事業、専修学校・各種学校授業料等 減免事業について、その事業を推進する。
<山形新聞>2012.6.21
このように本来は財源的にも区別されている事業であるにもかかわらず、市町村の就学支援の中で被災者就学支援がまるめられることが2012.6.21付山形新聞で報道されている。
○山形市
2011年度は避難者全員を就学援助の対象としたが、2012年度は本来の制度と同様、収入と生活に必要な費用を勘案し、就学が困難な支給対象者かどうか判断する。ただ避難世帯に関しては、避難している家族と自宅に残る家族とで二重に生活費が発生している実態も踏まえるという。二重生活による負担増を考慮するという市町村は鶴岡市、南陽市など。
*2013.4から当面2年間、就学援助が避難しているすべてのご家庭に実施されることになった。(前年度は所得制限がかかり、約3分の1の家庭しか受けることができなかった)
○米沢市
所得にかかわらず支援していたが、2012年度は所得基準を設けた。従来の就学援助制度の基準とは別。「もともと市民と同じ制度として考えると不公平感が出る。別個ととらえている」(市教委)
○酒田市
2012年度も所得要件を設けない。「国が方針を出す前に市としての支援方針を決めていた。被災児童生徒への支援は従来の就学援助と別立てと考えている」
<県の指導を改善させる>
就学援助とは別立の制度として運用すべきであるが、県から就学支援と同様の運用を指導されたという声もあり、県の指導の改善を求めていく必要がある。
4.雇用問題
・山形県では国から交付される「ふるさと雇用再生特別交付金」と「緊急雇用創出事業臨時特例交付金」 により基金を造成し、これを財源として、雇用創出事業を実施している。
(1)山形県の震災対応事業(92事業、事業額702,165千円、雇用創出人数451人)
東日本大震災により被災した失業者(青森県、岩手県、宮城県、福島県、茨城県、栃木県、千葉県、新潟県及び長野県内の災害救助法適用地域に所在する事業所を離職した失業者又は当該地域に居住していた求職者)の雇用機会を創出するための事業。新規雇用する労働者の雇用・就業期間は1年以内で、更新可能。
(2)問題点
臨時雇用の期間は10か月で、2か月間の空白期間がおかれている(病院などは12か月)。国からの財源は12か月分きているが、県独自の判断(地方公務員法との関係)で10か月になっている。他県では労働力の確保の面からも形骸化しており、山形県における改善が求められる。
更新も可能であるが、ハローワークでの手続きが必要。
<被災者支援パッケージ>
「福島避難者帰還等就職支援事業」により、避難者が多い山形などの各県において、福島に帰還して就職することを希望する方のための相談窓口を設置する。
5.山形県の避難者支援体制強化
(1)「やまがた避難者支援協働ネットワーク」2013年度8/8創設
・市町村、社協、NPO、避難者ら92団体で構成
・メーリングリストや意見交換会で情報を共有し、ニーズに応じた支援を強化する。
(2)震災避難者アンケート(2013.10)
2420世帯に調査票を郵送、850件の回答
①心身の不調
・疲れやすく体がだるい38.8%
・イライラする34%
・よく眠れない23.9%
・特にない20.1%
②生活面の不安
・生活費62.6%
・行き先が見えない47.9%
・体の健康41.5%
・住居39.6%
③想定する避難期間
・わからない、未定24.8%
・借り上げ住宅の提供が続く限り20.2%
・子どもの入学・入園・卒業・卒園まで12.2%
・山形に定住したい18.6%
④母子世帯の割合33.1%
(3)高校受験について
<山形県教育委員会>
平成26年度の避難者に対する本県県立高校の受験・入学に関しての取り扱い
(概要)
〇県立高校の受験の際の住民登録
・(基本)本県県立高校を受験する者は、入学までに本県に住民登録を行うものとする。
・(例外)本県中学校を卒業見込みの者は、本県への住民登録を条件としない。
この場合、在籍中学校の所在地を受験生の現住所とみなし、本県の学区制に従い受験できるものとする。
6.医療問題
(1)福島県「県民健康管理調査」
①甲状腺検査の結果概要
<H23年度>H25年7/31現在
・悪性ないし悪性疑い 14例(手術10:良性結節1、乳頭がん9)
・男性:女性 5:9
・平均年齢 17.2±2.0歳(13-20歳、震災当時15.6±2.0歳11-18歳)
・平均腫瘍径 14.7±6.7㎜(6.0-33.0㎜)
(検討委員会の対応)
・線量評価との相関は公表しない
・悪性もしくは悪性の疑いと診断された10名の線量評価は把握しているが、公表はしない
・地域別の割合も現段階では公表しない
<H24年度>H25年7月31日現在
・悪性ないし悪性疑い 30例(手術9例:乳頭がん9例)
・男性:女性 13:17
・平均年齢 16.3±3.0歳(8-21歳、震災当時14.3±2.9歳6-18歳)
・平均腫瘍径 15.7±8.2㎜(5.2-34.1㎜)
・平均腫瘍径 15.7±8.2㎜(5.2ー34.1㎜)
②津田秀敏教授(岡山大学・疫学)
・多発とするのが疫学の常識である。
・被ばくの影響がないと断定する材料は何もない。もし被ばくと関係がないとしたら、「原因不明の多発」 となり、すぐに拡大調査すべきもの。
<2014.2.7>
・甲状腺がんと診断33人(2013.11比+7)
・がんの疑い41人(同+9)
チェルノブイリ原発事故後の甲状腺がんの発症経過や、今回見つかったがんの種類、大きさなどから「現時点では放射線の影響は考えにくい」(検討委員会座長)
がんの発見率がこれまで考えられていたよりも高いことについては「症状がない人も含めた未知の調査で、比較できない」と説明。
(2)環境省が発表した甲状腺比較調査について
(毎日新聞2013.3.30)
環境省は29日、東京電力福島第1原発事故による福島県の子どもへの放射線の影響と比べるため、青森県弘前市▽甲府市▽長崎市−−の3市で実施した甲状腺検査について、年齢別の結果を公表した。小さなしこりなどが見つかった割合は、各年代ともに福島県外で大きかった。ただ同省は「福島と3市との差はわずかで、差がないといえる程度」としている。福島県では今年1月までに、震災時0〜18歳だった13万3089人が甲状腺検査を受診。比較的小さな5ミリ以下のしこりや20ミリ以下の「のう胞」(液体がたまった袋)が見つかった子どもは41%いた。これに対し、県外3市は▽6〜10歳で55%▽11〜15歳で59%▽16〜18歳で57%−−と、いずれの年代も福島県の数値を10ポイント前後上回った。環境省は今月8日、県外3市の3〜18歳4365人を対象に検査した結果、平均57%だったとの概要を公表。県外の方が数値が大きいのは「福島では(しこりが見つかりにくい)0〜2歳を対象にしたことなどが原因」としていた。
<環境省「甲状腺比較調査」の問題点>
①今回の比較調査では、福島県内で甲状腺がん(疑いも含む)が10件検出され、実際手術も受けた事実 を説明できない。比較調査は「スクリーニング検査であり、甲状腺がんの診断を目的とした検査ではな い」という。
②今回の比較調査は、WHO調査で甲状腺がん発症率が他地域よりも7割も高かった1歳児未満は対象外 としている。環境省自身、3県の調査では0歳~2歳児は対象になっていないことを認めている。調査 の設計段階からミスがあった。
③放射線が甲状腺に影響することが甲状腺医学で常識となっている中、福島の数値が一番低いということ は恣意的な力が作用したことを否定できない。④あるいは、青森、山梨、長崎にも被ばく影響が及んだ ことも考えられる。福島と同じ検査基準で行ったのであれば、福島健康管理検査のと同じデーターを公 表されなければならない。
(3)健康相談会まとめより(2012.12県民医連)
①健康不安をかかえている
*本人、子どもに様々な症状が出ている(倦怠感、無気力、イライラ、アレルギー、おもらし、疲れ やすい、鼻炎、頭痛、脱毛、めまい、咳、背中が痛い、視力低下、リンパ腺の腫れ・痛み、立ちく らみ、過換気症候群、胸の痛み、風邪をひきやすい)
これらの症状について、内部被ばくとの関連を指摘する文献も出ている。
*これから生まれる子どもへの影響
②これまでの受診状況から
*内部被曝量チェック(ベラルーシから輸入した機械を使用)で子どもからコバルト60(59.53ベク レル)、セシウム137(17.05ベクレル)検出された。
*尿検査でセシウム137(0.09)出た
*済生館のエコー検査で嚢胞群発6-7個指摘された。
③診療・検査等についての要望
*福島県の健診はとても遅れている。福島県内の医療機関は信用できない。山形県内で甲状腺検査できる ところはどこか。
*娘がB判定。山形県内で検査できるところはないか。
*嚢胞・結節ありといわれ、6カ月後に再検査といわれた。山形県内で検査できるところはどこか。
*相談会、健診を実施してほしい
*継続して診てもらいたい
*福島県内の子どもたちを山形に連れてきて検査してほしい。
*地元で心の内を話すこと、本音をはきだすことができない。
*福島に戻っていいのかきちんとした判断材料がほしい。
(4)山形県への要望(2013.2県社保協)
①「原発事故子ども・被災者支援法」に関する国の基本方針が確立されるまで、当面、県の責任で避難者 への定期的な健康診断、子ども・妊婦の医療費減免を実施すること。
②避難者への健診(甲状腺エコー、血液検査)費用に助成すること。
③県立病院に甲状腺専門外来を設置すること。
<県の回答>2013.4.15
①国の財政保障がないもとで、県が率先して行うことはできない。福島の子どもの医療費無料化制度(18 歳以下)があるが、受領委任払いを検討してきた。県知事、担当課で福島に赴くなど努力してきたが、 実現にはいたっていない。
②福島県民健康調査は山大でも受診できるが、予約しても受けられない状態で、検診車の導入を検討して いる。4/5-6米沢で試みた。内部被曝対策としてホールボディカウンター検査を県内避難者も受けられ るよう置賜・山形で調整している。
③県立病院(中央、河北、新庄)に内分泌専門の医師は各1名ずついるが、糖尿病の診療が忙しく甲状腺 専門外来は難しい。エコー機器はある。
<県内の子ども医療費無料化助成制度>2013年現在
①山形県
・対象年齢 0歳~小学6年まで(小学生は入院のみ)
・所得制限 なし
・一部負担金 3歳未満及び所得税非課税世帯、第3子以降はなし
②市町村の上乗せ事業
・天童、尾花沢など19市町村で通院・入院とも中学3年まで無料化(所得制限・一部負担なし)
(5)山形県避難者への内部被曝検査
福島県は5/27、山形県に避難した人を対象に内部被曝検査を行うと発表した。6~8月にかけて米沢・山形・鶴岡の3市で実施する。
福島県県民健康管理課によると、対象は原発事故が発生した当時、福島県内に居住し、その後山形県に身を寄せた4歳以上の避難者。ホールボディカウンター(全身測定装置)を積んだ車両で、全身の内部被曝線量を測定する。検査は無料。
検査日は米沢市すこやかセンターが6/21~24日、28~7/1、同5~8日、山形市のあこや会館は7/12~15日、18~22日、25~29日、鶴岡市総合保健福祉センターは8/2~5日。時間はいずれも午前9時半~午後4時半で、8/2のみ午後2時~4時半。
6/3から土日、祝日を除き、午前9時~午後5時に申込みを受け付ける。1日あたり約70人、全体で2千人程度の検査を予定。申込みは検査日の5日前までで、過去に同様の検査を受けていない人を優先する。6/3に開通する同課の申込み専用電話番号は080(5743)5867、080(5743)5868。(5/28山形新聞)
(6)南相馬の3200人、内部被ばく検査小中生異常なし
2013.9.24南相馬市が発表。5月から8月に市立総合病院などでホールボディカウンターで実施。市内の小中生98%が受診。セシウム134と137は検出限界以下と発表。
7.「東京電力原子力事故により被災した子どもたちをはじめとする住民等の生活を守り支えるための生活支援等に関する施策の推進に関する法律」(子ども被災者支援法)について
(1)国(復興庁)は基本方針の策定を怠り、2013年度予算にはまったく盛り込まれていない。
・2013年3月15日、「原子力災害による被災者支援施策パッケージ」を発表(詳細は復興庁HP)。
①子どもの元気復活、②子どもの健康・心のケア、③子育て・生活環境の改善、④その他、支援を行う団体への支援等、を柱としている。「支援法」に盛り込まれた医療支援など具体的なものはなく、むしろ自主避難者の帰還をうながす内容のものが目立つ。自主避難者への施策としては「母子避難者等に対する高速道路の無料措置」くらいで、対象を浜通り、中通り、宮城県丸森町に限定している。
(2)基本方針を閣議決定(2013.10.11)
・福島県内33市町村を対象とした「支援対象地域」以外でも、除染や健康診断実施の対象になり得る。
・対象地域の範囲は見直さない。
・対象地域外への支援策として、①避難先での就職支援、②新たに避難した被災者の公営住宅への円滑な 入居、③原発事故の際に福島にいた人は、住民票がなくても外部被ばく線量など福島県民向けの健康調 査を受けられる、などを明記。
・甲状腺検査結果の情報管理、提供のあり方を検討する。
・今後基本方針を見直す場合は、被災者の意見を反映するため民間支援団体と連携する。
・2013年10月から福島県外に自主避難している人たちに向けて、ニュースレターの送付や説明会開催な どの情報提供事業を始める。
8.裁判関係
(1)ふくしま集団疎開裁判について
<仙台高裁で異例の判決>
主文は申立てを却下だったが、一審の事実認定を見直す成果があった。
[一審の事実認定]
100mSv以下なら問題ない。文科省も20mSvまで基準をアップしたから危険とは認められない
[仙台高裁の事実認定]
①郡山市の子どもは低線量被ばくにより生命・健康に由々しい事態の進行が懸念される、
②除染技術の未開発、仮置場問題の未解決等により除染は十分な成果が得られていない
③被ばくの危険を回避するためには、安全な他の地域に避難するしか手段がない
④「集団疎開」が子どもたちの被ばくの危険を回避する1つの抜本的方策として教育行政上考慮すべき選択肢である
(2)山形損害賠償請求
原発被害救済山形弁護団は,平成25年7月23日,山形地方裁判所に,東京電力株式会社及び国を被告とする損害賠償請求訴訟を提起。
原告は62世帯,227名であり,被告東京電力株式会社及び国に対し,原告1人当たり1100万円(慰謝料1000万円+弁護士費用100万円),合計24億9700万円の損害賠償を請求。
●東京電力福島第1原発事故で避難を余儀なくされ、精神的苦痛を負ったとして、福島県から山形県に身を寄せている避難者ら計207人が10日、東電と国に対して、慰謝料計22億7700万円の損害賠償を求める訴訟を山形地裁に起こした。昨年7月に続く第二次提訴で、一時提訴とあわせ原告は434人、請求総額は47億7400万円となった。(山新2014.3.11)
以上
2013年2月5日火曜日
内部被曝の症状と原因
■「フクシマの真実と内部被曝」小野俊一
酸素分子などすべての分子は100電子ボルト以下のエネルギーである。
そこに270万電子ボルトのウラニウム分子が入ると細胞は崩壊する。これが様々な症状の原因となる。
その細胞は寿命が来たら死ぬが自分と同じ細胞を二個残す。そしてがんになる。
内部被曝というとがんや白血病がクローズアップされるが、本当に怖いのは個々の細胞の死であり、もし心臓に起きたら心不全(突然死)、脳に起きたら脳卒中、軽度の場合は中枢神経障害による記憶力の減退、倦怠感などが起こる。
震災後の突然死・脳卒中の増加は東北大学の下川宏明医師が日本循環器学会で発表した。
内部被曝の恐ろしさを示す「ペトカウ効果」:長時間、低線量放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊する
■「低線量被曝の危険性」医療問題研究会
細胞が死ななくとも、血管の透過性が高まり、皮膚や粘膜が充血し、発疹ができたり、鼻血が出たり、頭痛やめまいが起こることが考えられる。同時に体の反応として化学物質が出て、腸管の運動が亢進し、下痢や腹痛、嘔吐が出たりする。
■「内部被曝からいのちを守る」市民と科学者の内部被曝問題研究会
チェルノブイリ事故後、1998年にゴメリ地方住民に行われた病理解剖時のセシウム137の臓器別測定値セシウム137は甲状腺にもっとも高濃度に蓄積、次いで骨格筋、小腸、心筋と続く。
セシウム、ストロンチウム、ヨウ素などベータ線を出す原子を含む放射性の埃が食べ物と一緒に体内に入った場合、被曝=分子切断を行いながら食べ物と一緒に移動し、腸管から吸収される。薄い腸壁の膜に深刻な障害を与えて下痢を引き起こす。
ストロンチウムはカルシウムと似た性質を持ち、骨や歯に取り入れられやすい。骨に沈着した各種が排出されて半分になるまで50年かかる。
生命機能分子を切断した結果は「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる慢性的疲労感、倦怠感、行動が長続きしないなどの健康被害を与える。
■木下黄太氏のブログ「専門医の手記」より編集
被曝とは細胞死とDNAの損傷である。
<鼻血、のどの痛み、咳>
放射性物質により鼻腔粘膜の細胞死数が増え、炎症が起きる。粘膜は数日で元に戻るが、日々放射性物質を吸収していれば炎症が続き、特に副鼻腔に蓄積すると排出が困難なため副鼻腔炎を起こし、細菌感染しやすくなる。
上咽頭まで炎症が起きれば咳が出る。鼻血は初期で止まる。止まらない場合は空気中の粉じんに付着している放射性物質量が多いと推定される。
<皮膚、爪、指先痛など>
初期には放射性物質が皮膚のしわ、指の爪の間に溜まり、皮膚炎、爪の割れ、さかむけなどが起きる。
体内への蓄積量が増えると、指先では末梢神経炎のような鋭い痛み、皮膚の発赤、気道感染が多くあらわれる。
<腹痛、下痢など>
食事等での放射性物質を取り込むと、消化器、特に腸の粘膜にダメージが多くなり、軽度で続く下痢、軽い腹部の痛みが起き、毒性の強くない細菌による食中毒様の症状を起こすことがある。
<生理>
内部被曝が高い場合、内分泌系に異常が起き、体重減少や生理の遅滞、生理の異常が起きる。だるさを感じ始める。
体内への蓄積が多くなると、造血細胞群の機能低下が起きる。各血球のバランスが変わる前に、血液凝固因子が減り、出血が止まりにくくなり、線溶系も異常を来す。生理で出血量が多く、経血の様子も普段と異なってくる。
<妊娠での問題>
胚の段階では初期流産につながる。分化が起きている時期での被曝は、四肢や指の分化不全を起こすことがある。流産にならないこともままある。
妊娠後期では、内分泌にダメージがあれば生後の知能と成長が良くはなくなる。
<免疫の低下>
内部被曝線量の高い方々では、免疫の低下はすでにある。症状の出方は個人差があるが、最初は上気道感染と腸管感染が主。副鼻腔炎から中耳の炎症を起こすこともある。
免疫を落とすステロイドの使用は注意すること。
<甲状腺機能低下>
甲状腺の機能低下は、だるさを感じるような状態になるまで、自覚症状がない。腫れも圧迫感もない。
甲状腺ホルモンのレベルが大きく低下すれば、甲状腺刺激ホルモンが多く分泌され、甲状腺が肥大してくる。
<うつ、倦怠感、知覚異常>
内分泌系障害でうつと倦怠感がでる。こうなると小児の障害は想像を絶するレベルとなり、中年では網膜の損傷によって、部屋が暗く感じる、記憶力の低下、性格の変化など知覚異常が発生する。
基本的に被ばく量を減らすことが最も重要で、次が排泄の促進である。
酸素分子などすべての分子は100電子ボルト以下のエネルギーである。
そこに270万電子ボルトのウラニウム分子が入ると細胞は崩壊する。これが様々な症状の原因となる。
その細胞は寿命が来たら死ぬが自分と同じ細胞を二個残す。そしてがんになる。
内部被曝というとがんや白血病がクローズアップされるが、本当に怖いのは個々の細胞の死であり、もし心臓に起きたら心不全(突然死)、脳に起きたら脳卒中、軽度の場合は中枢神経障害による記憶力の減退、倦怠感などが起こる。
震災後の突然死・脳卒中の増加は東北大学の下川宏明医師が日本循環器学会で発表した。
内部被曝の恐ろしさを示す「ペトカウ効果」:長時間、低線量放射線を照射する方が、高線量放射線を瞬間放射するよりたやすく細胞膜を破壊する
■「低線量被曝の危険性」医療問題研究会
細胞が死ななくとも、血管の透過性が高まり、皮膚や粘膜が充血し、発疹ができたり、鼻血が出たり、頭痛やめまいが起こることが考えられる。同時に体の反応として化学物質が出て、腸管の運動が亢進し、下痢や腹痛、嘔吐が出たりする。
■「内部被曝からいのちを守る」市民と科学者の内部被曝問題研究会
チェルノブイリ事故後、1998年にゴメリ地方住民に行われた病理解剖時のセシウム137の臓器別測定値セシウム137は甲状腺にもっとも高濃度に蓄積、次いで骨格筋、小腸、心筋と続く。
セシウム、ストロンチウム、ヨウ素などベータ線を出す原子を含む放射性の埃が食べ物と一緒に体内に入った場合、被曝=分子切断を行いながら食べ物と一緒に移動し、腸管から吸収される。薄い腸壁の膜に深刻な障害を与えて下痢を引き起こす。
ストロンチウムはカルシウムと似た性質を持ち、骨や歯に取り入れられやすい。骨に沈着した各種が排出されて半分になるまで50年かかる。
生命機能分子を切断した結果は「原爆ぶらぶら病」と呼ばれる慢性的疲労感、倦怠感、行動が長続きしないなどの健康被害を与える。
■木下黄太氏のブログ「専門医の手記」より編集
被曝とは細胞死とDNAの損傷である。
<鼻血、のどの痛み、咳>
放射性物質により鼻腔粘膜の細胞死数が増え、炎症が起きる。粘膜は数日で元に戻るが、日々放射性物質を吸収していれば炎症が続き、特に副鼻腔に蓄積すると排出が困難なため副鼻腔炎を起こし、細菌感染しやすくなる。
上咽頭まで炎症が起きれば咳が出る。鼻血は初期で止まる。止まらない場合は空気中の粉じんに付着している放射性物質量が多いと推定される。
<皮膚、爪、指先痛など>
初期には放射性物質が皮膚のしわ、指の爪の間に溜まり、皮膚炎、爪の割れ、さかむけなどが起きる。
体内への蓄積量が増えると、指先では末梢神経炎のような鋭い痛み、皮膚の発赤、気道感染が多くあらわれる。
<腹痛、下痢など>
食事等での放射性物質を取り込むと、消化器、特に腸の粘膜にダメージが多くなり、軽度で続く下痢、軽い腹部の痛みが起き、毒性の強くない細菌による食中毒様の症状を起こすことがある。
<生理>
内部被曝が高い場合、内分泌系に異常が起き、体重減少や生理の遅滞、生理の異常が起きる。だるさを感じ始める。
体内への蓄積が多くなると、造血細胞群の機能低下が起きる。各血球のバランスが変わる前に、血液凝固因子が減り、出血が止まりにくくなり、線溶系も異常を来す。生理で出血量が多く、経血の様子も普段と異なってくる。
<妊娠での問題>
胚の段階では初期流産につながる。分化が起きている時期での被曝は、四肢や指の分化不全を起こすことがある。流産にならないこともままある。
妊娠後期では、内分泌にダメージがあれば生後の知能と成長が良くはなくなる。
<免疫の低下>
内部被曝線量の高い方々では、免疫の低下はすでにある。症状の出方は個人差があるが、最初は上気道感染と腸管感染が主。副鼻腔炎から中耳の炎症を起こすこともある。
免疫を落とすステロイドの使用は注意すること。
<甲状腺機能低下>
甲状腺の機能低下は、だるさを感じるような状態になるまで、自覚症状がない。腫れも圧迫感もない。
甲状腺ホルモンのレベルが大きく低下すれば、甲状腺刺激ホルモンが多く分泌され、甲状腺が肥大してくる。
<うつ、倦怠感、知覚異常>
内分泌系障害でうつと倦怠感がでる。こうなると小児の障害は想像を絶するレベルとなり、中年では網膜の損傷によって、部屋が暗く感じる、記憶力の低下、性格の変化など知覚異常が発生する。
基本的に被ばく量を減らすことが最も重要で、次が排泄の促進である。
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